神崎士朗と笛木、どこで差がついたのか……
 さて、先日「それで死なないならお前何やったら死ぬんだよ?」というグレムリンさんのアンブッシュによって死去されたワイズマンこと白い魔法使いこと笛木ですが、色々なところでもいわれているように、仮面ライダー龍騎の黒幕である神崎士朗とは何かと共通点の多い人物です。

 やはり大きいのは、「大事な人を蘇生させるために戦いを操っている」という目的と行動様式の一致であるわけですが、しかし、僕は神崎士朗と違って笛木にさほどの愛着が湧かないんですよね。ボスキャラとして。

 これほどまでに似通ったところのある両者。しかし、こうも差があるのは何故なのか……それを考えた時に思いだしたのが、神崎士朗にあって、笛木にないものでした。

 そう、それこそはオルタナティブ・ゼロこと香川英行教授の存在です。

 彼が作中で果たした役割というのは、非常に大きく、箇条書きで述べると、

・神崎の目的を完全に把握した上での立ち振る舞いにより作中最大の謎「神崎の目的」を効果的に段階的に視聴者へ明かした。

・自身が開発したライダーシステムでの参戦により、中だるみする時期へ活を入れると共に、「龍騎のライダーが基本的には科学的研究による産物」であることを描写することに成功した。

 このような形になるのでしょうか。

 これによって、何が起こったかというとまず神崎士朗の掌で転がされていた物語に「オルタナティブ」という異分子が参加することで、物語が複雑化&重厚なものとなりました。

 ついでに、「いくら神崎が天才としてもこれだけのことを成し遂げるのは不可能ではないか?」という設定的に説得力の薄くなる部分に「神崎の他にもやれる人はいるんですよ。この世界ではそこまで無理でもないんですよ」という説得力をも与えてくれたのです。

 翻ってウィザードですが、まず「ワイズマン=笛木=白い魔法使い」という構造上、全てが一人の人物によって転がされているワンサイドゲームという形になってしまい、物語の複雑さも重厚さもへったくれもない状態となってしまっています。
 で、そうやってワンサイドゲームしてるからには当然、全てが「自分の目的を秘密にしたい笛木」の思惑通りに運んじゃうわけでして、その結果となって表れたのが、つい最近まで続けられた「単発ゲストによる単発エピソード」というお話を引っ張る力に欠けた物語構成だったのでしょう。そりゃあ、笛木の目的とか正体を段階的に明らかとする話を書けんわ。だって終盤まで彼の思惑通りなんだもの。
 一応、カウンターとしてグレムリンも存在はしましたが、結局、彼は記憶がたまたま残っただけの強めのファントム(笛木が生み出したもの)に過ぎず、彼の掌から脱却することはできなかったのです。

 また、個人的にあんまりにもあんまりだと思ったのが「あれは人工ファントム、カーバンクルだ」というひと言で説明終了されてしまったワイズマン(の姿)でして、これもオルタナティブ的な存在を出して「こういうことが可能な世界なんですよ」とワンクッションを挟むなりしていれば、もう少し違ったんじゃないかと思います。


 振り返ってみると、香川英行教授のみならず、平成二期以降でも、井坂先生、真木さん、タチバナさんという具合に、第三勢力的な立ち位置から話を引っかき回し、お話を面白くした例には事欠きません。

 笛木にも何か、そういう強烈なカウンターとなる存在がいれば、もっと話が締まったんじゃないかなあ。

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by ejison2005 | 2013-09-10 21:01 | アニメ