黒の契約者 反省会
DARKER THAN BLACK 黒の契約者
終始安定した作画で登場人物達もそれなりにキャラ立ちしている本作ですが、前期アニメシリーズの中ではかな~り地味な存在であった事もいなめない事実。
感想は書いてなかったけど何気に一話から視聴してましたんで、せっかくだからそこら辺の反省点ついて簡単な記事を書こうと思います。



その1 いくら何でも契約者が弱すぎた

個人的に一番大きかった問題。
もうね、とにもかくにも契約者の皆さんは弱すぎます。一部の能力を除けば、拳銃の方がよほど強力だというのは能力バトル物としてどうなんだろう。
主人公の黒からして、ナイフとワイヤーを利用しての電撃などより銃で撃った方が簡単に任務を遂行できそうな契約者ですからね。そういえば、ウェイさんが黒の仮面に血液をつけた時にピストルを持っていたら、普通に主人公が射殺されてジ・エンドでした。
銃器より……少なくとも拳銃より異能者が強いというのは、現代(及びそれに準ずるテクノロジーを有する世界)を舞台にしたバトル作品では非常に重要な要素で、そういった世界での武装組織は現実的に考えてほぼ確実に銃器を保有しています。
仮に舞台が平和な日本でも、ヤクザ屋さんならおハジキを持っている事もあるだろうし、交番の警察官だって常軌を逸した怪奇現象(主人公達の戦闘行為とか)に遭遇したら発砲も有り得るでしょう。
他のジャンルならともかく、現代能力者バトルにおいて銃器は主要人物が日頃から接している暴力です。最低限、拳銃くらいは圧倒する戦力を有していないと脅威として感じられません。特に、この作品は能力を有する上でやたらとデメリットが多いわけですしね。
他作品と比べるのはどうかと思いますけど、R.O.Dは冒頭で源内さんがホワイトハウスを襲撃し、能力者の圧倒的な優位性を誇示してましたよ。



その2 弱いが故に映像が地味

先にも述べた通り、契約者達の能力はこのジャンルとしては非常に脆弱なものです。
で、あるがゆえに発動しても絵的に地味なんですよね、どうしても。契約者は肉体が強化されるわけでもないので、超人バトルも不可能ですし。
アニメーション作品においてはストーリーとかキャラクターの魅力も大事ですが、やはり一番重要なのは「見応えのある映像を提供できているかどうか」だと思うのです(今川監督信者でサーセンwww)。
別にビームとかバンバン撃ってればいいというもんでもありませんが、もう少し派手な映像が欲しかったな。



その3 “組織”って一体何なのさ?

これはかなり重要な問題で、この作品は、終盤まで主人公達の帰属する存在として“組織”が描かれ、最後の最後で実はそれが倒すべき存在だったと明らかになるのが、全体的な構成から見て非常に重要なギミックとなっているのですが、肝心な“組織”に関してうすぼんやりとした描写しか行っていないため、効果が減じてしまっています。
多分、製作陣としては「実体はよく分からないけど、とにかく強大ですごい存在」を目指したかったと思うんだけど、実体が掴めなくていいのは登場人物に対しての話であって、視聴者にまでどういう存在なんだか理解できないのでは本末転倒です。駄目組織の典型といえば魔法律協会ですけど、読んでいる側が実態を理解できる分、まだ“組織”よりはマシな存在だといえるでしょう。



その4 よく分からない存在として描いてしまったため“組織”内の登場人物が少ない

その3に含むべきかもしれませんが、長くなっちゃうので分けました。
見ていて非常に気にかかった事なのですが、黒達を除けば“組織”に所属している登場人物はほとんど存在しないんですよね。せいぜい、ラストで内輪もめをしていた宝来&エリックとたまに出てきた連絡員、使い捨てキャラだったミーナ&セルゲイ&岸田くらいのものです。
上に挙げた“組織”所属の登場人物を見てもらえれば分かるんですけど、黒達を支援するような存在はミーナと岸田くらいしか存在しません。しかも、この二人はどちらかというと厄介な問題を運んでくる人間であり、頼るべき存在ではありませんでした。
その3でも書きましたが、“組織”が味方からラスボスへと逆転を果たすのが、ストーリー上の重要なポイントなのですが、これでは味方としての有難味が全く無いため、実は打倒すべき存在だったと明かされてもさほどショックがありません。僕なんかは、「ふ~ん? そうなん?」としか思いませんでしたし。振り返ってみれば、無理難題をふっかけてくるばかりだったからなあ。
また他作品を引き合いに出しちゃいますけど、同じ様に実体の掴めない味方組織が登場する死がふたりを分かつまででは、組織に所属する海外のチームが増援として駆けつけたりしてくれるため、味方組織は確かに強大な力を持つ存在であり、世界中で幅広く活動しているのだろうと読んでいて感覚的に理解できます。
黒の契約者も、“組織”に所属する黒達以外のチームを登場させたりすれば良かったんじゃないかな。



その5 題材が脚本オムニバス形式に向かない

おそらく、制作上最大の問題点。
この作品はエピソード毎に脚本家の違うオムニバス形式だったわけですが、それは大きな謎を散りばめて主人公達が真相へ少しづつ近づいていくという方式のこの作品と、致命的なまでに相性が悪かった。
当然ながら、そういった形式のストーリーでは全体の構成が重要となるわけですが、一話完結エピソード主体でやっていくと、どうしても本筋が進まない傾向になってしまいます。アンバーとか、もっと早く登場すべきキャラだったと思うよ。
結果、主人公チームに所属するキャラ個々のメインエピソードが2クール目になってから(銀の身の上話辺りね)行われたり、全体的にチグハグな感じとなってしまいました。終盤辺りの詰め込みぶりも、一話辺りの情報量が多いというより、打ち切り漫画などで恒例の悲痛なラッシュが行われているという感じでしたし。
最終的に本作は、南米で何があったのか? 契約者とは結局何なのか? など様々な謎が捨て置かれてしまったわけですが、それもこれも脚本オムニバスの弊害でしょう。
こういった形式で作るのなら、壮大な謎などを用意したりせず、最初のエピソードで視聴者が世界観を完全に理解できる程度の簡単な設定で済ませ、純粋な娯楽活劇を目指すべきだったんじゃないかと思います。
例を挙げると、黒達に“組織”などという重い枷をはめずに、私立探偵なりなんでも屋なりをやらせ、各エピソード毎に個別の事件を解決させていき、最終的には途中で出てきたライバルキャラと決着をつけて終わらせるとか。まあ、これはこの手の作品における基本フォーマットなんですけども。
畳み切れない風呂敷なら、最初から広めない方がマシっていう事なんでしょうね。炎尾燃でさえ、伏線は回収しようとしますし。



そんなわけで、チラ裏的な駄文を書き綴ってみました。色んな意味で惜しい作品だったと思うよ。
せっかくの自社コンテンツなんですし、スピンオフなり何なりで是非とも再起して欲しいな。最終回で辿り着いた、「契約者が社会的に認知されつつあり、各国諜報部や“組織”の間でその力をめぐったいさかいが耐えない」という世界観は、自由度が高いからそういった試みにピッタリですし。

[PR]
by ejison2005 | 2007-10-11 04:13 | アニメ | Comments(11)
Commented by こう at 2007-10-11 14:50 x
そういえばハンターのヴォーキン、ネウロのネウロとX.Iなんかはもろに銃を無効化していましたね。ジョジョだと敵が銃の効かない吸血鬼だったり、三部冒頭でスタープラチナによる銃弾止め。
リボーンでもツナが機関銃の掃射を死ぬ気の炎で無効化(これはやり過ぎw)したり、ゴーラ・モスカが装甲で銃弾をはじいていました。あと絶対可憐チルドレンの薫も銃弾止めしてたような・・・。
他にもDB第1話の悟空や、銀魂の神楽。錬金術師に強いスカーが錬金術より劣る銃(と言うかホークアイ)に弱いなんて例外もありますが、それは脇にお手置きましょう。
こうして並べてみると『銃より強い』という位置づけはバトル漫画においては「判り易い凄さ」「整合性」「緊張感」を確保する上で非常に重要なファクターなんだと改めて実感。
あと、純粋な能力バトルだとまともな武器は銃くらいしか使えない凡人(一般人としては非常に優秀だが)が能力者を欺き、勝利を得る話を作ることも出来ますね。
Commented by 黒川 at 2007-10-12 01:31 x
私は能力バトルだからと言って、能力が拳銃より強い必要は無いと思うんですよね。
拳銃のような武器よりも便利である事と、正体を見切る事が難しく、正体が分からないが故に有効的な防御手段も分からないというのが「能力」の最大の利点で、能力バトルの面白さだと思いますし、拳銃より弱いぐらいが頭使う分良いかなと…
この作品の場合、そういう面白さが無いんですよね…警察が能力の存在を認知していると言う部分で「能力の正体を暴く」と言った部分がやり難い話だったと思いますが。
そういう意味で、能力の存在がオープンであるならエジソンさんが言うように派手で強力な能力の方がアニメとして成功したと思います。

組織等の謎は(モノノ怪で薬売りの正体を明かさないように)まる投げで、(ルパン三世のTVシリーズの様に)オムニバスでこの作品を作っていたらどうなったかなと言う気もします。
何にせよ、黒達以外のチームは確かに必要ですねw
Commented by ejison2005 at 2007-10-12 02:12
>>こうさん
そりゃまあ、特別な存在である能力者が銃より弱いと興醒めしちゃいますし。
ハガレンのスカーさんだって、撃たれりゃ死にますけど彼の攻撃は銃よりはるかに強力なものとして描写されてますしね。

>能力者を欺き、勝利を得る話を作ることも出来ますね。
黒の契約者は、真正面から戦って火力で圧倒されたりもしてたからなあ(苦笑
Commented by ejison2005 at 2007-10-12 02:15
>>黒川さん
僕は戦闘力に直結しない特殊能力が好きだから、そういう面白さは大いにありなんですけど、黒の契約者はガチの戦闘要員までもが銃より弱いですからね。非戦闘員はともかく、戦闘要員がそれじゃあ能力ってどんな意味があるの? という。

>黒達以外のチームは確かに必要ですねw
まさか、全く出てこないとは夢にも思わなかったんだぜw
Commented by ミラ at 2007-10-12 06:14 x
黒の契約者は興味があったのですが、結局見ないまま終わってしまいました。
だから、どんな内容なのかはわからないんですが、エジソンさんの文章を見る
かぎりでは色々ツッコミ所のある作品なんだなあ(苦笑)と思いました。
まあ、全くの駄作というわけでもなさそうなので機会があったら
実際にこの目で検証していきたいと思います。
Commented by 黒川 at 2007-10-12 20:44 x
>戦闘要員がそれじゃあ能力ってどんな意味があるの?
と言うか、私が拳銃より弱くていいという最大の理由は、能力の存在が解明されていない場合、警察などが介入できないと言うところがミソで、能力者に対抗するには基本的に能力者だからいいと思うのですよ。
そう言った話をやる中で、スポット的にヤクザみたいな連中の使う拳銃を「リアルな脅威」として描く。それ位がバランス良いかなと。

正直、ジャンプの化け物バトルみたいなのは、私からすると「どうなんだろう?」でジャンプ離れが加速してるんですよね(--;
そもそも、拳銃の殺傷力なんかが比較にならない所で戦ってる筈なのに、そういった技食らっても結構平気ですし、「殺傷能力」として拳銃に存在感がある位が丁度良いと思うんですよ。「拳銃で撃たれたら死ぬ」「ナイフで刺されたら死ぬ」と言う事に説得力無くなる世界はどうかなと。
そもそも「何度か技がヒットした結果相手が死ぬor戦闘不能になる」が「ガチで戦闘系の能力」の基本なのですし。
拳銃が殺傷能力を持つ事、何度も攻撃がヒットする事に説得力を出す為には、能力は拳銃以上の存在であってはいけないのです。
Commented by 黒川 at 2007-10-12 20:45 x
> 連投スンマセン! 字数オーバーしました

黒の契約者は警察が能力の事を知っているから、能力者に拳銃が向けられる機会が飛躍的に増え、そう言う意味では拳銃の価値が軽い訳で、そうなって来ると確かに能力もそれに比例して強くなった方が良い。
そこらへんのバランスが中途半端だったのが、作品としても中途半端に終わった原因かと…いや、他にもいろいろ原因ありますがw
Commented by at 2007-10-13 16:02 x
はじめまして
亀といいます。

黒の契約者の能力は暗殺やテロ向けだなと感じていました。
黒の能力なんかは手ぶらで侵入して凶器も発見されない
マキの能力は劇中でもやっていましたがテロに最適かなと
組織はそんな仕事斡旋したほうが良かったような・・・・・・
ますます地味なアニメになりそうですけど。

自分は能力者たちが心を失ってる、
合理主義者だという設定が生かされてない
といのが惜しかったですね
特に後半の能力者たちは人間くさいですし
マオなんて人間より人間くさいですからね
第一、合理的な考えを是とするならば
代償が付きまとう能力もあまり使わないと思うんですよね
単なる殺傷目的ならばejisonさんのおっしゃる様に拳銃でいいですし
せめて軽火器くらいは余裕で対処できるくらいの能力はほしいですね

例えが悪いですが
これからが本当の冒険なのに
俺たちの冒険はこれからだ!
で一期終わった感じなので
2期とかないのかなと思ってます。

Commented by ejison2005 at 2007-10-13 23:03
>>ミラさん
どっこい、それほどツッコミどころ満載の作品でもないのです。
個々のエピソードを見てみると、キャラも理不尽な行動は取らないし、能力が弱いなら弱い鳴りに作中ルールを遵守してますし(イヤボーンとかはない)。
だからまあ、「惜しい作品」なのです。何の見所もなかったら、こんな記事書かないよ。
Commented by ejison2005 at 2007-10-13 23:07
>>黒川さん
それを総合すると、十代の少年達限定で異能者が存在し、その一部が能力を悪用して犯罪を起こし、また一部がそれを陰ながら取り締まろうとか、そういう世界観の作品が見えてきますね。それなら銃が介入する余地ないし、ちょっと見たいかもしれないです。
というか、電脳コイルってまさにそれだと気がついたw
Commented by ejison2005 at 2007-10-13 23:14
>>亀さん
はじめまして、コメンとありがとうございます。

どっちかというと黒の暗殺者になってしまいますが、そっちの方が面白かったかもしれないですね。作中の登場人物も契約者らしい合理的な判断で暗殺に専念したり、能力を封じて拳銃を手にしたりすればよかったのにね。

>心を失ってる、合理主義者だという設定が生かされてないといのが惜しかったですね
それはありますね~。
というか、「心を失ってる人間とはどういう存在か」というのをスタッフがきちんと定義してなかったんじゃないかと思います。ブレブレになってる。
やっぱり、2期欲しいな。