テルマエ・ロマエ(映画) 感想

テルマエ・ロマエ 通常盤 [DVD]

東宝


 いくら面白い面白いって言われてもなー邦画で漫画原作とか地雷臭しかしねえぜ、と思いながら視聴してみたらいやはやこれは意外。そこにあったのは映画界のアベノミクスであった……!


 美術&エキストラ ~何故ベストを尽くしちゃったのか~

 まず、この映画をみて驚いたのは背景美術やエキストラの凝りようですね。

 例えば時代劇なんかでも背景にある町屋がいかにも現代建築技術で建てましたよ~という真新しい代物だったりすると何となく残念な気持ちになってしまうわけで、歴史モノを撮るならそれっぽい背景を用意できるかどうかは非常に重要なポイントとなります。

 が、この映画はまずそこで手を抜かなかった。どころか、調べたところによるとわざわざイタリアはチネチッタまでおもむき1000人ものエキストラを使って2週間に及ぶ撮影をするという凝りっぷり。

 その甲斐あってか古代ローマパートはハリウッド映画のそれと比べても遜色ないレベルで画面作りがされているわけですが、これ、すげえ勇気のいる決断だっただろうなあ。

 いやだって、そもそもヒットするかどうかサッパリ分からん代物ですからね。原作は話題作とはいえどちらかというとマイナーな類に位置する作品ですし、題材も古代ローマ×風呂というトレンドなんぞガン無視な代物ですし。

 もうちょっと手を抜いてもいいのよ……とこちらが一歩退いてしまうほどの徹底ぶりにまずは拍手を送りたい。


 主演:阿部寛の怪演

 そして、これも大きいのは主演である阿部寛の怪演技っぷりでしょう。日本人のくせに古代ローマ人を演じても違和感を覚えさせないルックスもさることながら、その演技力が今更ですがやはりすごい。

 特に感嘆したのはフルーツ牛乳や温泉卵を食べる際に見せた絶妙な間の取り方で、これはコメディリリーフも多く務めた阿部寛の面目躍如というところか、「このタイミングでこう演技すれば最も笑いを取れるだろう」と計算しつくされたリアクションが光ります。

 その他には、鉄面皮を一切崩さぬままアホなことをやる姿はまさに原作ルシウスのそれであり、彼なくしてこの映画は成り立たなかったといっても過言ではないでしょう。


 原作を活かしつつアレンジした脚本

 邦画のオリジナル脚本といえばハッピーバースデーデビルマンに代表される原作レイプばかりという印象を抱いていた僕ですが、この映画におけるアレンジっぷりには惜しみない賞賛を贈りたい。

 ひと言でまとめちまうと「原作のエピソードを活かしつつ持ち味を殺さない範囲でオリジナル展開へ持ち込んでいる」点が優れているわけですが、この当たり前に望まれることをやってのけられる作品がどれだけ少ないことか。

 特に大きいのは原作の面白さにおいて最も重いウェイトを占めている「日本はこんなにすごいんだよ」「日本の浴場文化は世界に誇れるんだよ」という点を終盤のオリジナルパートでも前面に推し出しているところで、原作の面白さをきちんと理解し、敬意を抱いてる人間による執筆であると感じられる仕上がりになっていました。


 まとめ

 そんなわけで、画面作り・役者の演技・脚本の完成度と三拍子揃った良作であったと思います。
 どうやら続編も企画されてるようですが、既にパーフェクトと言えるほど完成度は高いわけで、変に目新しい要素を加えたりせずこのままの路線でアップグレードして見せて欲しいですね。

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by ejison2005 | 2013-03-21 20:36 | 映画 | Comments(0)