Sporting Salt 太陽編 究極攻略
 そのあまりの難解さから「ジャンプのヒエログリフ」とまで呼ばれているスポーティングソルト。その新章である太陽編の、あまりの不可解さ、意味不明さ、難解さに各所でSAN値を削られる人々が大量発生し、阿鼻叫喚の様相を呈しているようですので、元ジャンプ感想人だった僕もせっかくだから乗っかってみようと思います。


 まず、通常の感想プロセスとしては「漫画を読みこむ」という作業が必要不可欠なわけですが、すでに先発組がそれで轟沈していることから、そのアプローチは避けるのが無難でしょう。

 ここで必要となるのは、これを描いた時、作者がどのような心理状態にあったか考察することであると思います。

 となると、ここでひとつ重大な考察材料が浮かび上がりますね。そう……、

 ① 作者はこの時点で、おそらく打ち切り勧告を受けている。

 のです。

 同時期打ち切り作品であるコンドルやヨアケモノが、大体このくらいの話数で畳のエピソードに突入していることから、これはほぼ間違いないといってよいでしょう。いや流石に、ジャンプ編集部もスポソルの延命に乗り出すとは思えんし。

 となると、さらに派生してひとつの事実がほぼ確定します。

 ② 最終回にボトルショーくらいやるかもだが、キャンペーンシナリオとしてはこの太陽編がラストであり、実質、本作を締めくくる意味合いが持たされている。

 ということです。

 これは作者の思惑などが関与する余地は有りません。残酷な資本主義社会の現実であり、今回ばかりはほんとよくやったぞのアンケシステムによる結果です。

 まあともかく、一見するとスポーツもソルトもないこの太陽編こそが、実は本作のクライマックスであり、作品そのものを象徴するエピソードであることは確定的に明らかなのです。


 ちょっと脱線しましたが、作者の心理状態についてです。

 まず、作者は晴れのデビュー作がストレート打ち切りという現実に直面し、大いに反省しているはずです。反省は大事です。人間、一度や二度失敗しても次でヒーローアカデミアすればいいのですから。脚本家の花田先生だって、ラブライブ一期終盤のズッコケを糧に二期は全編面白いものにしています。だからきっと、おそらく、艦これアニメも大丈夫なのです(震え声)。

 さておき、作者が大いに自省しているであろうことは、本エピソード中におけるオリンピック創設者名言引用からも見て取れます。一見、紙資源の無駄にすら思える豆知識披露シーンなわけですが、ここからは作者自身の自分へ向けたメッセージが見て取れるのです。

 ちなみに、作者さんはメタ的なことへの抵抗が少ない人のようで、それはお腹すいた子におにぎりあげるエピソード(多分そんな話だったと思う)冒頭において、主人公が自分をドラえもんに見立てた世迷い言を紡ぐメタシーンがあったことからも見て取れます。
 これは重要なファクターですので、覚えておいてください。

 さらに、このシーンでは部活動の成績向上計画が上手くいってないことが語られています。ここからは、作者が「主人公の(俺の)スポーツ医学には説得力がなく、そんなんで部活が強くなるわけないじゃんハハハ」と自戒していることがうかがえます。

 新たな考察材料です。

 ③ 生徒会会合シーンからは、作者の猛烈な自戒がうかがえる。

 ④ 作者自身が、この主人公(と自身のスポーツ医学では)部活動の成績向上など不可能であると認識した。

 そして、自戒が終わって次からは衝撃の太陽登場シーンとなります。


 太陽登場シーンの内容は要約すると、「不良を太陽がボコッて締め上げる」というものです。
 運動も塩もないこの内容に混乱する者多数なわけですが、上述してきた前提条件を元に考えると、ひとつの結論にたどりつくことができます。

 そう、太陽に課された役割とは、「自分殺し」なのです。

 まず、太陽が股ぐらをくぐるシーンでどう見ても瞬時に右肩関節を破壊されているチンピラとその仲間ですが、彼らのようなカス生徒が登場するのは本作において珍しいことではなく、むしろ、この高校の生徒はクズみたいなのがデフォルトというのが現状です。

 それがため、白筋さんのエピソードにおいて、かがみさんがラジオまでして、「問題の本質は、この高校の生徒がクズ揃いな点にある」と結論づけています。

 新たな考察材料です。

 ⑤ 優秀な素質のスポーツマンが腐っていたのは、周囲の生徒が譲崎ネロすぎる点にあり、引いては、部活動の成績が上がらないのも同じ点が原因であると考えられる。

 そこへ加えて、わざわざ一話の大半を割いてまでのチンピラ生徒成敗エピソードです。

 もう、見えてきましたね……?

 つまり、来週以降は、

 太陽が主人公(作者)に対し、「てめーのスポーツ医学じゃ部活動の成績は向上しねー! 今、本当に必要なのはカスどもを徹底的にボコり、更生させることなんだよ!」「な、なんだってー!?」

 という展開になるのです!

 そして、これこそが太陽に課された「自分殺し」の役割です。

 来週以降、彼(彼女?)は主人公を徹底的に糾弾し、不良をボコる自らの行動こそが本校部活動に対する最良の処方箋であると力説することでしょう。

 これに対し、主人公は何も言い返すことができないはずです。何せ、上に挙げてきた考察材料を見れば、太陽の主張が正しいことは明白なのですから。

 しかし、そうやって主人公(作者)を舌戦によって打ち負かすことは、作品そのものの終焉を告げます。何せ、打ち切られるまでやってきた全てのエピソードは、全くの無駄でしかなかったと作中で証明してしまうのですから。

 まるでセプクの如きアトモスフィアが漂うこの行為からは、作者=サンの激しい後悔と自責がうかがえます。それは上述の考察材料からも明らかです。

 ゴウランガ! そう、作者=サンは太陽編という壮大な自分殺しのメタエピソードをクライマックスに据える事で、自分自身と自作へケジメをしようとしているのです。何という潔さ! 彼はスポーティングソルトの連載を通じて、チャドーに目覚めようとしている!?

 とまれ、不良の抱いた謎の骨イメージと太陽が展開した水中の魚という固有結界からも、「お前たちに呼吸などさせない(この作品の息の根を止めてやるぞ)」「必殺技のひとつもないで連載を生き残れると思ったのか?」というメッセージが読み取れます。


 なんという……なんという悲痛さでしょうか……。最初、スポーツ医学のすごさを伝えるために始められた本作は、作中におけるスポーツ医学(あくまでも作者のだよ)否定によって、ウロボロスの輪の如く自己完結し、終焉を迎えようとしている……!

 それはまるで、作者さんによる自分自身へ向けたラブレター……。

 余人が傍から見ても意味を理解できるはず、ありませんでした。

 だって、この太陽編における唯一ただ一人の読者は、他ならぬ作者、その人だったのですから……。

 我々、外輪の人間にできることは、ただただ、このケジメを見守ることだけです。

 備えよう。

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by ejison2005 | 2014-11-19 05:57 | ジャンプ感想