バイオショック レビュー
バイオショック
/ スパイク
ISBN : B000ZL23OU





バイオショックは、2K Boston/2K Australiaによって開発されたサバイバルFPSです。閉鎖空間で怪物と戦いながら生存を目指すゲームということで、とてもタイトルの似ているカプコン製某ハザードシリーズと、同系統の作品だと考えていただければ大きな間違いはないでしょう。


ストーリー
舞台は1960年。乗っていた飛行機が原因不明の事故により墜落してしまい、主人公ジャックは大西洋の真っ只中へと投げ出されてしまう。
他に生存者の見当たらない絶望的な状況の中、海上を漂うジャックの視界に入ってきたのは、洋上にポツンと存在している怪しさ満載の灯台であった。
しかし、溺れる者は藁でも掴むもの。背に腹の変えられない状態であるジャックは何とか灯台へとたどり着き、そこに置かれていた潜水球へと乗り込む。
やがて潜水球が辿り着いた場所……そこは当時はおろか、現代でも考えられないほど進んだ科学技術によって支えられている海底都市「ラプチャー」であった。
だが、そこに住む人々は目に映ったものへ即座に襲い掛かる、異形の怪物へと変わり果てていた……。
泣きっ面に蜂! 弱り目に祟り目! 飛行機事故から助かった喜びで胸を満たす暇もないまま、ジャックの生き残りをかけた戦いが始まった!


解説
さて、本作で最も特徴的な要素は、独自の世界観にあるでしょう。
この作品の舞台となっているのは、海底都市ラプチャー。

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芸術・科学などの各分野から選ばれし天才達が、宗教や法律による規制を逃れるために生み出したユートピアです。
プレイヤーは主人公ジャックを操り、何故この海底都市に住む人々が怪物と化したのか? などの謎を暴いたりするわけですが、この海底都市を表現するビジュアルが素晴らしい。

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アール・デコを取り入れた独特のマップデザインは、ディズニーランドの様なテーマパークがそのまま怪物たちの園へと生まれ変わったような印象を与え、「美しさ故にもたらされる不気味さ」を感じさせてくれます。
また、舞台が舞台なだけに、水の演出は特に力が入っていて、

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むしろ現実より美しいのではないか? と思えるほどの領域です。洋上に漂っている方の画像はオープニングムービー直後のものなのですが、まだムービーが続いているのかと勘違いしちゃったよ。

全体的な難易度はかなり低いものとなっており、死んでもそれまで敵に与えたダメージはそのままの状態で無制限に復活できる(ラスボス戦以外)のも相まって、「難易度が高くてクリアできないよー><」という人は、ほぼ存在しない仕様となっております。
まあ、あまりにも簡単すぎてやり込むタイプのプレイヤーには不評ともなっていますが、逆にライト層へアピールしやすくもなっているわけですし、一長一短だといえるでしょう。


戦闘
このゲームの戦闘システム最大の売りは、その自由度の高さにあります。
ジャックは近接戦闘用に用いるレンチに加え、ピストル、マシンガン、ショットガン、グレネードガン、ボウガン、ケミカルガンといった各種銃器を無制限に随行できる上(弾薬は制限有り)、後述するプラスミド・トニックといった超能力まで行使できる万能選手です。
一部の敵には電撃が効かなかったり、水場では火炎系の攻撃が意味を成さなかったりはするものの、ある特定の方法でなければ倒せないという敵は存在せず、プレイヤーは無数に存在する攻撃方法の中から、好きなものを選ぶことができるのです。
普通のFPSみたいに銃器でゴリ押しにするも良し、超能力の電撃や冷凍攻撃で敵の動きを封じてからゆっくりとヘッドショットするのも良し、何なら、そこら辺に地雷を仕掛けて敵を誘導したり、ハッキングで自動式小型砲台を味方につけて敵を攻撃させたりすることも可能です。
目の前の敵を好きなように料理できるこのシステムは、イマジネイション溢れる新たな戦闘体験を提供してくれることでしょう。

難点を挙げるとするならば、敵がほんの数種類しか存在しないことでしょうか。
これにはストーリー上の問題も絡んでいるわけですが、それでももうちょっと種類を増やすことは可能だったんじゃないかと思います。


プラスミド・トニック・アダム
ジャックは序盤に発生するあるイベントによって遺伝子を書き換えられ、超能力者へと生まれ変わります。
超能力はMP(みたいなもの)を消費してアクティブに使用する「プラスミド」と、これといって代償を必要とせずパッシブに発動している「トニック」に分けられ、それぞれ数種類を体内にストックしながら戦うわけですが、各能力の入れ替えはマップのあちこちに存在する専用の装置を用い無償で可能となっているため、「○○の能力が無くて詰んだー」という事態には陥らないよう配慮されています。

能力の拡張は「アダム」と呼ばれる寄生物質を体内へ取り込み、専用の装置でそれに特殊能力を宿すことで行われるのですが(アダムを通貨に特殊能力を購入すると考えれば良い)、アダムは後述の「リトルシスター」から手に入れる他に入手方法が存在せず、リトルシスターはこれまた後述する「ビックダディ」という強力な護衛者に守られているため、特殊能力を強化するためには苛烈な戦闘へ勝利することが要求され、それがこのゲームを遊ぶ上でのスパイスとなっております。


ビッグダディ・リトルシスター

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ビッグダディとリトスシスターは、パッケージにも登場しているこのゲームの象徴的キャラクターであり、前者はその独特のデザインと圧倒的な戦闘力によって、後者はエンディングの分岐条件として非常に印象深いキャラクターとなっています。

前項で述べた通り、アダムは各所を徘徊しているリトルシスター達から手に入れなければならないのですが、彼女らはビッグダディという守護者の手で常に守られており、それを倒して障害を排除しなければアダムを奪うことはできません。
ビッグダディはラスボスを除けば最強の戦闘力を誇るため、倒すには地形・各種プラスミド・銃器に込められる特殊弾・ハッキングすることで味方となる自動式固定砲台など、全ての要素を複合的に駆使する必要が生じ、本作品の戦闘面において最大の特徴である自由度の高さを極限まで活かすことが可能となっております。

ビッグダディを倒したあとはリトルシスターからアダムを入手することになるのですが、アダムは寄生物質という性質上、彼女らの体内に貯蔵され生命活動と深く交わっており、全て奪うとそのリトルシスターは死亡してしまいます。
しかし、適量のアダムを奪うことで彼女らは怪物リトルシスターから、元の人間へと戻ることができるのです!

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ここでプレイヤーには選択肢が与えられ、半分ほどアダムを抜き取ってリトルシスターを人間の少女に戻すか、アダムを全て抜き去ってリトルシスターを殺害し、自身の強化にまい進するかを選ぶことが可能となり、これがエンディングの分岐条件ともなっております。ちなみに、画像は救ってる方ね。

どっこい、この選択肢には問題がひとつあり、実はリトルシスター救出ルートを選んだ場合でも途中であるイベントが発生し大量にアダムを入手できてしまうため、実質手に入るアダムの総量はリトルシスター皆殺しルートと大差がなかったりします。しかも、救出ルートの場合は強力なプラスミドとトニックのオマケつき。

あえてリトルシスターを人間に戻さず、殺してアダムを全て奪うことで難易度が格段に下がるからこそ、この選択肢は意味があるわけで、これは開発時にもう一考して欲しかった部分ではあります。


どんでん返し
本作はそのストーリーに関しても非常に高い評価を得ているゲームなわけですが、その理由は後半に存在するある仕掛けにあります。
詳しく書くとネタバレになってしまうのですが、これは物語としての面白さもさることながら、

ある意味でプレイヤーに対する最大の侮辱ともとれる、ゲーマーとしての価値観すら揺るがしかねないものとなっており、

こればっかりは、是非自分の手で体験して下さいとしかいいようがありません。


まとめ
そんなわけでバイオショックは、難易度調整がやや甘いものの、戦闘面での自由度が高く、次世代機によって生み出される圧倒的な映像美を堪能でき、驚きに満ちたストーリーが楽しめる傑作だといえるでしょう。

グロ表現もあまり苛烈なものではありませんし、自信を持ってオススメできる一本です。

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by ejison2005 | 2008-03-01 02:50 | ゲーム