戯言シリーズ挑戦中
クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫 に 32-1 西尾維新文庫)
西尾 維新 / / 講談社
ISBN : 4062754304





この一週間、更新をサボりながら何をしていたかというと、西尾維新先生の戯言シリーズに挑戦していました。今は4作目「サイコロジカル・上」で主人公と害悪細菌さんが初対面するシーン。

で、ここまでこのシリーズを読んでて思ったことは、非常に文章の上手い小説だということ。この場合、ミーニングとしては「絵が上手い漫画」とかと同じ。

まあ、つまり、何がいいたいかというと、話の筋書きそのものはあまり面白くない、ということなんだけどね。

「話の内容はつまらないけど絵が奇麗だから読める」という漫画感想は、皆さんも主に大暮先生の作品とかで抱いたことがあると思ったんですけど、それの小説版ですね。言葉の使い方がすっごく上手くて、それだけである種の商品価値を生み出している。

(僕が読んだ中で)その集大成とでも呼ぶべきは三作目の「クビツリハイスクール」でして、恐るべきことにこのお話、「なんとなくバトるのであった・完」で粗筋が終わってしまいます。
ひとつだけどんでん返しがあるにはあるけど、これに関しては西尾先生自身があえて予想つくようにイベント組んでるんで、役割は果たしていない。
そんな簡潔な筋書きで(ラノベとしては)膨大なボリュームの作品を作り上げても、何故だか項をめくる手は止まらない。不思議!

筋書きの簡素さに加えて特徴的なのは、登場人物の徹底した記号化で、この作品シリーズは「私は天才です」「私もこういう分野の天才です」「私は殺人鬼です」といった才人奇人変人がゴロゴロ登場するんですけども、それは「設定」として存在するだけで、「描写」はされてないんですよね。
具体的にいうと、彼らが常人からかけ離れた能力を実際に行使するシーンというのが、ほとんど存在しない。殺人鬼が人殺しをするシーンが存在しないとか、予想の斜め下の展開でしたよ。
それでもそこそこ印象深いキャラが多いのは、一風変わった漢字での命名と、各々に独自の語調を持たせているのが大きいでしょう。
これは多かれ少なかれ、どんな小説でもやってることではあるのですけど、ここまで徹底している作品は類を見ないでしょうね。立派な個性だと思う。


そういったわけで、最初に書いた通り、「文章が上手い」という一点に集約される作品ですね。小説が文字媒体であることを、最大限に活かしているともいえるかもしれない。


そんなわけで今日の結論としては、ジャンプで西尾先生×小畑先生のコラボ読み切りが載ったことがあって(当時の感想)、これがもう箸にも棒にもかからない様な出来栄えだったんだけど、うん、まあ、当然だな、ということでした。
文章が売りというか、文章しか売りが無い作家から文字を奪ってるわけですし。


※結構、辛辣な書き方になってる気もするけど、好きか嫌いかでいったら間違いなくこの作品シリーズは好きですよ。突き抜けた部分で、きちんと商品価値が感じられますし。


※ところで、読み始めたのは文庫化が契機だったんですけど、これ隔月に一冊しか発売しないんですよね。待ってられないんで、文庫化済みの「クビシメロマンチスト」までは文庫で購入し、他は既存のタイプで買い揃えました。
何でこんなに刊行ペースが遅いんだろうね?

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by ejison2005 | 2008-07-13 02:05 | ノベル | Comments(8)
Commented by ルイルイ at 2008-07-13 08:53 x
はじめまして。こちらのブログは以前からこっそり覗かせて頂いていたのですが、西尾維新を取り上げてらっしゃって、つい嬉しくなったので初めてコメントさせて頂きます。
戯言シリーズ面白いですよね。この作品の魅力についてはエジソンさんのレビューにほとんど同意です。
「物語自体は非常にあっけない」とか「設定だけで描写がされてない」という部分は普通なら明らかにマイナスポイントなのですが、西尾作品くらいアンチ・リアリズムを徹底していて、なおかつ文章上手ければそれもアリと思えるのですよね。狐につままれたような読後感が残るのですがそれもまた快感というか。ともあれ西尾作品は9割方その文章マジックに翻弄されるのを楽しむ小説だと思います。

ちなみに漫画化するとしたら、それこそ竹さんのような独自の個性を持った絵師さんならまだ上手くいったんじゃないかな。小畑先生のようなリアリズム追求した画風の漫画家さんとは相性最悪だったんじゃないかと思います。
Commented by ejison2005 at 2008-07-13 12:12
はじめまして、コメントありがとうございます。

何もこの胸に残さないはずのところを、奇妙な充実感で満たしてくれてるんですよね。単純にアンチしていいタイプの作品じゃないと思う。
Commented by 初めまして at 2008-07-14 02:21 x
西尾さんの言葉遊びの極地を見たいのなら、今度アニメ化する化物語が良いと思います。余計なミステリっぽさが無いので、本当にテンポ良く、スラスラと楽しめると思いますよ。それでは、失礼致しました。
Commented by ミラ at 2008-07-15 02:15 x
なるほど、以前の読みきり漫画のとき「世界一の~」っていう設定が文字だけで
表現されて描写自体が全く無かったためあれ?とは思ったんですが
元々小説でもそのような書き方をする方だったんですね

以前の読みきりで西尾維新先生の評価があまりよくなかったんですが
小説を読んだら評価も変わって信者がいるのもわかりそうですね
Commented by at 2008-07-20 03:35 x
読みきりとは逆にデスノートを西尾先生が小説化したアレはお読みではないですか?

西尾先生の文章がお気に召したのなら是非。
Commented by ejison2005 at 2008-07-22 01:55
>>初めましてさん
おお、アニメ化するのですか!
戯言読了したらきっと読んでみます。情報サンクス!
Commented by ejison2005 at 2008-07-22 01:57
>>ミラさん
あの世界一設定は一体全体、何の意味があったんだろうね?
小説版は小説版でやっぱり人は選ぶと思うけど、トライするのも悪くはないかも。
Commented by ejison2005 at 2008-07-22 01:57
>>乙さん
いずれは挑戦してみたいですねー。