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鉄腕バーディー 感想

鉄腕バーディー 1 (ヤングサンデーコミックス)

ゆうき まさみ / 小学館


 今更ながら読んでみて、面白かったので適当に感想をば。とりあえず10巻まで。


序盤

 あなたはどこのM78星雲からやってきた宇宙警備隊員ですかw
 そんなわけで、第一回からヒロインが業務上過失致死をかましてしまうため、油断していると、どんどん彼女からプロフェッショナル性が失われてしまうわけですが、そこは緊急時の冷静な対応と、圧倒的な戦闘力で維持している感じ。
 そういったシーンを作り出すため、序盤は敵を追いかけたり敵に襲われたりといったシチュエーションが多いのが特徴ですね。後々になって魅力を発揮するボスキャラの皆さんも、初期の巻だけだと、ものすごくステロタイプの悪役に見える。でも、「痛い目に遭ったことがないと見える」といった台詞を吐かせ、スーパーゴメスタイムへの伏線をバッチリ張ってはいるのだった。


バチルス登場~立てこもり事件

 そろそろヒロインのピンチが必要だよね! と言わんばかりに、特殊能力持ちの敵やら高性能のアンドロイドやらが登場。とはいえ、まだまだバーディーの格を下げるわけにはいかない(主人公サイドの優位点といえばそのくらいだし)ため、単純な戦闘力で上回っているのではなく、寄生能力が厄介であったり、こちらの不意を打つ形での戦闘だったりと、バーディーが苦戦せざるを得ない理由付けが沢山なされているのであった。

 そんなわけで、再登場することになる人形と書いて人魚と読むきんな彼女はともかく、バチルスさんの方は割と不憫な立ち位置なのですが、しかし、そんな彼の引き起こす立てこもり事件は、物語上、極めて重要な転換点となるのでした。いわゆるひとつの「男の戦い」ですね。
 シンジ君ならぬつとむ君は基本、宇宙人による業務上過失致死の哀れな犠牲者であり、「フッフッフッフッフッフ……」と重要な説明を全てはぐらかした光の巨人の犠牲者よりナンボかマシな程度の立ち位置なわけですが、かといって、ひとつの漫画における主人公である以上、ずっと俺は被害者ですよ関係ありませんよというツラをされていても困るわけで、立てこもり事件は、そこら辺の精神性を是正する上で、極めて重要な役割を果たしていると言えます。

 それにまあ、「二心同体」から(一時的にでも何でも)「一心同体」へ、というのは、この作品の抱えているテーマであり、バチルス編はそれをキッチリ消化しているからね。だから、ここら辺のエピソードはかなり好き。
 
 ちなみに、この事件で一番かわいそうなのは、バチルスに寄生された刑事さん。別に悪人じゃないからね。どころか、割とガチで真相に迫っている勘の良さだし。


 なんちゃらファイル

 ゆうき先生、あなた疲れているのよ、なシリーズ。
 うん、ぶっちゃけ、ここら辺のエピソードからは引き延ばし臭しか感じないんだよなあ(苦笑)。ゆうき先生の作風からして、忘れたころに(おそらく地球人サイドと宇宙人サイドが本格接触しだした辺りに)再びフィーチャーされ、重要になってくるんだろうけど。
 ただし、味方サイドの援軍がサッパリ当てになりませんよ、というのを印象付ける意味では、これ以上ないくらいに成功していると思う。うん、こいつら信用できねえ(爽やかに)。
 バーディーが信頼できる味方を――それも一人二人ではなく組織的な味方を――手に入れちゃうと、一気に事件が収束してしまう(何せ敵組織は対抗できるほど強大ではない)ため、ここら辺りのエピソードも、それに歯止めをかけるという意味では重要なのかも分からんね。


 千明・ザ・ダブルクロス

 お前だけなんか別作品のキャラになってるよ、エフェクトとか組み合わせてそうだよ、なキャラクター。いやはや、最初はただの友人Aだと思ってたのに、意外なところからキーパーソンが輩出されるもんだ。
 バーディーへの恋慕とか、リーさんに粉かけられたりとか、当初はいくつかの展開を考えてたっぽいけど、最終的にはゴメスさん一家との親交を深める方向で落ち着きましたね。その正統派ヒーローっぷりたるや、やっぱお前出てくる作品を間違え(ry

 彼の存在そのものがゴメスさんの良心の体現であるため、今後もセットで活躍することが予想される。しかし、バーディーに惚れてみたり、幼女から好感を持たれてみたり、ヤンデレ獣ビューティーに発情されてみたり、やっぱりお前出てく(ry


 キャーゴメスさんカッコイー!

 ぶっちゃけ、僕が読んだ段階では、この作品の魅力の八割を彼が担っているw 悪人だけど悪人じゃない、そのサジ加減が絶妙なんだ。いや、そもそも家族との暮らしを守りたいだけっぽいから、そういう観点では巻き込まれてしまっただけの善人なのかもしれないけど。本業は輸入商と明言してるしなあ。
 名台詞もいっぱいあるんだけど、特に好きなのが千明君に向けた「君のその愚かしい部分に好感を覚える」(うろ覚え)という台詞。彼の心理を如実に表したひと言だと思う。

 同作者のカリスマ的悪役である内海課長とは違い、ちゃんと手段と目的を選び、他人の迷惑も鑑みれる常識人だし、どうか死んだりせずに、幸せな結末を迎えて欲しい。


 情報と謎

 この作品の好感が持てるポイントとして、あらかじめ読者に、この組織はこういう悪事を行っていてこういう情報を所持している、というのを提示しているため、純粋に状況とキャラクター達の心情・関係性の推移を楽しめるというのがあります。いや、一応、謎として残されている部分もあるんだけど、大概は読者に与えられた情報の中で推測できるものだし。
 やろうと思えば、要所要所で新しい情報と謎を提示するスタイルにも出来たと思うんだけど、そういう小技に頼らず、あくまで物語の本道たる状況心情関係の変化を描く! そこに痺れる! 憧れるぅ!

 ついでに書いとくと、こういった各組織の思惑を入り乱れさせていくやり方は、パトレイバーの正当進化という感じがしますね。



 続きはまた今度で。

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by ejison2005 | 2010-06-18 02:53 | 漫画
激戦区☆ツンぷに食堂 レビュー
 諸君! 生きることは戦うことです!
 そして諸君! 生きることはまた、食べることです!
 つまり諸君! 食べるということは、戦いなのです!

激戦区・ツンぷに食堂(1) (バンブー・コミックス MOMO SELECTION)

RYU-TMR / 竹書房


 そんなわけで、本日レビューさせて頂く「激戦区☆ツンぷに食堂」は、若き命がたぎり! 燃え上がり! 激突する戦いの地、学生食堂をテーマにしたコメディ漫画です。


 題材勝ち一本勝負!

 さて、かなりシビアなことをぶっちゃけてしまいますが、漫画(に限らないけど)などというものは、読者が興味を持ちそうな、いまだ未開拓の分野を取り扱っているかどうかで、ある程度の勝負がついてしまうものです。確か、かってに改蔵のネタだったと思いますが、大切なのはバージンスノーであるかどうかなのです。
 もっとぶっちゃけてしまうのならば、誰も触れていない題材というものは、イコールでその漫画でしか味わえない面白さにつながるわけで、それはつまり、オリジナリティの確立につながるわけです。オリジナリティの大切さについては、かつて週刊少年ジャンプ誌上で二度もアニメ化作品を排出し、今またジャンプSQにてアニメ化作品のコミカライズを務める某大物漫画家の、「もっとオリジナリティを!」という金言を持ち出すまでもありませんね。

 話が少しそれてしまいましたが、この漫画がテーマとして扱っているのは「学食」! かつて、多くの学園コメディの中において、話を盛り上げる舞台装置としては機能すれど、ついぞメインストリームとなることはなかった、魅惑のワンダーランドです。
 学校でありながら食事処! 食事処でありながら学校! 通常の店ではありえない低価格! 飢えた食べ盛りの顧客に対応すべく用意された、ボリューム満点の各種料理! そんな空間での一人飯の何と寂しいことだったか! などなど、学食にはこれだけの夢が! 幻想が! ファンタジーが詰まっています! にも関わらず、少なくとも管理人の記憶に残るような、学食をテーマとした漫画はついぞ発表されないままに、今の今まできていたのです。

 だから、この漫画について語るのならば、このひと言で十分なのでしょう……。

 学食をテーマにした漫画です!
 
 漫画家という名の群雄がひしめき合う原野において、見事に自らの領地を切り取り独立することに成功しているこの作品、学食というテーマに興味を持ったのならばひとまず読むべし!


 強弱のハッキリした魅力的な線が光る

 テーマに関してばかりで、全然登場人物などに触れず話を進めてまいりましたが、この作品、掲載雑誌はまんがライフMOMOです。いわゆる萌え四コマを主力商品とする(らしい)同誌の作品なだけあり、

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 抜かりなく萌えキャラ、萌えシチュエーションの数々を用意しております。新刊を(ここ重要)自分で買って確かめてね(はあと
 で、あるからには当然ながら画力も重要となってくるわけですが、本作を読んでいて非常に印象深いのは、Gペンらしい強弱のメリハリがはっきりついたシャープな線の数々! 絵柄というよりは線! でも線が集まれば面! 面が集まれば絵! 細くあるべき箇所は細く、太くあるべき箇所は太く描かれた力強い線は、紙面にどっしりとした重みを与え、こちらの視線を釘付けにしてくれます。

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 特に、この漫画は飢えた狼達の集いしヴァルハラ――学食――を舞台としているだけあって、萌え漫画としては例外的にヤロー共の登場する場面が多いため、そういった局面において、この特徴はかなりの強みを発揮しています。
 本能をむき出しにした暑っ苦しい男達を、たくましいタッチで描き抜いたシーンの数々! そういったものに需要を感じちゃう方にもオススメできる、全方面的な漫画ということですね!

 とはいえ、そういったムサ苦しい場面ばかりかといえば、そんなことはありません。繰り返しになりますが、本作もまんがライフMOMOにて連載中のれっきとした萌え漫画。

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 もちろん、ぶっかけなどの定番シチュも各種取り揃え、絶対領域は唸りをあげるぜ! 新刊を(ここ重要)自分で買って確かめてね(はあと


 まとめ

 そんなわけで、本作は学食という唯一無二の題材を取り扱い、かつ、力感にあふれた線で描かれたサービスシーンでもって、こちらの目を楽しませてくれるコメディ漫画です。

 定食なりドンブリなりラーメンなりうどんなりソバなりスパゲッティなりを山盛りで平らげてから、あるいは、読んでから平らげる心積もりで読むべし!

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by ejison2005 | 2010-06-10 23:33 | 漫画
夜桜四重奏 レビュー

夜桜四重奏~ヨザクラカルテット~(1) (シリウスコミックス)

ヤスダ スズヒト / 講談社



 本日ご紹介する夜桜四重奏(ヨザクラカルテット)は、ヤスダスズヒト先生による妖怪と人との触れ合いをテーマにした漫画です。

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 ちなみに、2008年10月から同年12月までテレビアニメも放送されていました。


 泥臭さは極限まで低減

 ところで皆さん、「妖怪と~」なんて目にして、「ああ、じゃあ泥臭くておどろどろしい雰囲気の漫画なのかな?」と思われたのではないでしょうか。そこら辺は水木しげる先生の功績が大きいのではないかと思いますが、日本の妖怪はそういったイメージを持って想像されてしまいがちなものです。
 しかし、そういった雰囲気が苦手な方はご安心あれ!

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 ↑サトリです。

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 ↑鬼です。

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 ↑キョンシーです。

 基本的に、デミ・ヒューマンタイプの妖怪しか作中に登場しないこともありますが、本作において妖怪という存在は、人間と同じ姿で描かれています。フリーザ様みたいに、第二第三の形態を隠しているということもなく、完全に人間の姿で固定。
 むしろ、ヤスダ先生の画風における特徴であるシャープな線と、艶やかな色遣い(いやモノクロだけど)によって描かれるキャラクター達は、そういった暗い雰囲気とは真逆の、ライト&ポップな空気を感じさせてくれます。

 そういった明るさはストーリーにも色濃く反映されており、本作の基本は、妖怪と人間とが共存する不思議な町でのコメディ。どんな状況でも決して余裕を失わない人達による、お気楽な物語が展開されていきます。
 その自然体ぶりたるや見事なものであり、肩の力を抜いてホッと一息つきながら楽しめる作品に仕上がっているといえるでしょう。


 長所の裏で短所も目立つ

 しかしながら、長所というものは翻せば短所になってしまうものでして、例えば、本作の場合ですと、僕はまず、妖怪という存在のおどろどろしさを極力無くしたことを評価しました。
 そして、それは同時に、妖怪という存在からおどろどろしさを抜いてしまったのならば何が残るのか? という問題に直面してしまうことも意味しているのです。
 単なる異種族同士の融和をテーマにしたいのならば、別に妖怪でなくとも、例えば宇宙人が降臨してもいいわけで、妖怪をテーマにした作品ならではの何がしかというのが、この作品には欠けています。

 更に、作品全体を貫く明るい雰囲気も、シリアス長編の時には災いしてしまっている面があり、とにかく皆さん、緊張感が欠けている面がある上、味方側に何やかんやで必ず助けてくれそうな超強いお助けキャラが複数存在するため、どれだけ危機的な状況だと煽ってみても、常に何とかなりそうな気がしてしまい、いまいちシリアスになりきれません。
 また、ヒロインの抱えているある秘密が読者に対しては全く効果的に機能していなかったりなど、ストーリー面でも不備が目立ちます。


 まとめ

 そんなわけで本作は、良い意味でも悪い意味でも、ライト&ポップさを極限まで追求した作品です。
 決して万人にオススメできる作品ではありませんが、とにかく軽みのある、読んでいて疲れを感じさせない漫画に仕上がっていますので、そういったものを求める方に読んでもらいたいですね。

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by ejison2005 | 2010-06-04 04:28 | 漫画
テラオ レビュー

テラオ The next generation machine 1巻 (BEAM COMIX)

近藤 るるる / エンターブレイン



 大・丈・夫! ファミ通の連載漫画だよ!


 あらすじ

 無類のゲーム好きな小学校教師、石原駈は、ある日、モンスターペアレントに目を付けられたのが原因で、本州からの片道所要時間25時間30分! 諸島形成以来、一度も大陸と地繋がりになったことがなく、そのため独自のガラパゴス的生態系を持つ、住所表記的にはギリギリ東京都内の超離島、小笠浦諸島の学校へと転任を余儀なくされる。
 大好きなゲームを買うのにもネット通販で10日以上必要という環境に、最初は不満を覚えた石原先生であったが、

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 離島育ち故か、都会の子供達にはない純朴さを備えた生徒達や、島民の皆さんとの触れ合いを通じて――、

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 通じ――、

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 通――、

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                      ____    、
                    /:::::::::::::::::::::::::""'''-
                   //, -‐―、:::::::::::::::::::::
            ___    巛/    \::::::::::::::::
        _-=三三三ミミ、.//!       l、:::::::::::::
     ==三= ̄      《|ll|ニヽ l∠三,,`\\::
        /              |||"''》 ''"└┴‐` `ヽ
         !             | /         
       |‐-、:::、∠三"`    | ヽ=     U   
       |"''》 ''"└┴`       | ゝ―-       
       | /           ヽ ""        ,. 
        | ヽ=   、    U    lヽ、___,,,...-‐''"  
.        | ゝ―-'′          |  |::::::::::::_,,,...-‐'"
          ヽ ""        ,.    | | ̄ ̄ ̄      
        ヽ、___,,,...-‐''"  ,,..-'''~            
          厂|  厂‐'''~      〇
        | ̄\| /


 続・あらすじ

         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|     レビューを続ける前に言っておく!     
          |i i|    }! }} //|     俺は今この漫画をほんのちょっぴりだが読んでみた
         |l、{   j} /,,ィ//|       い……いや……読んだといっても全く理解を超えていたのだが……
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        『無人島で子供との触れ合いを行う教師漫画だと思っていたら
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |        なんかロボットがいた』
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        な……なにを言ってるのかわからねーと思うが
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉    俺も何が起こってるのか分からなかった
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった……
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \    超スピードだとか催眠術だとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっとメカ沢な片鱗を感じたぜ……


 続々・あらすじ

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 しかもセ○である。

 さて、タイトルにもなっているこのロボットこと、

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 テラオはどんなハードのゲームソフトでも取り込み、現実へとその内容を反映させる能力を持っており、それによって巻き起こされる事件を解決したり、たまに自分の目的のためにその能力を活用させてもらったりしながら、石原先生が楽しい離島ライフを送っていく、というのが本作の基本ストーリーです。


 離島×ゲーム

 さて、長々とあらすじで語った通り、本作は離島モノとして極めてまっとうなストーリーに、掲載誌がファミ通であることからくる大人の事情とが見事に組み合わさり、作品の舞台以上にガラパゴスな漫画として仕上がっています。
 ここで特筆すべきは、この二つのコンセプトがバラバラにかい離しているのではなく、有機的に反応し合い、作品の面白さを引き出す働きをしていることでしょう。
 ネタバレになるので詳細は省きますが、主人公である石原先生は、まだまだ子供たちへの接し方に悩んでいる若手教師。当然ながら、新しい生徒である島の子供達にも、どのような授業をすればいいのか分からずにいたのですが、しかし、テラオの能力によってゲームのイベントを現実世界で共に体感することで、自分がどういう教師を目指せば良いのか、その指針を得ていくわけです。

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 大自然の残る離島での暮らしを題材にしているのなら、普通は文明を否定するようなお話になりそうなものですが、この漫画はそれを逆手に取り、むしろ、文明が生み出した娯楽であるゲームを通じ、主人公が成長していくわけですね。

 掲載誌であるファミ通の需要も満たしながら、しっかりプラスアルファも与えているわけで、作者である近藤るるる先生の力量がうかがえるというものです。


 前作人気キャラクターの正ヒロイン化

 さて、本作のもうひとつ、大きな目玉として、前作たかまれ!タカマルの人気キャラクターである蓮沼先輩が続投し、のみならず、正ヒロインにまで昇格していることが挙げられます。

 この蓮沼先輩(というか夢を叶えたので蓮沼「先生」)というキャラは、前作でかなりの人気を誇ったキャラであったものの、極度のブラコンという設定や、作中のストーリーの流れから、ラブコメに登場するヒロインでありながら、これといって浮いた話もないままに最終回を迎えるという、僕みたいなカプ厨にとっては大変残念な結末を迎えてしまいました。
 しかし、近藤るるる先生は、そんなファンの嘆きを分かっていた!
 結果として起こったのが、前作からの続投&メインヒロイン化という、大逆転ウルトラCな展開なのです。

 しかも、単に昇格しているだけではなく、石原先生とのラブコメに関してはかなり力を入れて描写されており、

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 作品を担うメインストリームの一角として、十二分に読者を惹きつけてくれます。

 単純にラブコメとして面白いだけではなく、前作からのファンの心もバッチリ満たしてくれているわけで、過去作で培ってきたキャラクター資産を上手く使った好例であるといえるでしょう。


 まとめ

 そんなわけでテラオは、離島モノの基本フォーマットに、ゲーム要素を上手く組み合わせ、かつ、前作ファンへのサービスも充実している一作です。
 一話辺り8ページという制約の中で、見事に起承転結を成している構成能力に感嘆するも良し! 近藤るるる先生らしい肩の力を抜いて楽しめるラブコメを満喫するも良し! 俺に良し! お前に良し! なこの作品、皆さんにもお楽しみ頂ければ幸いです。

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by ejison2005 | 2010-05-30 02:22 | 漫画
ヤングガンガン 10年 11号 感想
 三回やるのがお約束なので。


 Lastin Genie(新連載)

 とりあえず、主人公のツラを見て二人の少年漫画家が週刊少年ジャンプでの成り上がりを目指す作品だと思った奴は挙手だ。似てるよね?

 そんな新連載第一話ですが、なんかもう、設定を説明するのでイッパイイッパイという感じで、肝心な主人公の目的や思想などについて、ほとんど触れられずに終わってしまっているのがなんともはや。確かに、ここがどういう世界でどんな事態になっているのかは大事なことだけど、そこを生きる主人公が何を考え何を目指しどう成長していくのかは、それよりも更に大事なことだと思うんだぜ。

 また、もうひとつ気になった点として、主人公が宇宙人との友愛を目指すというストーリーなのに、結局、第一話の時点では過去に宇宙人がしでかしたことについて触れられているだけで、宇宙人そのものは一切登場していないというのが挙げられます。何だかよく分からないものと仲良くしようとするぜ! なんて言われても、やっぱり何だかよく分からないまま終わってしまうだけなわけで、宇宙人がどのような思想や文化を備えているのか、その一端だけでも示さないと異星間交遊を題材とした意味がないのです。
 例えば、エイリアンとブレデターとでは、同じ宇宙人だとしても人類側の対応は全く異なるものになるわけですが、それと同じですね。

 ところで、本編とは関係ありませんが、主人公がワイヤーでDQNを脅しながら格好つけるシーンが、クラクラするくらい厨二病だったと思います。


 WORKING

 4コマ漫画の感想を書くのって何気にかなりの試練だけど、でも、せっかくアニメ化されてるんだし頑張って書くぜ!

 冒頭からさりげなくデイジーを画面端に登場させているのが芸コマだったと思います。


 荒川アンダーザブリッジ

 アニメ化にともない、掲載率が上がっているのは大変嬉しいのですが、でも、こういう絵柄で描かれてしまうと何だか微妙に損した気もするような、複雑な気分になりますね。いや、そういう演出だってのは分かるんだけどさ。

 あと、これがご両親の真の姿だった場合、ご両親がまだ変身を残しているのか、はたまた、ニノさんがまだ変身を残しているのか、いずれにせよ、非常に微妙な感想を与えられますので、さすがにこれは錯乱したリクフィルターを通した結果だと思いたいです。


 咲

 今週のあらすじ:風越勢の緊張がほぐれた翌日、会場でクジを引いた。

 ううむ、見事に書くことがないぞう。3ページにも渡って東京の街中を歩くシーンは、今後の展開にどのような影響を及ぼすというのだろうか。
 ラストの永水女子に関しても、そりゃ、僕はアニメ見てたからお面の娘さんが凄まじい絶対領域(=この漫画的に戦闘力)を有しているのは知ってるけど、この漫画自体ではあんまり触れてなかったと思うし、これで盛り上がるのはちとキツイぜ。


 牙の旅商人

 案の定というか何というか、主人公にとっての至上命題であるところの仇討ちは、早くもどうでもいい感じになってきたでござる。
 しかしまあ、それをさて置き、ひとつの独立したエピソードとして考えた場合、ちゃんとこの世界における武器行商人のあり方を描きながら、読者に何が正しかったのか考えさせる構成になっており、非常に面白く仕上がっていました。それだけに、仇討ちのどうでも良さ加減が目につくんだけど。

 演出面に関してですが、大きな代償を払うことで水の恵みを得ている村なのですから、こんな北斗の拳に出てきそうな荒野荒野した地ではなく、もっと緑に包まれた土地として描くべきだったのと、お爺ちゃんの回想では残忍で狡猾な印象を与えた神様が、いざ姿を現すと一片の理性も感じさせなかったのを、何とかすべきだったんじゃないでしょうか。


 フダンシズム

 息子の女装に気づけたのは、母の愛でも何でもなく単に腐っていたからだという事実に、得体の知れない恐怖を覚えました。

 あと、やっぱりこの漫画の真ヒロインは六徳さんだね!


 魍魎の揺りかご

 普通の時間進行になったことで、だいぶ状況が分かりやすくなりました。どうして、最初からこうしなかったんだろう。
 しかし、殺人鬼登場シーンは、もうオブラートで包む気すらなく明確にバイオのパロディだよね。恐怖とかそういうのより、笑いが勝っちゃったんだけど。

 本編ですが、馬鹿が馬鹿なりの考えで馬鹿な行動を取った結果、命の危機に見舞われてしまったわけで、何ともコメントに困る展開でした。ハッチを発見した時点で戻り、仲間と合流してから子供を捜索するなり、最初から事情を仲間に説明しとくなりしようぜ。この娘さんを差し置いて、一人でどっか行っちゃうからと罵られてた滝川君カワイソス(´・ω・`)

 あと、子供を探すヒロインの視点で描かれたコマのひとつに、自分が今こうして潜水している中へ同じく没しているトイレが存在するのは、ちょっと面白いですね。こういうのって、分かっちゃいるけど気になるよな。


 黒神

 族長同士の会見じゃないと納得できないという論理展開が、大変にスマートでよろしかったと思います。重大な案件で他国の首相が来てるのに、何故かこちらは大臣格を寄越すようなもんだもんな。
 そんな、初歩的な営業ミスをかましておいてなお、後のページでは「全てが予想の範疇です(キリッ)」と格好つけちゃうゴーストさんてばマジ男前やでえ。

 しかしまあ、クロ兄の性格なら最初から普通に出迎えてくれそうな気もするわけで(まさかアポなしでもあるまいし)、それを踏まえて考えると、結局、ラストの襲撃に繋げるため、話の都合でキャラを動かしたんじゃないか、という気はしますね。


 BAMBOO BLADE

 何をしているセイバー! アックス! ボルテッカだ!! いいからユージにボルテッカだ!!


 死がふたりを分かつまで

 これを被って戦うことを決意する辺り、確かにただの優男ではないと思った。


 神話ポンチ

 何だか物語を畳む気満々ですが、しかし、主人公がこの状況で卑屈さを維持するのはいかにも無理のある話ですし、ここら辺が終わりどころなのでしょう。売りである神様要素も活かされていた気がしませんし、思うところはあまりないです。


 天体戦士サンレッド

 「俺がこれ持ったら今日からサンダーサンレッドなわけ?」というくだりが、何だか面白かったです。ヒーローにお約束の、後付けパワーアップについても微妙に皮肉られてる。


 FRONT MISSION DOG LIFE&DOG STYLE

 武装がナイフ一本だというのは、偵察兵に武器を持たせない理論ですかね。オンラインFPSでもそうなんだけど、武器があると、ついついそれを使いたくなっちゃうからなあ。足回りもいじってるし、徹底的に逃げ回るのでしょう。

 ストーリー的には、ナイフ一本でいかにしてガンダムを倒すのかというシチュエーション的な面白さに加え、このエピソードの核となるであろう、信じる者と疑う者との出会いが描かれ、最高に盛り上がってきてますね。冷酷な態度とサイボーグ属性によって冷たい印象を与えていたタミラ中尉も、これによって随分とヒロインらしくなってきましたし、今後が楽しみです。

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by ejison2005 | 2010-05-23 03:03 | 漫画
生徒会のヲタのしみ レビュー
 その正体……決して悟られることなかれ!
 己の服装、言動には常に注意し、周囲へ溶け込むべし……!
 心に波が立つことあろうとも……ただ耐え忍ぶべし!


 そんな現代の闇を駆け抜け、決して日の当たることの無い人生を送る者の総称をヲタクと呼びますが、

生徒会のヲタのしみ。 1 (ガンガンコミックスONLINE)

丸美甘 / スクウェア・エニックス


 本日ご紹介する「生徒会のヲタのしみ」は、まあ、大体タイトル通りの漫画です。

 ちなみに、こちらのページで1話と2話は試し読みできるよ。


 ヲタクの夢、叶えます!

 いや、別に主人公達生徒会役員がヲタクの夢を聞いてそれを叶えるために一肌脱いだりする漫画ではないので、そこは悪しからず。この作品は、ヲタクの夢というか、読者の夢を叶えてくれる漫画です。

 その夢というのは、言うまでもなく、

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 己をヲタクだと公言し、堂々とヲタク趣味に興じ、ヲタトークを行える場の獲得ですね。この漫画の登場人物は「生徒会」という枠の中で様々なヲタ活動へ興じます。そんな彼らの存在する空間が、漂わせる空気が、最高に心地良い。

 今回のレビュー冒頭で書いた通り、この現代社会においてヲタクとは超マイノリティであり、基本的には社会の闇をひっそりと生きていく存在です。しかし、彼ら(というか僕)がそれで満足しているかといえばさにあらず。中には己の趣味を公言し、他人に迷惑をかけたり不快感を与えたりしない範疇で堂々とヲタ人生を送りたいと考えている人間も多いのです。せめて、同じ価値観を共有できるコミュニティに属したい……!

 んがっ!

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 実際にそれをやれば、待っているのは社会的な死……! 破滅……!
 仕方がありません。我々は少数派なのですから、許容する他ないのです。

 ならば! それならば、です! 漫画の中でくらい、この夢が叶えられてもいいじゃないですか! この望みを登場人物に託してもいいじゃないですか!

 我々は宇宙一の戦士になりたい願望を孫悟空に託し、アウトロー達の王となりたい願望をモンキー・D・ルフィに託してきました。ならば、ヲタクにとっての理想郷を得たいという願望もまた、この漫画の登場人物に託してみるのもいいのではないでしょうか?


 基本的には主人公へのイジりネタがメイン

 と、まあ、そんな僕の歪んだ楽しみ方はさて置いて ミ□

 ぶっちゃけた話をしてしまうと、いわゆるひとつの萌え4コマ漫画であるため、そのジャンルが好きで、ネタの傾向が趣味と合致したならばオススメと、そういう結論になってしまいます。
 その指針としてネタの傾向について説明しておくと、基本的にはヲタであることをひた隠しにしようとする主人公に対する、他役員からのイジりネタで進行していきます。
 これには、萌え4コマなりに通された物語の縦糸として、ヲタであることを否定する主人公が徐々にそれを受け入れていく過程を描いた作品であるから、という理由がありますね。彼は周りとの触れ合い(イジられ)を通じて、自分が本質的には受け入れたいと思っている事柄(ヲタ趣味)に向き合っていくわけです。

 だからまあ、

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 つまり何が言いたいかというと、こういう美少年がイジられる様に萌える人には超オススメっていうことなんだ。うん。作者が女性なだけあって、萌え4コマを謳いつつそっち方面も備えているぜ!


 女性的なタッチが光る柔らかい絵柄

 そんなわけで、作者である丸美柑先生は女性作家であられるわけですが、それ故か、本作の絵柄は非常に女性的な、細いタッチのものになっています。いかんせん、僕に絵心が無いので上手く表現できないのですが、通常の萌え絵柄とは別の起源から進化してきたかのような、少女漫画の匂いを感じさせるものに仕上がっている。そして、僕にはそれが、非常に魅力的なものとして感じられのです。

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 それでいて、男のフェチ心はガッチリとキャッチしてくれているんだぜ? どうよ……? (何が)


 まとめ

 そんなわけで生徒会のヲタのしみは、美少年主人公へのイジりネタをメインに据えた、女性的な絵柄が大変に可愛らしい4コマ漫画であり、なおかつ、趣味を公に出来る場が欲しいという一部のヲタの願いを作中で具現化してくれる作品です。

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 こう理解してほしいという思いのとおりに理解してくれるこの漫画、鬱積した思いを重ねている方に、オススメ!

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by ejison2005 | 2010-05-20 05:24 | 漫画
ばらかもん レビュー
 都会の喧騒から遠く離れた地で、豊かな自然に囲まれた暮らしを送る……田舎での生活というものは、とかく浪漫をくすぐられるものです。
 今日はそんな、田舎でのスローライフを題材とした漫画、

ばらかもん 1 (ガンガンコミックスONLINE)

ヨシノ サツキ / スクウェア・エニックス


 「ばらかもん」のレビューをお送りしましょう。
 ちなみに、こちらのページで1話は試し読みできます。


 あらすじ

 金も地位も才能も持ったイケメン主人公が、父に命じられた離島暮らしを通じ、己の心に足りない何かへ気づいていくお話。

 と、まあ、要するに、壁にぶち当たっている最中の主人公が、己の心を解放してくれる存在との出会いを通じて精神的に前進し、暗礁を乗り越えていくという、王道的なストーリーです。既存の作品で言うならば、のだめカンタービレとかと同じタイプの漫画。
 とはいえ、ありがちだと言いたいわけではなく、むしろ、第1話の、ヒロインと共に(挑戦する前から登れないと決めつけていた)防波堤へと登り、

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 素晴らしい夕日を見つめるシーンなど、主人公が精神的に成長し、一段大きくなる様を視覚的にも物語的にも分かりやすく表現する手腕などから分かる通り、類型的なお話を、しかし、高いレベルでまとめ上げた作品です。


 リアリティ満載なスローライフ

 とはいえ、いくら高いレベルでまとめ上げているといっても、それだけでは漫画としての個性が乏しくなってしまうわけですが、この作品は、「ド田舎」という物語の舞台について、極めて現実性の高い、緻密な描写を行うことによって、独自性を獲得するに至っています。

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 例えば、競争相手の不在により低下するサービス、

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 例えば、島民みな家族とでも言わんばかりの超絶アットホームさ、

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 例えば、海に行くのに水着ではなく体操服を選ぶ現実性の高さ……、

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 ちくしょおおおおおおおおおおっ!

 冗談はさて置き、単行本のオマケなどによると、作者のシノサツキ先生がリアルにこういう環境で育ったらしく、素晴らしく重厚で現実味の溢れた「日本最西端でのスローライフ」描写が楽しめます。
 が、よそ者への廃絶など、実際にありそうでも読者の気分を確実に悪くするような部分は描かないでいてくれてるため、我々が田舎暮らしという言葉に対して抱いている幻想は、決して傷つけないでいてくれているのもナイス。
 つまり、極めてリアルでありながら、しかし、現実では決してあり得ない、理想郷としての田舎暮らしを描き抜くことに成功しているわけです。

 近年では、「彼氏不在の美少女達が織りなす日常コメディ」などのような、現実に通じる面を残しながらも、実際には存在しないユートピアを描いた作品がいくつもヒットしていますが、この漫画もある意味、そういった時代の流れに乗った作品であるのかもしれませんね。


 まとめ

 総括すると、他者との触れ合いを経ての成長劇という王道ストーリーに、極めて緻密な田舎の描写、そして、最近の流行であるユートピア性をも兼ね備えた、非常にレベルの高い漫画です。
 お茶請けに漬け物を用意してから読め!

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by ejison2005 | 2010-05-13 05:39 | 漫画
ヤングガンガン 10年 10号 感想
 ジャンプが売ってなかったので。


 牙の旅商人(新連載)

 盗賊達が襲いかかるシーンで北斗の拳を思い出したのは僕だけじゃないはずだ。

 そんなこんなで、父よー! 母よー! 妹よー! な主人公が、俺を仮面ライダーにしてくれ! という感じの漫画。うん、大体合ってる。
 それにしても、いちいち荒野の理だのランダムエンカウントしたモンスターの生態だのを解説されているこの主人公は、いくら子供とはいえ無知に過ぎるのではないでしょうか。ヒャッハー! な人たちが暴れまわっているような場所である以上、危険なフィールドではあれど、前人未到の地というわけではないはずですし。少なくとも、盗賊業が成り立つ程度には、人の往来があるはずなんだよな。

 百歩譲り、このリナとガウリイ的なやり取りを認めるにしても、台詞の不自然さはどうにかして欲しかったかな。自分で死者の魂を運ぶとか何とか言っといて、舌の根も乾かないうちにそんなの迷信だって、一人ボケツッコミでもしたかったのでしょうか。最初から本当のことを話せばいいじゃない。

 それと、最初に書いた通り、間違いなくこの漫画におけるメインストリームは主人公の復讐にあるわけですが、にも関わらず、いきなり借金返済という脇道へ全力でスピンアウトするといのはどうなんだろう。第1話から「いや、しばらく作品テーマには触れませんよ?」なんて力強く宣言されても、こっちは困っちゃうのですが……。

 いやまあ、物語の主題は主人公の復讐でも、作者が描きたいのはガラミィとの交流なんだろうなというのはビシバシ伝わってきちゃいるわけですが、だったら、最初からそれがメインストリームになるようなお話を考えとけば良いだけ、という気がしてならんのです。


 荒川アンダーザブリッジ

 主人公不在の中、河川敷の住民を襲う最大の試練……! というエピソード。しかしこいつら、清々しいくらいにリクの不在を何とも思っとらんな。あ、一連のギャグでは鉄人兄弟の標準語ツッコミが面白かったです。

 ニノさんの電波ネタに関しては、リクに対する心情を、エピソード(ギャグ)に交えてうるさくなく語っていたのがグッド。基本、ニノさんはリクに対する解放者の立ち位置だけど、たまにニノさん自身が解放されてるよね。


 魍魎の揺りかご

 前回も書きましたが、無意味な錯時法によって、恐怖感を味わうことよりも、与えられた情報をもとにした状況整理で頭がイッパイになってしまうという、どうしょうもない状況に陥ってしまっています。この子達がアフリカに行っていた(っぽい)とか、一番最初に提示されとくべき情報だと思うのですが。なんかバッカーノを思い出すな。いや、ホラーである以上、例えとして持ち出すべきはSIRENの方なんでしょうが。
 でも、あれにしたってSDKやヨン様が怪奇現象に見舞われるくだりは、ちゃんと時系列通りに配置されていたしなあ。単純に、平穏を生きてた主人公が怪奇現象に見舞われるシークエンスを失わせたという一点だけで考えても、ホラー作品として無くしたものは大きいと言うしかない。主人公達を襲う異常が既知のものとなっている以上、過去の時系列に遡って改めて事件発生を語られても、驚いたり怖がったりするのは難しいし。

 ところで、SIRENを例えに持ち出したついでに書いときますと、船体の下層部から上層部を目指しつつ、生存者との合流も狙っていくというこのシチュエーションは、過分にゲーム的でありますね。


 天体戦士サンレッド

 百パーセント善意で行動してなお、KYぶりを発揮する結果に終わるアントキラーさんは流石と言わざるを得ない。


 はなまる幼稚園

 よ、幼稚園にくる前から小柄眼鏡っ子、クール、おっとり、スポーティ、天使にフラグを立て、なおかつ、幼稚園入り前夜は超スペックの妹とイチャイチャしている……だと……?
 おい土田……、

  三|三
  イ `<             ,..-──- 、         
   ̄             /. : : : : : : : : : \        
   ∧           /.: : : : : : : : : : : : : : ヽ      
   /  \        ,!::: : : :,-…-…-ミ: : : : :',
              {:: : : : :i '⌒'  '⌒' i: : : : :}    
  └┼┘          {:: : : : | ェェ  ェェ |: : : : :}      
.   |_|_|  , 、      { : : : :|   ,.、   |:: : : :;!     
   __   ヽ ヽ.  _ .ヾ: :: :i r‐-ニ-┐ | : : :ノ       
    /     }  >'´.-!、 ゞイ! ヽ 二゙ノ イゞ‐′      
   ´⌒)    |    -!   \` ー一'´丿 \       
    -'    ノ    ,二!\   \___/   /`丶、     
        /\  /    \   /~ト、   /    l \
       / 、 `ソ!      \/l::::|ハ/     l-7 _ヽ
      /\  ,へi    ⊂ニ''ー-ゝ_`ヽ、    |_厂 _゙:、
      ∧   ̄ ,ト|    >‐- ̄`    \.  | .r'´  ヽ、
     ,ヘ \_,. ' | |    丁二_     7\、|イ _/ ̄ \
     i   \   ハ∟       |::::|`''ー-、,_/  /\_  _/⌒ヽ


 死がふたりを分かつまで

 場当たり的な対応に終始してきた護さんが、問題根絶に乗り出すことを決意するエピソード。どちらかというと、頼るべき相手はヤクザ屋さんではなくネットワークの方だと思いますが、まあ、ネットワークが全面的にバックアップして提供できてるのが、今現在のこの環境なわけだしね。ネットワークに出来ない切り口からの何がしかを行うのだろうと、適当に予想しときましょうか。

 しかし、ジーザスさんはいつ見ても面白い呼び名だなあ。すっごく、ダサカッコイイなり~。


 DARKER THAN BLACK~漆黒の花

 上条当麻にとって最大の武器はイマジンブレイカーではなく不死身のタフネスとパンチ力であるのと同様、黒の死神にとって最大の武器は電撃ではなく特注のコートとナイフなのであった。経歴的にも能力獲得前から契約者を殺してたはずだし、本当に電撃なんかいらんよな、この人。

 それと、特殊部隊の皆さんは能力の解説をしてる暇があるならさっさと撃ちましょう。


 鴉

 感想を書くにあたって調べ、そこで初めて知ったんだけど、衝撃隊って実在したんですね。ビックリした。

 そんなわけで、新撰組に比べりゃマイナーな、とっても新撰組ライクな人たちのお話なわけですが、今のところ、あんまり面白くはないです。テーマ的には、侍ではない者達の戦いといったところなのでしょうが、いまのところ、戦い方に特徴を付ける以上の使い方はされてないからなー。かといって、衝撃隊についての歴史漫画として考えようにも、大局的な視点が無さ過ぎて、彼らが歴史のどの時点においてどのような役割を果たしているのかが、サッパリ伝わってこないという。


 うらさい

 これまでのあらすじ:もう全部お姉さんがやっちゃえばいいんじゃないかな?

 言うなればソルブレイバーとナイトファイヤーな関係であるこの姉妹ですが、キャラの食いっぷりという意味でも大変似通っているのでした。いや、ソルブレインほとんど覚えてないけども。
 まあ、こっちのファイヤー先輩はヤンデレさを若干残しているため、そこをついて「やはり相応しいのは妹の方だった」というオチに持っていくのかもしれませんが、主人公の心情的にはバリバリ姉の方に傾いてるわけで、どっちにしろ(むしろ最初からと言うべきか)ヒロインとしては詰みに入ってる気がするぜよ。


 怪廊歪奇譚イビツ

 というわけで、ロリータの半生を知り、からくも窮地を乗り切った主人公はしかし、そこから何かを学んだり精神的な成長を果たしたわけではありませんでしたとさ。まあ、助かりたい一心で口から出まかせ言ってるようじゃ、こんなもんだよなー。結局、「昔じゃないあるところにサイコパスのロリータがいました。おしまい」という漫画になってしまいそうです。

 ところで、最大のホラーは目の前の人物を見て友達だと判断したカーチャンだと思う。


 黒神

 兄妹の身受けを誰がしたのかがむっちゃ気になる。


 BAMBOO BLADE

 剣道小町の皆さんとの稽古などは華麗にキング・クリムゾンし、何だかここから話を広げるというより、ここから話を畳むという雰囲気になってまいりました。ありゃりゃ。
 タマちゃんが自分にとっての剣道を見出し、コジローが教育者として成すべきことを見出しちゃうと、いよいよもってやるべきことがなくなってしまうので、これは本当に終了間近なのかも分からんね。

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by ejison2005 | 2010-05-09 07:05 | 漫画
ひゃくえん! レビュー

ひゃくえん! 1 (ガンガンコミックスONLINE)

遠山 えま / スクウェア・エニックス


 この世にタダより素敵なものはない……ということをリアルに登場人物が口にしそうな、WEB雑誌ガンガンONLINEで絶賛連載中の漫画「ひゃくえん!」をレビューするよ!

 ちなみに、こちらのページで1話は試し読みできます。


 結論から述べるならば……

 さて、まずはこの漫画について簡単に説明すると、

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 天然巨乳女子高生、山田百ちゃんの健康的なエロスを堪能する作品です。



 うん、違った。すまない。

 本当のところを述べるのならば、この「ひゃくえん!」という漫画は……、

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 オッパイ……かな? 俺は漫画のキャラに萌えなんて感情は抱くけどその双丘に魅入られた。



 うん、違うよね。ごめん。

 さすがに、そろそろ真実を述べるとしましょう。

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 たまにはオッパイじゃないのもイイね!


 貧乏生活を題材にしながらも極めて明るい作風

 三回繰り返すのはお約束として、本作は貧乏生活を送るヒロインコンビが、明るく楽しく生きていくというコメディ作品。
 ここで特筆すべきは、お金の関わる問題を物語の主軸に据えながらも、その作風は極めて明るいものであり、せちがらさは一切感じさせないことでしょう。

 これは、なかなかに凄いことでして、

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 利根川先生のありがたいお話を聞くまでもなく、お金というのは非常にシビアな存在です。ある意味、究極のリアリティでさえあるでしょう。そして当然、主人公がそれに困窮しているという状況は、何よりも重いプレッシャーとなって、同じ視点を共有する読者にものしかかります。

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 結果として、通常、「貧乏」という要素は、作品へ陰性の雰囲気を漂わすために用いられるのです。

 が、この作品は貧乏生活を題材としておきながら、そういった鬱々とした雰囲気を全く持たない。どころか、陽性の明るい空気に満ち満ちている。
 それを成立させているのが、主人公達の動機作りなのです。


 「やらされている」のではなく「やっている」

 古今東西、借金やら貧乏やらを題材にした作品において、主人公とは貧乏生活を望んでおくっているのではなく、環境的な問題でおくらざるを得ない存在でした。環境的な問題というのはすなわち、生活苦からくる借金であったり、安直に保証人となったために背負った借金であったり、年齢的身体的家庭的事情から稼ぎが少なかったり、アノスの法王に470人もの信者を動員した蘇生儀式をしてもらうためであったりといった、主人公が貧乏生活をおくることとなった、原因のことですね。
 これらは基本的に、主人公を「人より貧しい生活をおくっている」というマイナス地点へ叩き込むために使われているため、

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 この種の動機付けが施された物語は、おのずと閉塞感を漂わせます。主人公はなりたくて貧乏になっているわけではなく、読者はそんな主人公に視点を重ねているわけですから、当然のことではありますね。

 そこでこの漫画は、

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 「夢を実現するため」という動機を、主人公達が貧乏生活をおくっている理由に持ち出しました。つまり、この漫画においては、これまで主人公の境遇に対するリアクティブとして用いられていた貧乏生活というシチュエーションを、主人公自らが目標を達成するために実行するという、アクティブなものとして描いた。そしてそれこそが、同じテーマを用いた他の作品との間に、明確な境界線を引いているのです。

 何せ、彼女達は自ら望んで貧乏生活に甘んじているため、その言動・行動がとにかく明るい! これは、環境的な問題で貧乏生活を余儀なくされているキャラクターには、決して出せない雰囲気でしょう(というか、出してはいけない雰囲気)。

 そして、本来ならば暗く鬱屈としていてしかるべきシチュエーションで、そういったムードを醸し出しているため、ギャップが発生し、華やかさがより一層強調される結果となっているのです。


 時勢ともマッチ

 更に、現在の日本は深刻な不景気ですので、皆さんも大なり小なり、節制を心がけている部分があると思います。そういったご時勢ですので、様々な工夫を凝らして節約生活を送る主人公達の姿には、共感を抱ける部分があるのではないでしょうか?


 まとめ

 そんなわけで「ひゃくえん!」は、哀調を帯びていたところで何らおかしくないシチュエーションを、しかし、アップテンポで描き抜くことに成功した異色の貧乏コメディです。
 先行きの暗い、今、この時だからこそ、この漫画を読んで、明るく楽しく節約生活を謳歌してみてはいかがでしょうか?

 え? 何? この漫画を買う金をまず節約するって……?


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by ejison2005 | 2010-05-05 05:39 | 漫画
男子高校生の日常 レビュー
 日常系漫画というものがあります。
 現実でありそうな、しかし、我々の汚れきった心では到底なしえない、労りに満ちた素敵空間を生きるキャラクター達の、何気ない日常を切り取って見せるという類の漫画群です。
 この種の漫画の特徴として、主要キャラの多くが萌えキャラである、というのが挙げられますが、恐らくは、「到達出来そうで決して出来ない世界」であることを、更に強調する効果を見込んでのことなのでしょう。現実に存在するせちがらい要素が排された素敵空間を生きるべきは、穢れを知らぬ無垢なる乙女達なのです。

 しかし! 今! その定石に真っ向から立ち向かう勇者が現れた!

 それこそが、本日ご紹介させて頂く、

男子高校生の日常 1 (ガンガンコミックスONLINE)

山内 泰延 / スクウェア・エニックス


 「男子高校生の日常」です。ちなみに、こちらのページで1話と2話は試し読みできます。



 嫌な予感しかしない

 さて、最初にご説明した通り、日常系漫画というのは、日常を切り取ることを謳いながらも、その実、実社会では決して有り得ないユートピアを描くことを目的としたコンテンツであり、登場人物の多くを美少女が占めるのも、その理想性を高めるためです。

 ところがどっこい、本作は看板に偽り無しというべきか、タイトル通りに男子高校生を主要登場人物に据えてしまった。これが何を意味するか……説明するまでもないでしょう。いいかお前ら、男子高校生なんて生き物は、生産性ゼロのとりとめもないバカな考えと、下ネタしか頭の中に存在しない生き物なんだぞ! そいつらが日常系漫画の看板なんぞ背負った日には何が起こるか、俺は……考えたくもないね。



 結果

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 ご覧の有様だよ!



 真逆のベクトルへフルスロットル

 えー、本作は確かに「到達出来そうで決して出来ない世界」を描いています。うむ! その点では確かに日常系漫画だと言えるぜ! 但し、この表現にはちと語弊があるな……これは、「到達出来そうで決して出来ない世界」じゃあ断じてねえ! 「到達出来るけど決して到達しない世界」だぜ!

 そんなわけで本作は、「穢れを知らない登場人物が織りなす素敵な日常生活」という、本来、このジャンルに属する漫画が踏襲するべきプロットから全く逆の方向へ全力疾走し、「脳味噌のリミッターをぶっち切った男子高校生が織りなす最低な日常生活」を完璧に描き抜いた、ひでえなんてもんじゃねえ漫画です。何故こんなことになってしまったんだ!



 これもひとつの理想

 しかしながら、本作を読み終えた後、あなたはきっと気がつくのです。「確かに最低だけど……これもひとつの理想郷なんじゃないか?」と。

 思えば……我々は日常生活の中において、どれだけ自分を抑え込んでいるのでしょうか? 本当はもっとバカやって、下ネタとか披露したりして、自由奔放に生きていたいんじゃないのでしょうか?

 そういった、我々が決して踏み込めない領域へ、この漫画の登場人物は容易く踏み込み、それを日常として生きていきます。確かに華は無いでしょう! 華が無いにも程があるでしょう!
 しかし、彼らが生きる日常もまた確かに我々が心へ抱くべきアヴァロンであり、彼らのバカやったりする姿は、滅菌消毒されたかのような穢れなき世界を生きる美少女達の姿同様、我々に明日を生きる活力を与えてくれるのです。

 そんなこんなで、あらゆる意味で最低だけど、でも元気を与えてくれる漫画です。ちょっと疲れた時に是非!

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by ejison2005 | 2010-05-02 05:39 | 漫画