ウィザード……中だるみに負けたライダー
 さて、特別回を残すとはいえ仮面ライダーウィザードもめでたく最終回を迎えたわけですが、振り返ってみて強く思うのが2クール~3クール目辺りにおける中だるみのひどさだったと思うわけであります。そこで今回は総括に代えて、その辺を詳しく考えてみましょう。

 特撮番組……というより、4クール放送する番組の常に抱えている問題点ですが、この時期は基本的にダレが発生しやすいものです。理由は色々とあるのですが、1クール目で確立した番組の基本路線ばかり繰り返していてはマンネリ化してしまうというのがまず一因であると思います。

 で、我らがウィザードがこの番組中盤~後半に当たる部分で何をやっていたかを列挙すると、

・2号ライダー、ビースト登場
・各ドラゴン形態への変身、ドラゴターイム!
・ビーストハイパー登場
・新幹部グレムリン登場

 およそこのような形になるわけですが、どうもこれがあまり上手くなく、結局は「その話限りのゲート登場→『死の恐怖で~』からのいつものパターン」というお話ばかりが続く形になってしまいました。言い方を変えると、

 これだけのイベントを消化してるのに、ワンパターンな印象を与えてしまった。

 ことになるわけです。

 ではなぜ、そうなってしまったのか? 単純に考えてあるひとつの要因に辿り着きます。そう、それは、

 グレムリンがイニシアチブを握らなかった

 ことなのです。

 思い起こせば、フェニックスさんが黒点の一つと化すまではなんやかんやいっても結構楽しく見れていた記憶があります。というか、当時自分が書いた感想を読み直してもけっこー普通に楽しんでいます。
 それとこれというのも、不死能力な上に復活すると強くなるという特殊性で「どうやって倒すんだ?」と興味を引き、ストーリー上でも何度も激突した晴人はもとより凛子ちゃんとも因縁を結んでいたフェニックスさんの活躍によるところが大きかったんじゃないかと思います。
 フレイム以外のドラゴン覚醒は消化試合感漂う代物でしたが、オールドラゴンはフェニックスさんという強敵を撃破した姿ではっきりと印象深いフォームになったといえるでしょう。その後ほとんど出番はありませんでしたが。

 そしてまあ、その辺りが番組としてのピークになってしまったんだよね。

 特撮番組のフォーマット的な制約として、基本的にヒーローは専守防衛の場当たり的対処をしていく形になります。そして、それが故に敵側は「何話もかけてヒーロー側がかかずりあっていかねばならない」キャラクターの排出が求められるわけです。

 つまり、話のイニシアチブは常に敵側が……この場合ワイズマン(笛木)は昼寝に忙しいのでグレムリンが握っているわけです。

 で、まあ、ここで問題が生じてくるわけですが、グレムリンさんってば全然自分の目的(人間に戻る)のために動かなかったのですよね。

 それっぽいことといえば、魔法石を渡したりしてたくらいで中盤に取っていた他の行動は全てが愉快犯的なものでした。
 これではいけません。ただの雑魚怪人とやってることに大差がない……ばかりか、大した意味もない彼の愉快犯行動に余分な尺を取られたと見ることすらできます。

 ヒーロー側がお話の縦糸を紡ぐことはできないのだから、彼はもっと早い段階から己の目的のために動くべきだったのです。具体的にいうと、フェニックスさんが葬られた(死んでないけど)直後くらいからもう、賢者の石奪取のために動くべきであったでしょう。

 そうすれば中だるみ時期に必然、

・コヨミの正体バレ
・で、あるからには笛木の正体バレ
・続々と誕生する仮面ライダーメイジ

 これらのイベントが盛り込まれることになり、自然な流れとして自分の在り方に葛藤するコヨミなどといったエピソードを展開することができたはずです。他にも、ビーストのハイパー化にメイジ(青)との師弟関係などを盛り込むこともできたでしょう。
 しかも、白い魔法使いとメイジのベルトは共通なので白い魔法使いベルトの販促にもなります。やったぜ!

 この場合、笛木の退場が早まってしまいますが、そこはカーバンクルが笛木を裏切るなりなんなりして敵幹部を補充すればよいでしょう。着ぐるみもったいないですし。


 というかですね、身も蓋もないこというと最初はグレムリンにそんなことさせるつもりなかったんじゃないかな。
 だって、彼の場合「人間に戻る=詰み」ですからね。ご丁寧に身バレかましてますし。それがなかったとしても、ファントムとしての力があった方が明らかに快楽殺人者としては行動しやすいでしょう。別に人間への変身に制限時間があるわけでもなし。

 特に何も目的はなく、なんとなくのふわふわしたノリで登場させちゃったから、中盤辺りの彼の行動は番組全体としても意味のない、ふわふわとしたものになっちゃったのではないかと。

 まあ、実際のところどんなつもりで登場させたのかは知りませんが、敵の新幹部なんてものはストーリーのけん引役としての役回りが強くなるわけですから、特に計画的に描写してやらないといけませんよっと、それがウィザードという番組の教訓なのかもしれません。

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by ejison2005 | 2013-09-21 20:25 | アニメ | Comments(6)
Commented by タラコフスキー at 2013-09-23 11:26 x
その点キョウリュウジャーは巧みですよね。初期にゴールドが加わりながらも、スピリットの戦士を定期的に投入したり、敵側でも良きタイミングでドラマを挿入したりしたりして中だるみとは無縁の作品に仕上げているわけで、さすが三条先生と言わざるを得ません。
Commented by 風龍 at 2013-09-23 19:45 x
難しいところですよね。
後半~終局の盛り上がりが評価される剣にしても中盤は睦月のgdgdと橘さんの奇行が相変わらずひどかったですし。

平成ライダーだと、龍騎が一番ダレが少なかった印象がありますね。
なにしろいつ誰がぶち殺されるかわからない緊張感がありましたし、浅倉・東條という掻き回し役を定期的に投入してきたのも大きかったと思います。
ホント東條にいたっては何してんだよコイツと毎回思わされましたもの
Commented by ito at 2013-09-24 21:20 x
グレムリンの人間になるという具体的な目的は後付けかもしれませんが
ファントムはゲートの名前で呼ぶ・自分をソラと呼ぶというのは本当に最初っからのキャラ付けなので
なにかしら人間であることに対するイベントは考えてたんじゃないかと
Commented by ejison2005 at 2013-10-01 20:09
>>タラコフスキーさん
三条先生はその辺、ダイ大の頃から上手にやってのけてるよなあ。もはや、職人芸の領域であると思わされる。
Commented by ejison2005 at 2013-10-01 20:11
>>風龍さん
あの伝説のタコ焼き回は今でも忘れられない。お話そのものもさることながら、パワーアップアイテムが郵送ってダディ……。

>ホント東條にいたっては何してんだよコイツと毎回思わされましたもの
あいつすげえよな。何せ、本人ですら自分が(本当の意味で)何したいのかよくわかってなかった節があるもの。
Commented by ejison2005 at 2013-10-01 20:13
>>itoさん
魔法石を渡してきた件もそうだけど、初期は一体どんな風に使うつもりだったんだろうね? ちょっとプロットが知りたい。