超エロゲー レビュー
さて、一ヶ月くらい前に、

超エロゲー
多根 清史 / / 太田出版
ISBN : 4778310527





こういう本を買ったのですが、積み本に混ぜた後すっかり存在を忘れていて、昨日発掘したのでちょっと暇な時間を使って読んでみました。
せっかくなので、レビューのネタにしようと思います。


最初にちょっとこの本の概要を説明しておくと、本書は「8ビット時代」「16ビット時代」「Windows時代」という3つの章に分けられていて、それぞれ15~20程のエロゲーをチョイスしてレビューが書かれています。
ちなみに、商業誌のレビューというのは大別すると、なるべく紹介するソフトの悪口を書かずに持ち上げる「ファミ通方式」と、容赦なく問題点などもつっこむ「ユーザー寄り方式」の二つがあると思うのですが、本書は「ユーザー寄り方式」ですね。
もちろん、プロのライターさん二人で書いてるわけですから、ストレートに、
「このゲームはここが駄目で~」
みたいな書き方はされてないんですけど(僕もその辺は大いに反省せねば)、率直過ぎず、それでいて湾曲的過ぎずにやんわりとそのソフトが抱えている問題点やネタ要素などを取り上げています。

ちょっと問題点を挙げると、「Windows時代」の章はそれほど魅力的ではないという事でしょうか。
何が問題かというと、商業媒体ではどうしても個人のホームページなどには勝てないんですよ。
もちろん、プロが書いてるんだから文章力で本書に勝っているサイトなんてそうそう無いんですけど、それでも広大なネットを彷徨えばそれなりの文章力を備えたサイトはいくらでも存在しますし、何よりも情報量が多い。
情報を知りたいソフトの名前をぽんと検索エンジンにぶち込めば、よほどのマイナーゲームでない限りあっという間に大量の情報を手に入れられますから。
本書は200数ページという限られた紙数の中で大量にソフトを紹介する事もあって、ひとつひとつのレビューはどうしても短めになっており、レビューを書く上でもっとも大切な情報量という面で、ネットに大きく遅れを取っています。
例えば、エロゲーに興味のある人間なら、実際にプレイした事はなくても君が望む永遠アレな内容のゲームであるという事は、いまさら本書でレビューされなくても知ってる事が多いですからね。
いうまでもなく、多くのエロゲーユーザーはイコールでネットユーザーであり、そうである以上、紙数や表現方法に限界のある商業媒体ではどうしても太刀打ちしきれないのです。

そんなわけで、ネットを通じて感想や情報がユーザーの間で共有化されている「Windows時代」の章は普通に面白いだけで、それほど魅力的なコンテンツではないんですけど、反面、「8ビット時代」と「16ビット時代」のレビューはすごく興味深くて面白かったです。
その作品の時代はまだネットも普及しきっておらず、ソフト自体も絶滅寸前の状況ですから、ユーザーには知るすべがないし、ネットで検索してもほとんど情報はありませんからね。
例えば、あのシブサワ・コウ氏がエロゲーを作っていたなんて、ほとんど知ってる人はいないでしょう?
仮に知っていても、実際にプレイした人は少ないだろうし、そのプレイ感想やレビューなど、とてもとても……。
黎明期に試行錯誤して生み出された作品群というのは、どんな業界でも佳作奇作が多く、本書はそういった歴史の波に埋もれていったソフトについて知る、数少ない資料として高い価値を持っています。
せっかくですし、そういった古のエロゲーだけを取り扱った続編を出版してくれないかなあ。

また、本書はレビュー以外にも幕間で「エロゲーハンター、北へ!」「家庭用ゲーム機で発売されたエロゲーとは?」「エロゲーハンター、秋葉原に行く!」というコラムがあり、後ろ二つはまあタイトル通りの内容だったんですが、「エロゲーハンター、北へ!」はとても興味深い内容でした。
北海道の「オーサリングヘブン」という会社に所属している、日高さんという方に取材をする企画なんですけども、この日高さんはThe ガッツ! という、

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とてもネタに走ったゲームを製作されている人なんですが、ライターさんの質問に対する返答がいちいちクリエイターとして尊敬できるもので素晴らしかったです。
特に、
「ええ。最近はソフトが多すぎるので、棚にソフトが並べられないっていう事態もあったんですけど、月に100本出てもいいとは思うんです。それが100本100種類ならば。いまは3種類で100本とか出すんですよね」
というコメントは、類型化して先細り感のある現状を的確に捉えていて、単純にバカゲーを作っているのではなく、少しでも市場の多様性を保とうという気概を持って仕事をしているというのが伝わってきて良かったです。


エロゲーという市場は、いまさら述べるまでもなく巨大なマーケットとなっているわけですが、ここらでこういう本を読んで、エロゲーの歴史というものに触れてみるのも悪くないと思いますよ。
ファミコンゲームなんかと同じで、昔の奇抜な発想で作られたエロゲーには、今のマンネリ化しつつあるエロゲーには無い独自の輝きというものがありますからね。オススメ。

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by ejison2005 | 2007-01-18 01:21 | ゲーム