競技系作品におけるヘイトの有意性について考える
 現在放送中のガールズ&パンツァーと、先日そこそこ長い生涯を終えたチャンピオンのてんむすを読んでて思ったんだけど、両者とも敵校のキャラを立てるために何故か試合と関係ない場外乱闘でヘイト溜めてくるよなー。

 そんなわけで、ちょっと競技系作品においてヘイトはどのように扱うものなのかを考えてみる。


 そもそもヘイトを溜める目的とは?

 では、まず最初に「競技系作品」というくくりを外し、何故創作物において敵キャラクターへヘイトを溜めさせるのか考えてみましょう。

 ……とまあ、そんな大げさに解説するまでもなく目的は明らかだよな。「こいつはこんなに悪い奴なんですよ~」「遠慮なく殺っちゃっていいやつなんですよ~」と受け手に向かって喧伝し、心置きなくたわばっ! してもらうための手法。

 主人公の強さ凄さを見せるためには斬られ役が必要、かといってそこらの無辜の民相手に北斗百裂拳を叩き込むわけにもいかない……というわけで、斬られ役を斬られ役たらしめるための下ごしらえ、というのが基本的な考え方でしょう。

 代表例としてはそれこそモヒカンザコの皆さんが挙げられますね。彼らのアイデンティティーはひでぶっ! することにこそあるといって良い。雑魚ではなくボスキャラで挙げるならば、こないだの放送で降板してしまったディオ様なんかも、心置きなく泣くまでぶん殴ることの出来る名優であったといえるでしょう。


 ……で、この創作物において敵キャラにヘイトを溜めさせる目的ってのがそもそも競技系作品と致命的に噛み合ってないよなーと僕なんかは思ってしまうわけです。


 何故競技系作品とこの手法が噛み合わないか?

 以下、理由について述べる。


 競技で人を殺してはいけません

 最大の問題点。

 上記の通り、敵キャラにヘイトを溜めさせる理由ってのはそいつらがあべしっ! した時のカタルシスを発生させることにこそあります。

 で、普通に考えて部活動などの競技で人を殺しちゃいけないよね?

 斬られ役のヘイトってのは基本、斬られた瞬間にこそ禊がれる代物なわけで斬ることができない世界観を舞台にしてるのにそんなもん溜めちゃってどうすんの? という。

 そもそも、競技系作品においてヘイト溜めてくるような奴は競技内容と無関係なところでクズ人間だからこそそのような行為に及んでいるわけで、そういった手合いを競技で負かしたところで精神性が改善されるわけでもなんでもないのです。


 動機を作るまでもなく戦います

 敵キャラにヘイトを溜めさせる理由のもうひとつとしては、主人公がそいつらと戦う理由付けというのがありますね。斬られ役を斬られ役たらしめるための下ごしらえです。

 で、多くの競技系作品においてはトーナメント方式などを採用しているため、そういった動機とは無関係にぶつかります。放っておいても。

 なのに、へいとなんかためちゃって、どうすんの?


 ジャッジー!

 さて、単に「すごく強い競技者」であるならばそれは尊敬の対象であり、別にヘイトの溜まる敵キャラではありません。ヘイトの溜まるキャラというのは要するにゲロ以下のにおいがプンプンするような奴を指すのです。

 したがって、競技系作品において敵キャラがヘイトを高める手法としては、トゥーシューズに画びょうを入れる、試合中に意図して反則行為を働く、試合中に大声で主人公側を煽りまくる、試合外で殴る蹴るなどの暴行に及んでくる、などの卑劣な行為にほぼ限定されると考えて良いでしょう。

 ジャッジキル対象です。場合によっては犯罪です。皆さんは真似しないよう注意してください。

 そのように常識的に考えて看過されるはずのない行為となりうるため、作品そのもののリアリティーを著しく損ねることも忘れてはいけないでしょう。


 結論

 以上。本来この手法を用いる目的となっている二つの部分で競技系作品はその性質上、かちあいを起こしてしまっており、おまけに作品そのもののリアリティーを損ねる副次効果まで期待できてしまいます。やはり、相性はよくないと考えるべきでしょう。


 ではどういった時にこの手法を用いるべきか

 とはいえ、何事においても例外は付き物です。ここでは、どのような場合競技系作品でこの手法を用いるべきなのか、事例を元に考えてみましょう。


 競技そのものが物理的戦闘と同じ意味合いを持つ世界観の場合

 例:「おい、決闘しろよ」

 このような作品の場合は、要するに形を変えた能力者バトルを行っているだけなわけでヘイトを溜めることに何の問題も存在しません。思う存分溜めてあげましょう。そして勝ったらマインドクラッシュしてあげましょう。

 稀に競技そのものはそういった意味合いを持っていないのにボーグ魔法で競技に勝つと同時に物理的制裁も与える某リュウセイさんが存在しますが、あれは例外なので気にしないでください。

 その他の事例ではミスター味っ子なんかも挙げられますね。要はデュエル脳ならOKなのです。


 実は悲しい過去があったりする場合

 例:トムノカチデース

 急にイイ奴になるアレです。というか武論尊キャラ全般です。なんとなく許され罪を禊いだ感じになるキャラクターです。この場合は改心も望めますし。

 が、事例としてまた遊戯王キャラが挙げられてしまっていることから分かる通り、常識的な世界観でこれをやるとリアリティを著しく損なってしまう事でしょう。デュエル脳バンザイ!


 もう許してやれよ

 例:クスリ君

 PSYクオリアでの予言という体で極めて普通のファイトを展開し、どう考えても防がれる場面でドヤ顔三度目だ宣言をかました挙句、UBお披露目の生贄となった彼の事例から明らかなように、こういった場合は擁護しようがないくらいけっちょんけっちょんにボコるのがコツです。中途半端に接戦だったり同順位だったりしないようにしましょう。

 また、クスリ君のように何カ月も間を置かず早い段階でボコってしまうと尚良いでしょう。

 ここまで全部ホビーアニメ。


 かまうこたねえ鉄拳制裁だ!

 例:灰崎君

 キセキ()。

 試合では負け場外では青峰君の制裁を受け、食義でも極めてんのかと思わされる程に無駄の無い美しいかませっぷりであったことよ。

 ここにきてバヌケ。


 結論

 事例がホビーアニメとバヌケであることから分かる通り、一般的常識と良識と審判と警察が存在する世界観の場合、やはり競技系作品とヘイト稼ぎとは相容れぬものなんじゃないかな。

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by ejison2005 | 2012-12-05 21:52 | 漫画