(二匹目のドジョウという)幻影ヲ駆ケル太陽
 さて、夏アニメも序盤が消化された今日この頃ですが、その中でも個人的に飛び抜けていると感じるのが幻影ヲ駆ケル太陽なのであります。無論、悪い意味でな。

 いや、実はそんなに悪い意味ではないのかもしれません。かといって、良い意味ではもちろんない。何せこの作品、観ていて何も感じない。【自】:[【カウンターブラスト】(2)] このユニットが(V)か(R)に登場した時、あなたの《リンクジョーカー》のヴァンガードがいるなら、コストを払ってよい。払ったら、相手の後列のリアガードを1枚選び、呪縛する。という能力でも目指してんのかというくらい、虚無に支配されている。本当に、何もない。

 別に話や作画が破綻しているわけではないのですが、かといってプラスに感じる要素も全く存在しないのですよね。これは逆に考察しがいがあるぞい、ということで今回のお題とさせていただきました。

 で、結論からいうとこの作品は「フォローできてないフォロワー」であることに、問題の根源があるんじゃないかと思います。

 まず、この作品がフォロワーになろうとしてるのは何かといえば、これはもうまどかであることに疑う余地はありません。設定といい演出といいジャンルといい、苦笑いがするレベルでフォローしまくってます。

 が、そういったテクスチャーの部分では真似れていても、肝心要たる屋台骨の部分を真似ることができなかった。これが痛い。

 僕はね、まどかがヒットしたのって魔法少女に鬱要素を混ぜたからだ、とそう単純には思っていません。
 鬱要素というか三話以降毎話必ず持ち込まれるイベントや新設定によって、登場人物にとっての、ひいては視聴者にとっての価値観世界観を二転三転七転八倒させたのが、何よりも大きな要因であったのだと思っています。

 例としては、


 夢と希望に満ち溢れて映った魔法少女の世界 → そんなことないぜ! 首チョンパ余裕だぜ!

 大好きな彼のために魔法少女やるよ! → あたしって、ほんとバカ → しかも魔法少女こそが魔女の素体でした

 謎に満ち溢れた少女の暗躍 → 一番の友達でした


 とまあ、こんな具合。

 翻して、本作について考えると、この作品で提示された鬱要素は「怪物の中身は変貌した人間でした。しかもその声が聞こえちゃいました」というものです。

 そして、その鬱要素を駆使した作劇ですが……。


 怪物の中身は変貌した人間でした。しかもその声が聞こえちゃいました → だからといって別にやることは何も変わりませんでした


 うん、いや……それじゃあかんだろ……。

 主人公と緑の人は心情に少し変化がありましたが、だからといって別に作中でやることに変化はなく(むしろ「話を聞く」という現状無駄な尺が増えている)、最初からそういうものとして提示されているので世界観も価値観も何一つ変化しません。実に平坦な印象を受けます。


 まどか的手法で考えると、この鬱要素を用いての作劇なら、


1.J( 'ー`)し カーチャンと同じ力を手に入れたぜ! それで怪物倒すの超楽しいぜ! 毎日が充実しているぜ!

2.か、怪物の正体は人間だったぜ! 声が聞こえ始めちゃったぜ!

3.しかも幼馴染みの親友まで怪物になっちまったぜ! 仲間が殺そうとしてるけど身内贔屓でかばってその場は逃がすぜ!

4.結局、人間に戻す方法はなさそうだぜ!

5.仲間が倒すのを見守るか、自分で手を下すか、いっそ怪物の味方をするか究極の選択だぜ!


 こんな感じで話を転がしていくのでしょうか。とにかく、世界観と価値観を変転させていくべきであると思う。特に親友の怪物化なんてそれに最適な代物であるのだから、自覚もなしにエイヤッとやっちまうもんではなかったと思う。
 てか、こうして考えるとさやかちゃんはすげえ重要人物だったんだなあ(笑)。


 というかアレだな。「この作品は『フォローできてないフォロワー』であることに、問題の根源があるんじゃないかと思います(キリッ)」なんて書いたけど、フォローしても所詮は二番煎じでしかないな。

 海原雄山曰く、「ピカソに絵を習ったからといって、ピカソと同じ絵を描いても仕方がない」ンッン~、名言だなこれは。

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by ejison2005 | 2013-08-02 20:10 | アニメ | Comments(4)
Commented by 通りすがりーの at 2013-08-03 01:09 x
なんつーか一つの作品がヒットすると右向け右で同じようなモノばっかり作りたがるのは何なんだろうか
ひぐらしがヒットした当時、アニメもゲームもループものばっかりになってうんざりしたもんですよ(別にループもの自体は昔からあったけど、ひぐらしが出てから明らかに増えたのは確かだと思う。まどマギのオチもまたループか・・・と思ったし)

とりあえずこの作品で味方の死人が出るとしたら絶対関西弁の子だろうなと思いました。
それと、タロットをモチーフにするんだったら戦闘方法もタロットになぞらえてみるとか工夫しようぜ・・・え、JOJO?

あと、プリズマイリヤがまんま、なのはの丸写しにしか見えないんですが・・・
なんか真面目に魔法少女モノとして見ればなのはのパクリだし、魔法少女のパロディとして見ればなんでfateなの?としか思えないし・・・う~ん
Commented by アール at 2013-08-03 07:16 x
>さやかちゃん
全体の半分ほどの尺を使って描かれた「魔法少女の典型的な誕生とその末路」ですからね…。
そんなさやかちゃん自身のキャラ造形があまりにもごく普通の考えなしで真っ直ぐな女の子ということで、今までそういうごく普通の少女がどれだけ同じような誕生と末路を辿ったのか暗に示すという。

言い方がアレですが視聴者は悲惨な状況に置かれたキャラ達がどうあがくかを見たいわけで、悲惨な状況だけ用意されてキャラの行動に変化がないってのは全く無意味なことだと思います。
Commented by ejison2005 at 2013-08-04 12:40
>>通りすがりーのさん
雨後にはタケノコが生えてくるものですが、良いタケノコはとても美味しいわけで、僕はそんなに悪いことではないと思ってますよ。

しかし、本当にタロット要素全然関係ないですね(苦笑)。ジョジョはスタンドの概念そのものが新しかったからよしとして、この作品はペルソナほどにもタロット要素を感じない。

>プリズマイリヤ
これはFateのパロディでさらにパロディするという、スターシステム的なあれこれですので、また事情が違うと思うの。しっかりキャラ同士の関係性を付与していってるし、僕は好きよ。
Commented by ejison2005 at 2013-08-04 12:41
>>アールさん
なるほど、さやかちゃんには典型的魔法少女代表という役割もあったのか、僕はちょっとその視点持ってなかったので、これは目からウロコですね。なるほど、確かにそうだ。

>悲惨な状況に置かれたキャラ達がどうあがくか
この作品、さっぱりあがかないからね。もうちょっとなんとかしようよと思う。