理想のヒモ生活 レビュー
 作品ページ。

理想のヒモ生活 5 (ヒーロー文庫)

渡辺 恒彦 / 主婦の友社


理想のヒモ生活 6 (ヒーロー文庫)

渡辺 恒彦 / 主婦の友社



 ろくに更新もせず読みふけってたシリーズ第六弾。


 俺が書籍版を買ったなろう小説

 本作を僕が語る上で、まず欠かせないのがこの点でしょう。

 まったくもって忌々しい限りです。ビームシールドを使わされたキンケドゥさんはこんな心境だったのでしょうか? 俺は! 誇りを持って! 乞食をしているッ!

 何で買うことになったかっつーと、本作はある程度まで進んだところから書籍版とネット版とでお話ががらりと変わってくるんですよね。

 基本的な筋書きは主人公への側室入りを描いたもので変わらないのですが、それは字面にした場合の話。

 そもそも、側室入りとして取り沙汰されてる新ヒロインが全くの別人同士ですし、結果として書籍版は主人公が(後方とはいえ)自ら戦場に立つ羽目になったりと、内容はまったく別物といってよいものとなっています。

 大きな違いとしてはネット版が比較的穏やかに進行していくのに対して、書籍版ルートは先にも述べた主人公出陣など、金を得るに相応しいエンタメントした作りになっているのが挙げられるでしょうか。

 とはいえ、ネット版が面白さで劣るのかといえばそういうわけでもなく、こちらは主人公が召喚された国家の暗部についても描かれていたりと別種の面白さが存在します。


 いや、これはダイジェスト化された場合を除いて無料で読むことが可能ななろう小説において、なかなかに面白い商売方法であると思います。

 最初からルート分岐しているわけでなく、ある程度のキャスティングが完了したところから大胆に分岐させているというのが憎い。こんなの買うしかないじゃないか!

 その分、作者さんの負担は尋常じゃないらしく書籍敢行ペースもネット更新ペースもいまいち遅いというのだけが難点ですかね。


 理想のヒモ生活(ヒモ生活するとは言ってない)

 さて、本作において気に入っている点として(喋り方がなよってしてる点を除けば)主人公の好感度が高い点が挙げられます。

 まず、タイトルは「ヒモ生活」となっているし主人公もブラック企業勤めの疲れからその点に魅力を感じて異世界ライフを引き受けるわけですが、ヒモ生活自体は早々に終了し、普通に働くんですよね、主人公。

 それというのも、主人公が自堕落さを有してない健全な日本男子であるのも大きいし、王配がそうそう表に出てこないわけにはいかないという事情があります。
 が、何よりもヒロインである妻を慮ってのことだというのが大きい。こいつあ誠実な男だぜ! 誠実すぎてタイトルが旅立ってるけどな! てなもんです。

 なろうにおいては最初に出会った無職転生の印象が大きいですし、基本的にはハーレム主人公が多い印象です。
 そんな中において、その気になればハーレムを築くことも可能なのに一途に嫁さんと息子を愛する主人公の姿はとても新鮮で好感を持てるものとして映ったのですね。

 まあ、前述の通り今現在は側室入りにスポットを当てたお話としなっているわけですが、それらも状況が許さないからそうなってるだけで主人公の誠実さを疑わせるわけではないですし、個人的には許容できる範囲です。というか普通に主人公が気の毒なくらいです。


 善性に満ちた登場人物たち

 さて、本作では国内における権力闘争なども頻繁に描かれます。

 しかしながら、ここでポイントとなるのが権勢を争う各キャラクターが敵であっても仇ではないという点ですね。

 その筆頭とも呼べるのがプジョル将軍というキャラクターなのですが、彼は少しでも高い地位を目指しながらも有事が起こった際には極めて迅速に対応し、有能さを示します。
 その行いには一片の曇りも存在せず、彼にくっついて「将軍Sugeeeeeeeeee!」をおこなうキャラクターの存在もあってその凄さが際立つわけですね。

 その他のキャラクターも同じで、皆主人公とヒロインにとっては政敵でありますがその立場を離れれば全員極めて有能で皆が皆国の発展を願ってもいます。
 単純に敵役を無能な憎まれ役にしているわけではない、複雑でさわやかさすら感じるドラマがそこにはあるわけで、これも本作の大いなる長所と呼ぶべきでしょう。


 ちなみに、僕が一番好きなのはボナ王女。ネット・書籍版共に現状は準ヒロインくらいの扱いだけど、状況的にもフラグがいっぱい立ってるし是非もう一歩進んだところへ踏み込んでほしい。


 まとめ

 そんなわけで、主人公の誠実さを始めとしてキャラクターの高感度が極めて高い異世界内政を扱った作品です。

 主人公の立ち場上、踏み込んで経済などを語る部分は少ないのですが、そもそも「王配」というその立ち居地自体が目新しいものでありますし、これは是非とも一読して頂きたいですね。

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by ejison2005 | 2015-04-14 05:48 | ノベル | Comments(0)