艦隊これくしょん -艦これ- 鶴翼の絆 感想

艦隊これくしょん -艦これ- 鶴翼の絆 (ファンタジア文庫)

内田 弘樹 / KADOKAWA/富士見書房


 前二つのノベライズがアレな出来だったこともあり、どうせ今回もファントムがルージュする感じのノベライズなんでしょ~? と全く期待せずに読んだのですが、意外や意外、普通に面白い作品に仕上がっていました。

 まず、何より大きいのが、

 艦これでやる意味のある作品

 という点ですね。

 前二つが、「これ別に他のモチーフでもやれるよね?」「これプレイ日記で書いた方がよくね?」という代物だったのに対し、本作は「軍艦の擬人化」という点に着目し、そこを大きくクローズアップしている。

 これは艦これというゲームでも非常に大きな一要素であるわけで、そこを前面に推し出した小説作品というのは、やる意味がある……というか、やる意義があるわけです。

 お話の筋書きそのものは、新米がなんやかんやあって成長して勝利に貢献するという、それだけだとありきたりに思えるものなんだけど、前述の通りそれら全ての要素に「軍艦の擬人化」という設定が関わっているため、それがオリジナリティの色つけをしてくれている。ひとつの作品として、読む価値のあるものに仕上がっています。

 また、艦これ世界の描写としても、鎮守府と海だけで成り立っていた他二つのノベライズと比べ、少ないながらも市井の人々との関わりを描いたりしているのも嬉しいところ。それによって、少なくともこの世界内で艦娘はどういう扱いなのかが分かるようになっていますからね。

 あと、これは超個人的な感想なのですが、ちゃんと鎮守府から戦闘海域までの間に距離の概念があり、待機用の母船を用意する橋頭保の概念が存在するのもよかった。
 ……いや、よかったというか、これはできていて当たり前レベルの話なんですけどね。なんで俺、こんなことに喜びを感じちゃってるんだろうか。本当に他ノベライズ二つは(ry


 難点に感じた点としては、やはり第一章における加賀さんですかね。艦これ内における台詞があるし、本人のキャラクターもあるからこうなるか……な? という感じ。宴会で瑞鶴を挑発するシーンは、もうちょっとさらっとしてた方がよかったかもしれない。まあ、これはあの台詞を用意したゲーム側の責任だな。

 もうひとつ、これは絶対に受け入れられない難点としては……オリジナル提督だなあ。まあね。うまいことやってるんじゃないですか? そこらの学生みたいなメンタリティだった一航戦小説と比べりゃ、軍人らしいし。
 でもなあ、これ理屈じゃないよなあ。生理的にすげえやだもん。は? 何てめえごときがうちの艦娘相手にラッキースケベ働いてるんだ? 憲兵詰所行くか? お? こんなもん。
 やっぱなー。大神さんとかと違って、ゲーム内で名を持つ主人公として描写されてるわけでもないんだし、基本的には出てこない方がいいんじゃないかなあ。提督はいることはいるけど紙面には登場させず、艦娘を統括する立場として鳳翔さん辺りがちかいことやればいいと思うよ。

鳳翔「では、トラブ……じゃなかった艦娘の皆さんに、コン……じゃなくって慈母のごとき父なる提督様のお言葉を伝えます」
「「「はい! ウルトラヴァイオ……じゃなかった、鳳翔様!」」」

 あかん……。

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by ejison2005 | 2014-03-30 18:45 | ノベル