DETONATORオーガン レビュー
スーパーロボット大戦Wに初参戦したDETONATORオーガンという作品が気になったので、ちょいとホニャララな方法で視聴してみました。
せっかくなので、レビューを書いてみようと思います。


さて、本作は一話辺り五十分の三話構成となっているのですが、個人的に最も感心した事として、「起承転結がしっかりしている」というものが挙げられます。
というのも、この作品は「圧倒的な侵略者によって窮地に立たされる地球人類の存亡」を描いたOVAなのですが、その手の作品をOVAでやると、どうしても風呂敷を畳みきれない傾向にあるのですね。例→冥王計画ゼオライマー
そりゃ、合計で三時間にも満たない尺の中で「人類滅亡を懸けた戦い」をやるわけですから、無理だって出てきます。

しかし、本作ではそれが無い。風呂敷を見事に畳み終えている。
これは構成の良さが功をそうした結果で、この作品は前述した通りに三話構成なんですが、具体的に各話の内容を列挙すると、
1:突如として出現する侵略者と、それに対抗して現れる正義の主役ロボット。
2:因縁のライバルとの対決。そして、明かされる敵の正体。
3:侵略者達との最終決戦。主人公と大ボスの一騎打ち。
という感じなんですが、これは尺の長さが違うというだけで、普通にテレビシリーズとして放映されるロボットアニメの構成とほぼ同じなんですね。
皆さんも、過去に見た事のあるロボットアニメを思い出して欲しいんですけど、おおよその場合において、最初の方では主人公ロボの強さや主人公達のキャラクター性を描写したり、物語全体を通しての「謎」が提示されます。
続く中盤ではライバルキャラが登場したり、「謎」に対する回答が示されていきます。場合によっては、2号ロボットが登場したりもしますね。
そして、終盤ではラスボスとの決戦を行うなどして、締めに入るわけです。
そう、これはロボットアニメに限らず、漫画でも小説でも映画でもいえる事なのですが、実は物語のフォーマットというのはある程度テンプレ化していて、あとはそれにどの様な要素を乗っけていくかという面が作劇には存在するのです。

そして、本作がきちんと物語を完結させられたのは、物語のテンプレートに乗せるべき要素の配分を間違えなかったからでしょう。
例えば、キャラクターの面で見ても不必要な存在はおらず、それぞれが物語上の役割をガッチリと割り振られています。
極端な例としては主人公の親友がいるんですけども、彼の出番は最初の方で主人公と交わすありふれた日常会話と、侵略者に最終決戦を挑む際、正体を隠したままの主人公が同じく何気ない会話をする時の二つだけなんですね。
ですが、彼の出番はそれだけで十分なのです。何故なら、彼の役目は「主人公が守るべき日常を象徴する事」だけなのですから。
序盤で彼が主人公の親友であると示した上で、最終決戦前に彼と会話をした主人公が決意を新たにする事で、主人公が「大切な人達を守るために」戦っているという事が分かりやすく伝わってくるのです。
多分に記号的ではありますが、尺の面を考えればこれがベストな選択肢だったのではないでしょうか。少なくとも、製作者が何を伝えたかったかは理解可能ですし。

親友キャラだけではなく、「徹底して無駄を省いている」というのは、本作のキャラクターを見る上では重要なキーワードとなります。
例えば、序盤で主人公は懐古主義者(年代物のジャケットを愛用し、第二次世界大戦の戦闘機などが好き)として描写されるんですけども、それは主役ロボットが融合者(本作では主人公とロボットが融合して敵と戦います)として選んだ理由に深く関わってきます。
そんな風に彼の懐古趣味が徹底して描かれる反面、その性格は極めて常識的な青年としてしか描写されません。正義の心を持った熱血漢だったり、クールな二枚目だったりはせず、アニメ的なデフォルメの薄いとっても普通な人です。
これは、彼の性格がどんなものでも物語の大筋には何ら影響せず、むしろ濃い性格だとそちらに尺を割かねばならない分、悪影響を及ぼすと判断されたからでしょう。
ストーリー上、不必要な部分は徹底して切り捨てているわけですね。
これもまた、風呂敷を畳みきった大きな要因だったのではないでしょうか。

ここまで、ストーリー面での話に終始してきましたので、次に作画の話をしましょう。作画のしょっぱいロボットアニメは、それだけで見る気力が減少してしまうものですからね。
が、そこら辺はさすがにOVA作品というべきか、本作は非常に高水準な作画レベルでまとまっていますので、そちらで不満を感じる事はまずないでしょう。

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この様に、「作画班を殺してやるぜ!」とでも言わんばかりに複雑な曲線で構成されたロボット達が、縦横無尽に暴れまわります。
特に良いのが第二話のライバルキャラと戦うシーンで、ここは剣やビームといったありきたりな武器で戦う以外にも、タックル等の格闘戦で相手を吹き飛ばしたり、廃墟と化した街を隠れ蓑にし、ビルからビルへ飛び移ったりと、かなり激しい動きが多く、とても見応えがあります。
そのライバルキャラの声を演じてるのはおなじみ若本規夫さんで、近年ではネットの影響もあってネタ的な配役も多く、逆に貴重なものと化している彼の正統派シャウトも合わさり、今作屈指の見せ場といえるでしょう。
この作品に興味の無い人も、この戦闘シーンだけは見ておいて損が無いのではないでしょうか。


そんなわけで、尺の短さが影響してヒロインとの恋愛面などにやや唐突な部分が存在したりしますが、総じてまとまりの良い良作だと思います。
何せ短いから全話一気視聴にも向いてますし、スパロボで興味を持った方は見て損がない出来といえるでしょう。

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by ejison2005 | 2007-07-06 04:33 | アニメ | Comments(2)
Commented at 2007-07-07 20:27 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ejison2005 at 2007-07-09 00:02
>>非公開の方
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