カテゴリ:漫画( 74 )
今さらロトの紋章&ダイの大冒険について語ってみる
「冒険の書」という名前なのに全然ドラクエと関連性のない当ブログですが、たまにはそれっぽい記事を書こうと思いたったので、

ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 完全版(1)
藤原 カムイ / / スクウェア・エニックス
ISBN : 4757517262





Dragon quest―ダイの大冒険 (1)
三条 陸 / / 集英社
ISBN : 4086180634





本日は、「ドラゴンクエスト外伝 ロトの紋章」と「ドラゴンクエスト列伝 ダイの大冒険」についてちょっと語ってみようと思います。
さて、題材がドラゴンクエストなのはおろかストーリーラインまで似ているこの両作品、簡単にあらすじを述べると。

伝説の勇者が旅に出て、悪い魔王を打ち滅ぼす。

冗談抜きに、この一行でまとめてしまえます。
それぞれ、勇者ロトの血やドラゴンの紋章という特殊な力を授かった勇者が序盤に自らの力と使命に目覚め、

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同時期にラスボスである大魔王の名を知り、その打倒を目指して旅に出るのです。
とはいえ、それだけだとあっという間に終わってしまいますので、道中では様々な騒動に巻き込まれていきますし、

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どちらの作品でも、大魔王の配下には超強い幹部軍団が存在していて、主人公の前に立ち塞がっては激しい戦いを繰り広げます。

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もちろん、その果てに和解し仲間となるのはお約束。
が、それらは全て大魔王討伐への道程で必然として盛り込まれているイベントであり、大局的に見ると少しも脇道へはそれていません。
最初に一行でまとめた通り、両作品は徹底して「勇者が魔王を倒す」物語なのです。恐ろしく単純な構図ですね。
にも関わらず、両作品は名作漫画として今でも多くの愛好者が存在します。
その理由は、散々指摘してきた単純さにこそあるんじゃないでしょうか。
当たり前ですが、およそ全ての物語にはゴールが定められています。ここでいうゴールとは、いいかえれば主人公の目的ですね。
恋愛漫画ならば想い人と結ばれるのが終点でしょうし、野球漫画なら甲子園へ行くのが到達点でしょう。
ところが、ゴールへの道を突き進むのはそう簡単ではありません。
漫画というものが雑誌に連載されてる以上、宿命的に市場のニーズに合わせたテコ入れが入ったり、人気作を終わらせると雑誌の売り上げが低下してしまう関係で引き伸ばしが始まったりするからです。
特に引き伸ばしというものは作品のクオリティを下げる最大の要因であり、これが原因となって憂愁の美を飾りきれなかった漫画は数限りありません。
何故ならば、そういった引き伸ばし目的のエピソードはよっぽど上手くやらない限り、本編の流れと無関係な方向へ進んでしまうからです。
当然、読んでる側としては主人公が目標を達成する姿を見届けてカタルシスを共有したいわけで、脇道へそれてしまったエピソードには大した興味が持てないのですね。しかも、引き伸ばしという目的上そういった話に限って無意味に長くなりますし。
面白さを持続する最大のコツは、常に本流へと乗り続けること……この二つの作品を読んでいるとそう思わされます。

それにしても、この二作品は本当に上手くやったものです。
上手くいった要因はやっぱり、最終目標の設定ですかね。
イマジンもバーンも、長編漫画として丁度いい分量にまとめられる規模のラスボスでしたし、途中の小目標として幹部軍団を用意したのも良かった。
幹部軍団と主人公を戦わせることで、「大魔王打倒」という最終目標への道筋を歩みつつ、一定期間毎にカタルシスを提示してくれてましたからね。
結局は、初期構想が素晴らしかったということなんだろうな。

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by ejison2005 | 2007-05-18 03:23 | 漫画 | Comments(10)
犬マユゲでいこう レビュー
唐突ですが、僕はたまにこう考える時があります。
「何かを説明したり伝えたりするのに、最も優れた媒体は漫画なのではないか?」
……と。
いきなり何を言い出すのかと思うのでしょうが、実際問題として文章で長々とひとつの物事を描写するよりも、一枚絵でパッと見せられた方がはるかにイメージしやすいのが人間という生き物なわけで。
しかも、漫画は単なるイラストと違って絵と文章の二つを駆使する事のできる優れた媒体です。詰め込める情報量が半端じゃありません。
皆さんも、小学生の時に図書室で学研の漫画を読んで過ごした事のある人は多いでしょう。ちなみに、僕は世界の偉人シリーズが好きでした。
そういった、いわば「レビュー系漫画」とでも呼ぶべき作品の中で僕が最も愛している作品が、

犬マユゲでいこうソルプレーザ
石塚2祐子 / / 集英社
ISBN : 4087794180





本日ご紹介する「犬マユゲでいこう」です。


この漫画は月刊Vジャンプで連載しており、僕も毎週感想を書いている週間少年ジャンプの読者コーナーでイラストを担当したりしている石塚祐子先生のエッセイ的なスタイルをとっているのですが、特徴として実在のVジャン編集部員が極端に漫画的なキャラとしてデフォルメされて登場したり、架空のロボット等が登場したりしてドタバタコメディを展開するというものがあげられます。
特に、この漫画の二代目&現担当編集者であるイヨク青木こと伊能昭夫編集部員の扱い方はすさまじく、

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何故か編集長の地位を狙っている事にされていたり、何かとネタキャラ扱いされています。
で、イヨクさんや他の架空キャラと一緒に、

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ゲームの世界(上の画像は剣神ドラゴンクエスト)に潜り込んでドタバタギャグを繰り広げたり、ゲーム内容で理不尽に感じた部分へツッコミを入れたり(商業誌の連載作品としてはかなりロックな行為)してレビューとするのが本作の基本的なスタイルです。

……が、本作は石塚先生がまさに「やりたい放題やっている」漫画であり、真っ当なゲームレビューを行う事は滅多にありません。
どのくらいやりたい放題かというと、

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何の脈絡もなく10年以上も前のゲームボーイソフト(当然白黒)のレビューを行ったり、

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ぶっ飛んだ時には、何故か牧場へ行った体験談のレポートになったりもしています。くどいようですが、連載雑誌はVジャンプです。
商業誌で連載するという事は、当然ながら利益を生み出さなければならないわけで、そうなると自然に内容は大作ゲームのレビューになったりとかするものなのですが(参考文献:いい電子)、それを考えると本作はかなり同人作品的な気質を持っているといえるでしょう。
これは本作を語る上で非常に重要な事で、お知り合いのサイトでたまに書かれているのですが、創作物というのは全く同じ環境なら締め切りや内容的な誓約(例:ぺージ数)を受ける商業作品よりも、製作期間や内容的な誓約を受けずに好きなだけクオリティを高められる同人作品の方が、当たり前ですがより面白い作品として仕上がります。
ですが、当然ながら営利活動として会社の支援を受けたりできる商業作品と個人(又は有志の集まり)による同人活動では全く同じ環境を整えるなど不可能であり、通常はそこら辺が内容の差として出てくるわけですね。
が、犬マユは上でも書いた通りに同人作品的な性質がかなり強く、商業作品でありながら恐ろしく自由気ままな内容にする事を黙認されています。
当然、表現したい事を自由に描いた方が作り手も気合が入るわけで、そこら辺が他の作品にはない独特の味わいとクオリティの高さとなって表れているのです。

また、石塚先生のゲームを遊ぶ姿には共感できる部分が多く、

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例えば、名作ダンジョンRPGウィザードリィではキャラのグラフィックが表示されないのを逆手にとってパーティーメンバーに動物の名前をつけ、彼らが活躍する姿を妄想してみたり、

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「ゼルダの伝説時のオカリナ」(wiiのバーチャルコンソールで配信されてます)では、主人公リンクについてくる妖精ナビィを本気で剥がそうとしたり、自分なりの楽しさを開拓する事に余念がありません。
僕なんかはもう、感銘を受けまくりですね。
別に楽しんでいないわけではないんですけど、ここのところは「本気でゲームを遊んでいるか?」と聞かれたら、ノーと答えるしかない状態ですし。ゲーマー失格ですよ。
最近だとファイアーエムブレム 暁の女神感想)に、

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フリーダ様というビジュアル的にもクラス(女騎士)的にも僕の好み一直線なキャラがいたのですが、「弱いから」という理由でベンチウォーマーにしちゃってましたし。昔の自分なら、意地でも最前線で使い続けたはずです。
この漫画を読んでいると、ゲーマーというのは「ゲームを遊ぶ人間」ではなく「ゲームを楽しむ人間」である事を思い出させられるのですよ。


そんなこんなで、本作は石塚先生がやりたい放題したい放題にする姿を面白おかしく描いた漫画なのですが、ゲームを積極的に楽しもうとする姿に感嘆させられたりと、真の意味でゲーマーたらんとする人間には何気に深い味わいが得られたりもします。
最近、ゲームを遊んでいるのではなく、ゲームに遊ばれていると感じたりしている人なんかには、特にオススメしたい作品ですね。

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by ejison2005 | 2007-05-04 04:57 | 漫画 | Comments(8)
クレイモアの感想的なもの
何やら、週間少年ジャンプにクレイモアという漫画が移籍するらしいという情報を目にしたので、ジャンプ感想がメインの当ブログとしては予習が必要だろうと判断し、取り急ぎ貸し本屋においてあった第一巻から第六巻までをレンタルして読んでみました。
折角ですので、返却する前に感想的なものを書いておこうと思います。

さて、最初にこの漫画の基本ストーリーについて説明しておくと、

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こういう感じの人達が化け物退治していくお話です。
ちょっと脱線になるんですけど、上の画像を見て頂ければお分かりの通り、本作はたまに(特に初期は)怒涛の勢いで解説を始める事があり、楽しんで読むためにはそれらを乗り越える事を要求されます。
笑えるのが、解説時にはそれまでのキャラが豹変して小説のト書きみたいな口調に変わるところで、まるでイマジンでも乗り移ったかのようです。

話を戻しましょう。上でも書いた通りしばらくの間は中世ファンタジーな世界を舞台に、特殊な能力者が化け物を退治していくというステロタイプなお話が三巻くらいまで延々と続いていくのですが、正直な話としてそこら辺はあんまり面白くないです。読まなくても十分なくらい。
この作品が面白くなるのは三巻で始まる過去編からで(余談ですが、あんまり唐突に過去エピソードへ突入するので読んでてしばらくは過去編だと気づかなかった)、軽いネタバレになるんですけど、主人公の恩人で作品タイトルでもある「クレイモア」と呼ばれる戦士達の中でも最強の戦士が自分達の所属する組織を裏切り、同組織内でもトップクラスの精鋭達と一対多数の戦いを繰り広げるのですが、そこから先の展開がかなり熱いです。
スペシャリスト同士の対決という時点で既に漫画として美味しい展開な上に、現在の時間軸で存在しない以上、その最強キャラは過去編で故人となる事が半ば確定しているわけで、師匠キャラとの別離という重大かつ悲劇的なイベントも同時進行していくわけですね。
更に、その二つのエピソードだけでも十分に面白いのですが、過去編のラストには大どんでん返しが用意されていて、そこら辺で盛り上がりは最高潮に達します。

過去編が終わった後は、その中で明らかにされたある強大な敵との戦いがストーリーの主軸となるんですけども、そこで主人公の新しい仲間となる人物達がなかなかいい味を出しています。
彼女達はよくある「最初は主人公の事を侮っているが、後から真の実力を見せられてびっくりする役回り」のキャラクターであり、そのせいか読んでいて思わずノーマークになってしまうんですけども、実はそんな彼女達が本人も知らないある重大な秘密を握っていると分かるくだりがとても面白いんですね。
そういったパッと見で大した事なさそうな連中から隠れた実力者が現れるのはハンター×ハンターでよく見られる手法でして、その瞬間は同作品の面白さに迫るものを感じました。

第六巻はその人達とのパーティーをひとまず解散して、再び単独行動(オマケもいるけど)をしている最中に更なる強敵と出会ってしまうところで終わっているのですが、そこから先のお話が非常に気になります。
ストーリー展開にちょっと強引なところ(二巻ラストのあれとか正体バレてる以上最初から準備しろよという感じですし)もあるんですけど、総じて良質の作品ですね。
週間ジャンプでの連載は当座の腰かけで、月刊ジャンプに代わる新雑誌が創刊されたらそちらへ移ってしまうんでしょうけども、その間だけでも読んで感想を書くのが楽しみです。

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by ejison2005 | 2007-04-21 01:33 | 漫画 | Comments(6)
ドロヘドロ レビュー
世の中には、面白い事には面白いんだけど全然名前が売れてない漫画というのがあるもので、本日ご紹介する漫画、

ドロヘドロ 1 BIC COMICS IKKI
林田 球 / / 小学館
ISBN : 4091882714





「ドロヘドロ」は、そういったマイナー名作漫画(どんな日本語だ)の最たる例のひとつです。
この漫画が、その面白さに似合わず無名である理由は色々あって、まず連載しているのが「月刊イッキ」という聞きなれない雑誌である上に、何を考えてか単行本もA4変形サイズ(4コマ漫画集とかでよく使われるあのサイズ)で刊行されているために、ますます目につく機会が減っていくという負のスパイラルが発生しちゃったりしてします。
その上、出版社に力が無いのか、メディアミックス全盛の昨今においてアニメ化などの宣伝活動も一切行っていないために、ますます知名度で他の漫画から水を開けられる結果になってるんですね。
あまりにも知られていないため、そもそも仕入れていない本屋も多いらしく、実際、僕の周辺には一軒しか置いてある店が無かったなあ……。


さて、この漫画の基本設定について説明すると、この世界は魔法を使えない人間達が住む「ホール」と呼ばれる町と、魔法使い達の住む世界とに分かれています。
魔法使い達が使える魔法は、スタンドばりに「一人一能力」みたいなのですが、作中の台詞などから察するに、後天的に鍛えて精度や威力を強化する事が可能っぽいです。
で、彼らがその練習をどこでするかというと、これだけは魔法使いの基本能力であるワープ魔法(どこでもドアみたいなのが出る)でホールへやって来て、ひでえ話ですがそこら辺の一般人に魔法を試し撃ちして、練習し終えた後はまたワープして帰って行きます。彼ら、魔法が使えない奴を人間扱いしてません。
当然、ホールの人間が魔法使いに抱いている恨みは深く、主人公であり、自らも魔法で頭を爬虫類に変えられた被害者であるカイマンとヒロインのニカイドウは、ホールに現れた魔法使いを返り討ちにするのを仕事としています(別に報酬はありませんが)。
このカイマンという男は複雑な背景を有していて、頭が爬虫類である以外にも、どういうわけだか魔法を完全に無効化する能力を有しているのですが、記憶を失っているためにそこら辺の理由を思い出す事ができません。
魔法使いを始末しながら、カイマンの頭を爬虫類に変えた魔法使いを探し出し、彼の失われた記憶を甦らせるというのが、本作の基本ストーリーです。

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そして、この漫画の良い点は、前述のカイマンやニカイドウも大変に魅力的な人間なのですが、彼らが敵対する悪役「煙ファミリー」がそれ以上に素晴らしすぎる事です。
彼らの魅力について語ると、まず上の文章では分かりやすさを重視して悪役と書きましたが、別に彼らは悪人じゃありません。
いや、(下っ端だけだけど)普通にホールで魔法の練習をしたりはしてるみたいなんで、そういった観点では確かに悪人なんですけど、それ以外の面では普通に良い人達です。
カイマン達と対立してる理由も、別に彼らから積極的に喧嘩を売ったわけではなく、「魔法使いが殺されまくってるから危なくて仕方ないんで、他の魔法使いを守るためにも魔法使い狩りを始末する」というもので、いわばカウンターアタックであり、魔法使いの側から一方的に見れば警察的な役割を果たしているわけです。
マフィア的な組織のくせに、警察みたいな事をしているというのは他方でも発揮されており、例えば麻薬(みたいな物)を裏で流通してる組織を潰そうと画策したりもしてますし、出番も多いので途中から読んだりしてると、煙ファミリーの側が主人公に見えるかもしれません。当然、ツラが爬虫類のカイマンは悪役。
煙ファミリーは、個々としても好感度の高い人物がそろっており、第一話から登場する煙ファミリーの下っ端で、普段はヘタレでもそれなりに根性があり、後述する恵比寿の面倒を見たりもしている愛すべき男藤田や、カイマンにやられた傷が原因で心に傷を負い、不思議ちゃんと化してしまった少女恵比寿。
それに、ファミリーの中でも上位に位置する実力者である超強い魔法使いのコンビ、心と能井や、出番は少なくてもその印象的な魔法でやけに存在感の強いターキーなど、枚挙にいとまがありません。
さらに、煙ファミリーのボスである煙さんは面倒見の良さが半端じゃなく、この人はすごい大住宅に住んでいるのですが、ファミリーの人間達もそこに住まわせているために合宿場状態と化しています。
特にお金を取っている様子もなく、恵比寿に至ってはファミリーの人間でもないのに快く住まわせてやっているくらいで、煙さんの大物ぶりがよく分かるエピソードですね。というか、衣食住のうち住を無償で保障してくれるとか、普通に羨ましいぞ煙ファミリー!
また、

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途中から、キクラゲと名づけたペットを飼うようになると、ほとんど単なるペット好きのおじさんと化し、親しみやすさでも頂点に立ったり。普通に、近所とかを探せばいそう。

で、魅力的な悪役の常として煙ファミリーは非常に団結が強い組織なのですが、彼らの特徴として縦の繋がりが非常に太いです。
これはとても珍しい事で、例えば同じく魅力的な悪役集団として有名な十傑集や幻影旅団なんかも繋がりが強いんですけど、それは横の繋がりであって縦の繋がりではありません。
幻影旅団の団長とか、確かにリーダーではあるけどそこまで特別に立場が上ではありませんし(自分でもそういう意味の台詞を言ってましたし)。
それに、十傑集や幻影旅団は少数精鋭でしたからね。
しかし、煙ファミリーの場合は、組織としても規模が大きい(魔法使いの世界でトップレベル)割には上下の仲が良く、特に煙さんは下っ端である藤田の相談にもちゃんと応じて最大現の助力をしてくれたり、上で書いた通りに自分の屋敷へファミリーの構成員を住まわせてあげたりと、非常に部下想いです。
これって、何気にすごく新しい事だと思うんですよね。
確かに、今まで漫画界には数多くの「強大な組織」が登場してきましたが、そこに君臨する首領とか大王とかは、大体において秘密のベールに包まれていたり、腹心の部下達(四天王とか)に実務を任せていたりとかで、あまり前面には出てきません。
ですが、煙ファミリーは常にトップである煙さんが前面に出て、部下達と共に事態へ当たっているために、アットホームな雰囲気を感じるのです。
ゲンバー大王とかも、ビックボスが最前線へ出てくるという意味では近い存在なのですが、彼の場合は単騎特攻だったので、組織として懐が深いのかはよく分からないままでしたね。
今のところ、「上司にしたい漫画キャラ」では煙さんが断トツの一位かな。内海課長とかも上司としては理想的なんですけど、彼の場合はちょっとアンチェインすぎてついてけなさそうな感じもありますし。


まとめると、ドロヘドロという漫画は、各キャラクターが行動するきっかけを作っているのは主人公達なんですけど、漫画としての見所は、それを受けて悪役である煙ファミリーがどの様な行動をとるかにある作品、という感じでしょうか。
カイマンの能力が凶悪なので、一生懸命に彼の素性を解き明かそうとしたりもしますから。
「自分達の能力が通じない強力な敵の謎を解いて打ち勝とうとする」って、普通はどう考えても主人公サイドの役割ですよね。
きっと、煙さんは若い頃、セリエAの選手に憧れるよりもギャング・スターに憧れてたんだ。
あえてこの漫画について欠点を挙げるなら、A4変形サイズのせいか単行本が高い事でしょうか。
一冊九百円とか、通常サイズの単行本と比べたら倍額以上なんだぜ。僕もまだ、高いから三巻までしか買ってないよ。

そんなわけで、高いけど既存の作品ではトップクラスに組織描写が上手い漫画です。オススメ。

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by ejison2005 | 2007-03-08 01:54 | 漫画 | Comments(12)
バンブーブレード レビュー
剣道。
日本古来の剣術をスポーツ化した武道であり、空手・柔道などと並んでポピュラーな格闘技のひとつです。
ところで、皆さんは剣道を題材にした漫画と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?

旋風の橘 5―新・熱血剣道ストーリー!! (5)
猪熊 しのぶ / / 小学館
ISBN : 4091263852





うん……まあ……これを思い浮かべちゃうよね……。
知らない人のために説明すると、伝説のクソ漫画です。説明終わり。
サンデーが生み出した黒歴史の事は、とりあえず置いといて ミ□
本日ご紹介するのはこちら、

BAMBOO BLADE (1)
土塚 理弘 / / スクウェア・エニックス
ISBN : 4757515308





『BAMBOO BLADE』です。
さて、前フリからも分かる通りこの作品は剣道漫画なのですが、ぶっちゃけこの作品の見所は剣道シーンではありません。
というのも、この作品は学生スポーツ漫画としては非常に珍しい事に、主人公達がそれほど部活動に重きを置いてないんですね。
もちろん、毎日部活には出ますしそこでは真面目に練習をするのですが、それ以外の時間ではそれぞれ、

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趣味やバイトに埋没しています。
これ、読んでいてすごく感情移入のできる展開ですね。
スポーツ漫画の登場人物というものは、お前らそれ以外に考える事とか無いのか? と問いかけたくなるくらいに、人生の全てを懸けるのがセオリーです。
ですが、実際僕達が学生の時、そこまで部活に全力投球していたかというとそんな事はありません。
学校の試験だってありますし、読みたい漫画や見たいテレビ番組は尽きませんからね。
そういった点で、一般的なスポーツ漫画の登場人物というのは、現実とは一線を画したファンタジー世界の住人です。
ひたすら部活に打ち込むその姿は、雑念を捨てて荒行に挑む修験者の如し。そして、一般人には修験者の心境など理解できるものではありません。
この作品は、逆に部活動へ従事する割合を減らし、登場人物それぞれの欲望などをストレートに実行させる事で、人間臭い魅力を与えているわけです。
では続いて、主要登場人物について解説していきましょう。


・メインヒロイン タマちゃん

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メインヒロインにして、作中最強キャラ。
実家が道場だったためか、超高校級の実力を持っており、他校の監督(ちゃんと日々鍛錬していて強い)相手でも一本取っちゃたりします。
その存在を脅かす、恐るべきライバルが登場したりもしてないため、今のところ地位は微塵も揺らいでいません。

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ちなみに、無類のアニメ好きであり、DVDボックスを買うためにバイトをしたりもします。
剣道は普通に好きみたいだけど、別に青春の全ては懸けてないです。むしろ、アニメに懸けてます。
メインヒロインからして、剣道とある程度距離を置いた付き合いをしているのが、この作品のカラーを象徴してる気がするなあ。

・部長 キリノ

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この作品では珍しい、剣道一直線なキャラ。
というよりも、誰か一人くらい部活に打ち込むタイプの人がいないと話が進まないので、こういう設定になったんだと思います。
とはいえ、そこはこの作品らしく基本はまったり方針。

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本作の主人公であり、剣道部顧問でもあるコジローが一時の勢いで無駄にスパルタな練習をしようとすると、普通にツッコミを入れたりもしますし。

・ドS ミヤミヤ

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ヒロイン勢では唯一の彼氏持ち。剣道部に入った理由も、彼氏が剣道部に入ったからです。
当初はそれほど剣道を好きでも無かったけど、

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練習中Sに目覚め、部活もそれなりに熱意を持って取り組む様になりました。
この、『叩きたいから剣道をやる』という事からは、絶対にステロタイプな理由では剣道と関わらせないぞという作者の意地を感じます。
でも、あくまでも基準は彼氏。部活より何より、彼氏を優先します。
タマちゃんもそうなんだけど、この作品は剣道以外に打ち込む事があるキャラばっかりで、部活は部活、私生活は私生活とメリハリをつけて行動しているのがリアリティを感じますね。

・無軌道 サヤ

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剣道部に入った理由は不明。
自分に何ができるかを模索してるらしく、

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小説を書いたりギターを弾き始めたり、節操の無い行動を取ってます。
ちなみに、そっちの方が優先順位が高いらしく、物語スタート時には既に在籍してたのに2巻になるまで小説へ没頭して登場しませんでした。
でも、ぬるいので皆その事を怒ったりせず普通に迎えたり。
中学や高校の時、同じ様に自分の可能性を模索した人は多いでしょうけど、そういった意味で無駄に現実感がありますね。
この年代になると、急にギターの練習を始めたりするんだよなあ(笑)。

・東と書いてあずまと読むよ 東

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4巻目でやっと登場した、五人目。
剣道は小さい頃から好きだと本人も告げるものの、

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学力が全く足りないので部活をやってる場合では無いという。
学校生活>>>>>超えられない壁>>>>>レクリエーションである部活動
という、この作品の妙なシビアさを象徴するキャラかな。
仲間入りしないと、(団体戦に出られないから)話が進まないんですけど、作風から考えると剣道部に入ったとしても塾とかを優先気味にする気がします。

・主人公 コジロー

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この作品の主人公にして、剣道部顧問。
その指導方針は、部活なんだから無理して鍛えずのんびりやってこうというもので、個人的にはかなり好感度高いです。
アイシールド21とか、たまに選手を潰しかねない露骨に危険な特訓を課したりしますからね。
僕も部活はダラダラやってた人なんで、この指導方針はすごく共感できます。


こんなわけで、登場人物達はどこまでもマイペースなんですが、ストーリーの方もかなりそういう感じです。
この作品は、コジローが剣道部を何とかして盛り上げようとするのが、ストーリー上の主軸になってるんですけど、その動機が、

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他の高校で顧問をやってる高校時代の先輩との賭けに勝って、寿司を奢ってもらう事だったり、

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とある理由(ちなみに、コジローの過失ではないです)で、どうしても剣道部を全国へ出場させて実績を作らないとクビになるからだったりと、いちいち即物的で素敵です。
即物的っていうのは結構大事な要素で、例えば世界を救う勇者に何故戦うのかを質問して、
「平和のために、滅私奉公しているのサ!」
という答えと、
「それはね、各国の王様から多額の報奨金と領地を貰ってるからなんだよ
という答えだったら、読者がより共感しやすいのはどちらかというと後者です。
人間っていうのは欲望を元に行動する生き物ですから、聖人君子みたいな人物より即物的な人間の方が身近に感じるわけですね。
作中で、

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例え不純でも、動機があるからこそ強くなれ、それが漠然としたものだからこそ自分は続かなかったというコジローの独白がありますしね。
きっと、

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寂海王が伝えたかったのも、そういう事なんですよ!


というわけで、目指せ全国というスポーツ漫画としてはステロタイプな展開の中に、部活は楽しむものという現実的なテーマが入る事で不思議な読後感を出してる作品です。
ガンガン系コミックスの中では、良作の部類だと思いますよ。

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by ejison2005 | 2007-01-12 19:50 | 漫画 | Comments(7)
げんしけん 簡易レビュー
さて、本日からいよいよ冬コミ。
大阪夏の陣・冬の陣に参じた徳川家康も真っ青な、オタクのオタクによるオタクのための祭典がスタートです。
が、管理人にはとりあえず何の関係もありませんし行く予定もありませんので、ここは気分だけでも味わうために、先週最終巻が発売したげんしけんのレビューを行いましょう。


しかしまあ、困ったなあ。
いや、何が困ったって、今更この漫画の内容についてダラダラ語ったところで、仕方が無いよねという辺りが。
第一話から最終話まで総括したレビューなんぞ、この年末にやる気は起きないですし、そういうのは専門のファンサイト様にでもお任せすればいいですしね。
というわけで、そういった細かい点は他所のサイトにお任せするとして、僕はこの漫画がどうして終わったのか(終わらねばならなかったのか)、その辺について語ってみましょうか。


まず最初に結論から述べてしまいますが、

この漫画が終わったのは春日部さんが卒業してしまったからです(断言)。

こう書くと、
「主人公である笹原が卒業したのは何の関係も無いのか?」
と聞かれそうですが、ぶっちゃけ、笹原が卒業しちゃっても春日部さんが残ればお話は続けられるんですよね。
ちょっと真面目な話をするんですけど、物語っていうのはマイナスからスタートして、通常の状態へと復元していく行程を描くものなんですよ。
例えば、日本全国を旅してる黄門様ご一行が訪れた先で悪代官が幅を利かせており(マイナスの状態)、黄門様達がそれを懲らしめる(通常の状態へ戻す)といった具合にです。
で、笹原を主体としてこのげんしけんという作品を捉えた場合、笹原は元々オタクであり、別にげんしけんに入らなくてものんびりまったりとオタクライフを過ごしたのは確実でしょうから(恋人は出来なかったろうけど)、これといってドラマ性のある行動をとっているわけではないんですね。
しかし、春日部さんを主体として捉えた場合、ゲッツした彼氏が凄まじいオタクだわ、なし崩し的に自分もオタク達が集うサークルへ参加させられるわで、非常にスリリングな毎日です。
作中の台詞などから察するに、これまでの日常とは180度異なる生活をする羽目になったでしょう。つまり、マイナスの状態ですね。
それでも、春日部さんは(彼氏を逃したくないし)、頑張ってこの環境に順応しようと(通常の状態になろうと)していくわけで、そこにドラマが生まれていくのです。
ちなみに、通常の状態という表現をここでは用いましたが、要するに登場人物が目的を果たすという意味です。


また、第二の理由として、この漫画は明らかに春日部さんへ視点を置いています。
漫画は基本的に神の視点なんでちょっと誤解されてそうなんですけど、物語というのは(場面によって変わったりはするけど)必ず読者の視点を背負わされるキャラクターというのが存在するんですね。
多くの場合においてそれは主人公であり、例えばファンタジー作品だったら受け手は主人公へと感情移入し、彼が血沸き肉踊る冒険を演じる様を追体験していくわけです。
ですが、このげんしけんという作品の主旨は『オタクの日常を描いていく』事にあるわけですから、同じくオタクの笹原に視点を置いてしまうと、彼は自分自身がオタクであるが故に割とあっさりこの状況に慣れ、溶け込んでしまうためにカメラとしての役割を全く果たせません。
例えるなら、祭りの取材に行って自分も神輿を担いじゃう新聞記者みたいなものです。ちゃんと取材活動をしてくれないと、新聞記事にならないのです。
そういうわけで、この漫画を進行させるためには、非オタであり、目の前で繰り広げられる事を一歩引いた立場から見つめる事のできる、春日部さんに視点を置く必要があるわけです。
前半、笹原が同人ショップデビューした話で彼に視点がおかれていたり、後半における彼自身の恋愛話で笹原に視点が戻されていたのも、同様の理由によるものです。
既に同人ショップへ精通してしまっている斑目に視点を置いたり、それなりに恋愛経験の豊富な春日部さんに視点を置いたりしてしまっては、盛り上がりもへったくれもなく面白さが激減してしまうわけですね。


えー、そんなわけで段々何がいいたいのか自分でも分からなくなってきましたが、とにかく春日部さんはこの物語を映し出す上で必要不可欠な存在であり、読者の良き『目』であったという話でした。
……やっぱり、もうちょっと内容について触れといた方が良かった気もするなあ(苦笑)。

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by ejison2005 | 2006-12-29 08:18 | 漫画 | Comments(0)
ダレン・シャン レビュー
今日は、週間少年サンデーで絶賛連載中のダレン・シャンをレビューするよ~。
ちなみに、原作の小説は未読。
僕は漫画版でゆっくりと楽しみたいので、今後も読む予定はありません。


さて、かなり簡単にあらすじを書くと、本作は蜘蛛が大好きという変わった趣味を持つ以外は至って平凡な少年ダレン・シャン(どうでもいいけど、つい『ジャン』って表記しそうになります)が吸血鬼ラーテン・クレスプリーに見込まれて吸血鬼と(正確には半分だけ)なる話です。
本作の見所は、ダレンの親友、

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スティーブの存在ですね。
このスティーブ、ちょっと危ない趣味があるらしく、

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部屋の中は、様々なオカルトグッズで埋め尽くされています。
その根性は半端じゃない程に太く、第一巻の内容は半分くらいダレンとスティーブがフリークショー(異形に産まれついた人々を見世物にする芝居)をこっそり見に行く話で構成されてるんですけど、

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こんな変態集団を目にしても、

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退屈だと言うくらいです。
この年にして、既にネジが何本が抜けてますね。
しかし、ショーの途中でオカルト・マニアの間では有名な吸血鬼、ラーテン・クレスプリーが一座の中に混ざっているのを見て態度が一変、ショーが終わった後で自分も吸血鬼にしてくれとせがみます。
後のシーンで分かる事なのですが、クレスプリーは召使い(というか弟子的な存在)が欲しくて候補を探している真っ最中だったりします。
要するに、この状況はカモネギなわけで、

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そこまで言うならと、ちょっと血の味を調べるクレスプリー。
しかし、

「な、なんと悪意に満ちた血だ……この悪魔め…

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「貴様には、人殺しの本能が宿っている!! 悪魔をバンパイアにするわけにはいかん! いや…絶対になれん!!

と言われ、断られてしまいました。
なんというか、吸血鬼にだけは言われたくない台詞のオンパレードですが、ともかく、スティーブは人間外から人でなし宣言を受けてしまいました。
気の毒なのは、これを目撃していたダレンです。
特別な存在になりたいとは子供に共通した夢ですが、まさか本物の怪物を目にして、自分もそうなりたいと願う程に親友が追い詰められていたとは……。
これを受けて、ダレンのとった行動とは――!

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クレスプリーの所有する蜘蛛、マダム・オクタの窃盗でした。何でだよ!
しかも、

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『マダム・オクタはもらっていく。お前の正体も知っているぞ。町中にばらされたくなければ、マダムはあきらめるんだ。ぼくはスティーブじゃない、スティーブは全然関係ない。クモは大切にする』
という、お前それはギャグでやってるのか? という感じの脅迫状まで置いてきます。
その上、マダムの取り扱いに失敗して、

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スティーブが刺されてしまいました。何かのコントみたいです。
クレスプリーなら解毒薬を持ってるかも知れないと考え、ダレンは町を駆けずり回って彼に接触します。
そこで、クレスプリーが突きつけた解毒薬との交換条件とは、

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ダレンが、自分と同じ吸血鬼となる事でした。
先にも述べた通り、クレスプリーの目的は自分の召使いを見つける事であり、実はダレンにずっと目をつけていたのです。
条件を呑み、半バンパイアとなるダレン。
スティーブは救う事ができましたが、紆余曲折の果てにダレンが半バンパイアとなった事がバレてしまいます。
自らの死を偽装し、クレスプリーと共に旅立とうとするダレンの前に現れ、

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その命を奪おうとするスティーブ。
この時は失敗しますが、

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バンパイアハンターとして再び現れる事を誓うのでした。
これはちょっとネタバレになるんですけど、最近はポンと一年の時間が過ぎたりしてたんで、そのうち青年となってダレンの命を奪おうとしたりするのでしょう。
この物語で僕が気に入ってるのは、吸血鬼にさえ生まれつきの悪党と断じられたスティーブがバンパイアハンターといういわば善の側に身を置き、明るく正直な性格のダレンが吸血鬼という分かりやすい悪の側に身を投じる点ですね。
これ、スティーブが吸血鬼でダレンがバンパイアハンターだとステロタイプなキャラが二人誕生するだけでそんなに面白い話にはならないと思うんですけど、それをあえて逆転させて対立させた事で、物語に深みを与えています。
また、フリークショーを扱ったりしている点からも分かる通り、この作品は異形としてこの世を生きるという事……もっというなら『歪である事』がテーマになってるんですが、この善の側に身を置く悪人と悪の側に身を置く善人という対立構造が、それを象徴する形になってるのも憎いです。
キャラの配置に無駄というものがなく、美しくさえ感じられますね。
今のところ、そんなに作中時間が流れてないから再登場はしてませんが、そのうちスティーブと再開したらどうなるのか、今から楽しみです。

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by ejison2005 | 2006-12-07 03:17 | 漫画 | Comments(0)
BLACK LAGOON 6巻 レビュー
みんな大好き、BLACK LAGOONの6巻を買ったからレビューを書くよ~。
とはいえ、今巻に収録されている『偽札編』と『ロベルタ復讐編』のうち『偽札編』に関してはアニメ感想で既にやっちゃってるから、今回は『ロベルタ復讐編』のみという事で。


さて、この『ロベルタ復讐編』は呼んで字の如くロベルタちゃんが復讐する話です。
何に対しての復習かというと、

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ご主人様が殺された事に対しての。
うわあ、犯人やっちゃたあ
ロアナプラと南米では距離があるとはいえ、あれだけ暴れたんだから情報掴んどけよという感じです。

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案の定、殺る気満々なロベルタちゃんはラブレス家伝来の古銃と共にロアナプラへ一人旅立ったのでした。まる。

というわけで、舞台は変わってロアナプラ。
再びロベルタちゃんの姿が目撃されたという事で、あっちもこっちも大騒ぎになっちゃってます。
ロックはこの状況を見て、

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双子の時みたいだと言ってましたが、いやそれはどうだろう?
双子はかろうじて人間に対処可能な脅威だったと思いますが、ロベルタちゃんは人間にどうこうできる存在じゃないと思う。だってターミネーターだよ?
僕ならしばらくロアナプラを離れますが、間が悪い事にロック達が酒を飲んでる時に、

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恐怖は、自分からやって来たのでした……。

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思ってもいなさすぎな形で。

ロリッ子メイドキターというか、広江先生ってばあざとすぎです。
で、このファビオラちゃん。

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ラブレス家の家訓なのか、ロベルタちゃん同様に持ち歩いてる無駄にでかい鞄には銃の代わりに飴が入ってたり、ある意味全身萌え兵器です。
くそう、ここで萌えたら負けの様な気がするなあ。まだだ! まだ終わらんよ!
まあ、可愛かろうが何だろうが、

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結局は撃ち合いにって何だそのカメラアングルは!? 萌えっ!

……。

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くそう、皆すまねえ…。負けちまいましたっ!!

何かもう、レビューでも何でもない気がしてきたけど、ともかくBLACK LAGOON第6巻はそういうお話です。

そして、恒例オマケコーナーは、

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怖い話編。

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はあ……超仲良い……。

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by ejison2005 | 2006-12-02 00:48 | 漫画 | Comments(9)
皇国の守護者 レビュー
世に戦争を題材にした漫画は数あれど、皇国の守護者よりも面白く『戦争』を描いている作品は無いんじゃないですかね?

まず最初に、簡潔に物語を伝えておくと、明治時代くらいの文明レベルを持つ世界で、主人公達が住む<皇国>と呼ばれる日本をモチーフにした国へ、<帝国>と呼ばれるチンギス・ハーンが建国したモンゴル帝国にブリテンとかドイツとか色々ゴッチャになったみたいな超大国が攻めて来ちゃった、どうしようというのが概要です。
そして、主人公新城直衛中尉(途中から大尉)が配属されている北領(北海道がモチーフ)が戦いの舞台(少なくとも現在は)となるんですけど、この帝国軍がアホみたいに強い上に、数も半端ではなく、

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指揮官まで無茶苦茶有能な上に超美人です! 
そりゃあ、兵隊さん達もやる気が出るさ! ああ、出るさ!
その結果、新城中尉の所属する皇国軍は緒戦で壊滅し、上司である指揮官達も無能揃いという最悪の状況へ追い込まれます。
しかも、指揮官さん達が美人の姉ちゃんならともかく、

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全員むさいおっさんです。
新城中尉が率いている兵士以外は基本的に戦意がガタガタなのですが、そりゃおっさんじゃなあ……。
有能で美人の指揮官>>>>>超えられない壁>>>>>無能でおっさんな指揮官
ですよ。

さて、この漫画の見所としては、やはり『危機的状況へ追い込まれた主人公達が、如何にして現状を打破するか』でしょう。
これ、どんな物語にも普通は盛り込まれている基本的なテーマなのですが、この作品は主人公達への追い込みっぷりが生半可ではなく、
・上司は基本的に無能揃い。しかも、敵の指揮官は超有能(ついでに美人)。
・さらに、大隊規模しかない部隊で敵全軍を何日も足止めしろと命じられます。
・さらにさらに、何とかひねり出した作戦も実行部隊が悪天候で遭難して大失敗。
大体こんな感じです。
ちなみに、これは大勢を見た場合であり、戦術的なレベルではそれこそ無数の危機が彼らを襲います。
そして、この漫画の凄いのはこれら危機を新城中尉は現状持っている駒だけで解決していく点です。
味方側が窮地を打破する際には、偶然の要素は全然絡んできません。
というか、偶然が絡むのは基本的に状況が悪化する時です。
こういうところ、作劇の基本を熟知してるな~と思わされる作品ですね。

上でも書いた通り、窮地からの逆転こそが、全ての創作物で求められている展開です。

もう、それさえキチンとこなせば半分くらいは仕事を終えているといっても良い。
それくらい、これは大事な事です。
恋愛漫画だろうがギャグ漫画だろうが、突き詰めていくと普通はここへ行き着きます。

というのも、物語というのは何かが欠けている状態が元に戻っていくものだからです。

例えば、悪い魔王にさらわれたお姫様を助けるとかまさにそれですね。
悪い魔王にお姫様がさらわれた状態という非日常を打破し、(途中の工程でやや形が変わるかも知れないけど)お姫様が存在する状態という日常を取り戻すわけですから。
恋愛物だと、恋心が満たされてない状態を恋心が満たされている状態へ戻すという感じでしょうか?
そして、この命題をいかにこなすかが全ての創作物の出来を決めるといって過言ではありません。
やはり、理想としては偶然や火事場の底力に頼らず、読者にあらかじめ提示した手札から問題を解決していくのがベストですね。
その点、この作品は徹底していて、

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自分達が生き残るためなら、(もちろん住人は逃がした上で)井戸に毒まで投げ込みます。
打算に満ち溢れた展開といっても、良いかも知れません。
打算を働かせるというのは、要するに全力で問題を解決しようとしている状態なわけですから、創作物においてキャラに打算を働かせる事はとても大事。

そしてもうひとつ、本作で積極的に褒められるべきポイントとして、『キャラには大抵二面性が持たされている』というのがあります。
例をあげると、

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戦う度に震えが起きる様な臆病者なのに、

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いざ戦うと、超Sになる新城中尉とか、

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勇猛果敢で知られる敵の騎士が、

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実は、争いを好まない温厚な性格だったりです。
この、キャラに二面性を持たせるというのは非常に陳腐で使い古された手法なのですが、そりゃ効果的だから使い古されるわけで、本作はその有用性を熟知しています。
大人しい人ほど怒ると怖いとはよく言われますが、それは普段との状態にギャップを感じるからです。
もっと分かりやす例をあげると、普段は粗暴な不良が雨に濡れている捨て猫を拾ってると凄く良い人に見えるとかですね。
不思議なもので人間とは、普段から親切で優しく動物好きな人がそれをやってるよりも、何故か乱暴な不良がやってる時の方が良い人の様に感じられてしまうものなのです。
人間描写において、正の要素は負の要素を掛け合わせる事で何倍もの効果を生み出すわけですね。
この漫画は、ほとんど全ての登場人物が内面に葛藤を備えており、そこから生み出される二面性が深みを与えています。


まとめ
この作品を読んでいると、どうしても剣牙虎(新城中尉達の従えているサーベルタイガー)などの表面的な要素に目がいってしまいがちですが、こういった当たり前の要素を高水準でこなしている事も頭に入れながら読むと、より多くの感動が得られるかも知れません。

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by ejison2005 | 2006-11-23 03:03 | 漫画 | Comments(4)
Y十M レビュー
本日ご紹介するY十Mは、バジリスクでおなじみせがわまさき先生&山田風太郎先生のコンビによる忍法帖シリーズの作品です。
ただ、作品としての趣は大分違っていまして、まず、Y十Mはバリバリの能力バトル漫画だったバジリスクとは違って、人間離れした超能力とかは登場しません。
もちろん、だからといって戦闘面がヘボくなってるわけではなく、敵として登場する『会津七本槍』は、

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それぞれの得意とする武器を極限まで鍛え上げた超人達です。
しかし、これがバジリスクと大きく違う部分なのですが、味方側は敵の会津七本槍に比べて極端に戦力が低いです。
というか、元がお侍の娘さんとか人妻とかその奉公人であり、

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全員女です。その戦闘力のショボさたるや、生半可なものではありません。
すったもんだの末に、主人公、

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柳生十兵衛がこの女性達を鍛え上げ、策を授け、見事仇討ちを成し遂げるお手伝いをするというのが基本ストーリーです。
ちなみに、十兵衛はどうも同じく山田風太郎作品である魔界転生の主人公を勤めた柳生十兵衛と同一人物で、このお話はその前日談でもあるらしく、伝説の勇者!
当然ながら超強く、ちょっと七本槍の強さを確認するために七本存在する槍のうち三人を相手に戦っても、普通に圧倒して悠々と撤退して来たほどです。
仮に仇討ちを挑む女の人達が全滅したとしても、その後には十兵衛が自分で討ち取りに来るのは必定なわけで、そういった意味では会津七本槍は既に詰みですね。

で、この漫画の見所は十兵衛単独なら割と楽勝な七本槍を、七人で挑んでも七本槍一人にさえ勝てないだろう仇討ち志願の女性達にも勝てるよう(もちろん体も鍛えさせてるけど)一生懸命に策を練って戦わせるところ。
例えば、これはちょっとネタバレになるんだけど、七本槍の中でも鎖鎌を得意とする敵を倒す際は、あらかじめ配置した巨大な桶に隠れたと思わせ実際は内部の仕掛けで脱出し、代わりに入れておいたこれまた巨大なザルで、桶の中に入っている(はずの)女性を狙って放った鎖鎌を絡め取り、武器が使用不能になったところを七人で滅多刺しにしたりします。
ここら辺のシーンは、せがわまさき先生の画力と相まって、迫力と内容の凝縮した素晴らしい殺陣となってますね。

そんなY十Mですが、今週(46話)の内容が面白かったのでちょっと紹介しておきましょう。
冒頭、現在は自分の領地に帰ろうとしている七本槍とその主人一行を追従している最中なのですが、女性達の一人が普通にこけて足を捻挫します。
僕らの感覚だと、その調子で君達は本当に仇を討てるのかね? と心配してしまうところですが、そこは流石に我らが十兵衛。
まあ、くじいちゃったもんはしょうがないよねという事で、足が悪化しないよう転んじゃった人をおぶって先へ進もうとします。
と、そこへ突然、

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このように、いきなり転んだ人を責め始める残りの女性陣。
これには十兵衛も呆気にとられ、
「いやいや、俺は女人の一人や二人くらい楽勝で背負えるし、楽しく行こうよ」
という意味の台詞を言うのですが、今度は、

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足を挫いちゃった人まで、こんな事を言い出す始末。
十兵衛が理由を問いただすと、

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いきなりのカミングアウトをしちゃいます。

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そして、かつてない程に面白い表情をする十兵衛。重ねて申し上げますが、彼は後に魔界転生を戦い抜いた英傑です。
ある意味今までに無い脅威を前に完全に取り乱し、
「…ここに(先行している)沢庵老師がおられたら……そのひがみ根性を叩き直してもらうところだ!」
と、思わず口走ってしまいます。
ああ、それは地雷だよ~と思ってたら、

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案の定、本当に沢庵老師の所へ向かっちゃう女性二人。

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そして、最後に残ってくれた女性に対し、非常に情けない顔でご機嫌伺いしちゃう十兵衛。

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が、アウトでした。
……。

おお、十兵衛よ! フラグを立て損なうとは情けない!

でもまあ、仕方が無いですよね。
今まで、忍法帖シリーズのノリでやって来たのに、いきなりハーレム物の主人公にされては、そりゃ困惑するというものです。

それにしても、恐るべきは山田風太郎先生ですよ。
今調べたところ、Y十Mの原作である柳生忍法帖を執筆したのは昭和中期みたいなんですが、その時点でハーレム要素や能力バトル要素を普通に打ち出していたわけですから。
鬼才という言葉は、この人みたいな人間に使うべきなんでしょうなあ。

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by ejison2005 | 2006-11-16 23:30 | 漫画 | Comments(11)