異世界食堂 レビュー
 作品ページ。

 更新もせずにがっつり読みふけってたぜ!

 ……作中でも登場するパーティオードブルの如き、様々な味わいを含んだ良作であると思います。アレッタちゃんかわいい。


 日本の洋食屋さんSugeeeee! が心地よい。

 まず、本作における面白さの中核を占めているのがここであるんじゃないかと思います。

 や、既読の皆さんは「おいおいそうじゃねえだろう?」と思ったことでしょう。
 「料理のものすごく美味しそうな描写こそ異世界食堂の骨子じゃねえか?」そう思ったんじゃないでしょうか?

 もちろん、それは大前提なのですが本作における料理の味描写は「現代日本と比べて圧倒的に食文化が後進の中世ファンタジー住民による食レポ」なんですよね。

 作中での描写を鑑みるに店主さんは相応に腕の良い料理人(品数多すぎて食儀とか使えそうなレベル)ですが、登場人物はその腕前だけに驚いてるわけではないのです。

 ここら辺、既存の作品で例えるとテルマエ・ロマエなんかに近い作風でして単に「美味しそうな食レポが楽しい」のではなく「中世ファンタジー住民による食レポでナショナリズムを喚起されるのが楽しい」というのが正解なわけですね。

 僕らの生活圏にいくらでもある大衆向け洋食屋さんに対し、異世界人達が「っべー! まじでっべーわ! 超っべーすわ!」と言っているのに対し胸中で「どうだ日本の洋食屋さんはすごいだろう?」と鼻高々になって見せるのが楽しいわけです。オレらなんの関係もないけどな!

 ここら辺は形を変えたさすおにであるのかもしれませんね……そういやあっちもなろう出身だったか。


 一話完結式SSという特性を活かしたギミックエピソードが楽しい。

 具体的に例を挙げると、

 メンチカツ
 ビフテキ
 カレーライス

 この辺でしょうか?

 ここら辺のエピソードはあえて視点を置いた登場人物の境遇を伏せつつお話を進めることで、「こいつはこういう人物なんじゃないか……?」という推理する楽しみをお話に加えており、SSらしいギミックの楽しさが味わえるお話となっております。メンチカツは若干違いますが最終的にそんな感じ。

 メンチカツは記念すべきファーストエピソードであり上述の「日本の洋食屋さんSugeeeee!」もふんだんに盛り込まれておりますので、僕としても好きなエピソードですね。


 断片的に語られる異世界模様がまた楽しい

 さて、本作は主な舞台が洋食屋さんの店内という関係上一口に「異世界ファンタジー」と言っても登場人物がどのような世界観に住んでいるのか、特に初期はほとんど分からないわけですが回を重ねるごとに少しずつ、少しずつその辺が語られていきます。

 特に白眉といえるのが『ビーフシチュー』の主役も担ったある登場人物に関してで、この登場人物は『ビーフシチュー』単独だと「ほほう面白い客だな!」で終わってしまうのですが中盤以降に行われていく設定開示により実はそれだけに留まらない存在であることが明かされていきます。

 それ以外にも、

 主要国としてどのような国があるか
 どのような地方にどのような人々が暮らしているか
 この異世界にはどのような伝説が存在し登場人物はそれにどう関わっているか
 全く違うように思える文化圏同士にどのような繋がりがあるか
 おそらくコンビニだろうが朝っぱらから女性用下着を単独で買いに行った店長は勇者じゃないのか?

 等の要素が回を重ねるごとに明かされていき、時には異世界食堂を通じて文化圏の違う者同士が交流し新たな展開を見せることもあります。

 特に初期から登場する若者(齢121歳含)の常連客はその傾向が強く、異世界食堂を通じて徐々に変化していく彼らの状況を楽しむのも本作の面白さですね。


 個人的に好きなエピソード

 そんなわけで、やや推敲が甘く誤字の類が多い点は気になりますが、ほんと難点はそれくらいでひたすら楽しい作品であると思います。

 個人的に好きなのは、

 メンチカツ(記念すべきファーストエピ)
 エビフライ(主役が愛嬌あって好き)
 パウンドケーキ(心理描写が秀逸)
 ビフテキ(ギミック一本勝ち)
 ポークジンジャー(俺も好物だから)
 カレーライス(やはりギミックの勝利)
 チャーハン(初対面のヒロインに「シャワー浴びてこいよ」とか店長はやはりry)
 シーフードフライ(登場人物が楽しそう)
 とん汁(同上)
 クレープ(同上)
 カツ丼(同上……ここら辺から先代エピも増えるね)
 バーベキュー(あんたら仲いいな!)
 カレーライスふたたび(アレッタちゃんの次に好きな登場人物)
 ポテトチップス(コロッケの食い気が帝国を救うと信じて……!)
 ライスバーガー(この人物の高感度がぐっと上がった……別に低くはなかったが)
 お子様ランチ(説明不要ッ!)
 ロースカツ(店長の料理が世界を救うと信じて……ご愛読ありがとうございました!)
 ハンバーグふたたび(彼女を見たコロッケパパの反応が知りたい……来店するかだが)

 こんなところでしょうか。

 特にカレーライスふたたびは好きだなあ。すごく魅力のある登場人物だと思う。

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by ejison2005 | 2015-03-07 05:27 | ノベル | Comments(4)
Commented by ELN(エルン) at 2015-03-08 02:19 x
異世界食堂はまだ未読なんすよね。書籍も1巻が出たので、このタイミングで読んでみよう…(1話を読む)…おお、メンチカツ美味そうっす。これが深夜の飯テロ……。
しばらくは、これで暇をつぶせそうです。

この手の作品だと『異世界居酒屋「のぶ」』を最新話まで読みましたね。あっちはあっちでビール飲めないのに「トリアエズナマ」が飲みたくなったっす。
和食が中心、繋がってる先が固定と違いはありますが飯テロ返しということでお勧めしておくっす。
Commented by ejison2005 at 2015-03-12 05:57
>>ELNさん
やめろエルン。

つい先日謙虚誠実を読了し八男に手を出して睡眠不足なオレにその紹介は効く。

やめてくれ……。
Commented by ELN(エルン) at 2015-03-13 23:08 x
すっかり、なろうにはまってるっすねw

おいらはクリームソーダまで読破しました。
カレーライスの
「7000日ただ待つのと、7日待つのを1000回繰り返すのでは意味が違うな」
という台詞が印象深かったっすね。

「のぶ」はまだ68部しかないので大丈夫っす。
毎日更新で700部オーバーの「盾の勇者」とか「マギクラ」を勧めてるわけじゃないっすから。
Commented by ejison2005 at 2015-03-20 06:31
>>エルンさん
カレーライスはそこらへんの台詞も感慨深いし、ギミックも面白いし、最後に肩の力が抜けるオチもあって本当良エピソード。

三男読み終わったんでのぶ読み始めましたけど、しのぶちゃんは存在そのものがえろいと思います(迫真)。