ヘタレ ノットコイコール 優しい
 年明けの記事でこんなこと書くのもなんですが、皆さんはクソ主人公と聞いてどんな人物像を思い浮かべるでしょうか。

 人によって思い浮かべる人物像は様々だろうと思います。ですからここは、「自分が嫌いなタイプの主人公」と言い換えても良いでしょう。

 もちろん、僕にもそういうタイプの主人公というのがいて、具体的にいうと、

 ヘタレであるにも関わらず、周囲からそれを問題視されず、それどころか、「だって○○は優しいから~」などと正当化される男主人公

 が嫌いです。

 では何故、僕はそういう主人公が嫌いなのか、ぼーっとペルソナ3のレベル上げしながら考えていたことを書き記していこうと思います。


 そもそも「優しい」とはどういった意味の言葉なのか?

 さて、ここで問題となるのが、主人公に対する肯定理由である「優しい」という形容詞です。
 ここは一発、他人の知恵を借りるぜとばかりにgoo辞書先生へと尋ねたところ、

1 姿・ようすなどが優美である。上品で美しい。「―・い顔かたち」「声が―・い」

2 他人に対して思いやりがあり、情がこまやかである。「―・く慰める」「―・い言葉をかける」

3 性質がすなおでしとやかである。穏和で、好ましい感じである。「気だての―・い子」


 などの答えが返ってきました。姿・ようすなどが優美だから惚れてるのだと「イケメンだから好きよ! 抱いて!」になってしまいますし、性質がすなおでしとやかで、穏和で、好ましい感じの男主人公というと、それはまた別問題の気持ち悪さを内包してしまうので、ここは「他人に対して思いやりがあり、情がこまやかである」ことを示しているのだと考えるべきでしょう。


 思いやりがあって細やかな人間ならヘタレじゃないのでは?

 と、ここで僕は考えました。この意味合いで通すのならば、優しい人間にはおおよそ二通りのパターンが考えられるのではないか。

 まずはパターン①「アクティブ型」の優しい人です。
 どういった人種かというと、常に周囲の雰囲気を汲み取って、知り合いが困ってたら優しい言葉をかけるなり問題解決に奔走するなり、行動をもって思いやりと情を示すタイプですね。

 そしてパターン②は「リアクティブ型」の優しい人。パターン①とは逆に、助けを求められたら相談にのってやったりするタイプです。心優しい先生とかを思い浮かべると、大体こんなイメージ。どちらかというと、目下の人間に対する優しさという感じがしますね。

 で、こうやってパターンを洗い出して、何がいいたいかというと、優しい人間っていうのは意外と行動的であったり、もしくは、他人を導いてやったりするだけの含蓄を持っている人間なんじゃないかな、と。

 ……うん、どちらにしてもおよそヘタレの定義には相応しくないですね。


 結論

 要するにアレですね。僕はヘタレ主人公に対して、「だって○○は優しいから~」と擁護するのはまったくの見当違いであると感じてたから、それを理由にヒロインが惚れたりなんだりするのが気にくわなかったのだと。そういうことですね。

 うん、すっきりした。長年の疑問が解消した。

 では、最後にもうひと考察。


 そんなヘタレ主人公を更生させるために……

 まず、あった方がいいのが実務能力。汎用人型決戦兵器を操縦する能力でも、超能力的なサムシングでも構わないのですが、とにかく、物語を進める上で(登場人物達が行動する上で)有益な能力……できれば主人公にしか出来ない何かを持たせた方がいい。
 何せ、ヘタレな上に役立たずとか半端無くうざいですからね。少なくとも、役立たずでないのなら受け手の心証もかなりやわらぐでしょう。

 そして、何より重要なのが、主人公自身にヘタレであることが問題だと自覚させ、精神的に成長させること。
 なんかこう、ハーレム物のラノベとかだと、

 ヒロインがピンチ → 主人公が一念発起して助ける

 みたいなイベントが多い印象ありますけど、あれはこれをやっているわけですね。物語というのは主人公の成長物語であるのだから、最終的にヘタレを脱却してしまえば冒頭部でヘタレであろうとも問題はないわけです。むしろ、ヘタレであるくらいが、「そこから脱却するためにはどのようなイベントを起こせば~」と逆算して物語を作れるため、都合がいいのかもしれません。

 といっても、冒頭部のヘタレ描写が酷過ぎたり(二股かましてそれを他人のせいにしたりとか)するとその時点でバイバイしたくなります。また、肝心の一念発起するシーンなども、「とめどなく涙を流し、奇声を上げ、内股で走りながら悪漢へ襲いかかった」なんていう描写にされると、別問題の生理的嫌悪感を感じてバイバイしたくなりますので、ここら辺は多少のマッチョイズムを感じさせた方がいいかもしれません。


 最後に、あらためて結論を述べると、僕はヘタレ主人公そのものは嫌いじゃありません。
 ただ、それを擁護になってない擁護で肯定し、成長させない作品は嫌いです。

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by ejison2005 | 2012-01-07 03:43 | 漫画 | Comments(14)
Commented by U at 2012-01-07 04:20 x
ヘタレ以外でも受け手と伝え手の
意思疎通ができてないとそうなりますな
たとえばバトル漫画だと弱いようにしか見えないキャラを強い扱いされると気持ち悪く感じたり
対して役に立ってないのにあいつなら…とか言われたり

まあナルトなんですけどね
Commented by tule-ta at 2012-01-07 19:54 x
ヘタレの部分を他のものに置き換えても通用しますよね
明らかに無能なのに周りが「○○すごい!」って風にマンセーしたり、美少女だからという理由だけでDQN行為が正当化されるヒロインとか
DQNでもヘタレでも無能でも良いけれど、それが作中で不相応な扱いを受けていると気持ち悪さを感じます
Commented by うなぎ at 2012-01-07 21:34 x
自分が理解出来ていないとしたらすいません。
>周囲からそれを問題視されず、それどころか、「だって○○は優しいから~」などと正当化される男主人公
製作者側の力不足による描写不足であったりそれを
見ている視聴者との認識の違いであったりが大きいですかね。
ヘタレを格好良く見せようとしてそれが全く伝わらないとか。
どのキャラもそうですが設定の加減を間違えると
細かく無さ過ぎて伝わらないキャラになってしまう。
>思いやりがあって細やかな人間ならヘタレじゃないのでは?
そこが正当化(?)されるのは外面の良さや製作者側の入れ込み
かな。物凄く気持ち悪い事を書くと「母性本能云々」ですかね。
全くの見当違いでもありましょうけど。
>それを理由にヒロインが惚れたりなんだりする
言葉遊びの範囲を出ませんが「蓼食う虫も好き好き」でしょうか。
だからこそ伝わらず逆効果になってしまう。
そこから話が進められたりマンセーや不自然なプッシュで
扱われキャラ成長がなされたのか分からず「キャラが変わっている」とか。
どうにも「ヘタレ主人公」と聞いて浮かばなかったので
支離滅裂な感じになってしまいました。
Commented by tzk373 at 2012-01-09 02:21 x
具体例を挙げていただけたらすごいよかったのですが・・・w

ちなみに私のクソ主人公で思い浮かぶ人間はキラヤマトです。
Commented by うーゆ at 2012-01-09 13:16 x
クソ主人公で思い浮かぶパターンとしては、
 ①進む方向が間違ってると思うのに、作中ではマンセーされる
 ②全然頑張ってないのに、「それが長所だ」と認められる
の2パターンが思い浮かびます。
もしかしたら①②兼ね備えてる作品もあるかもですが…w

ヘタレ主人公なんかは②でしょうかね。頑張ってるキャラだと最終的に全然役に立たなくても、認められる展開は嫌いではないです。やる気の無い主人公が流されるまま流されて、それで認められるとちょっとイラッとしますw

tzk373さんが書かれたキラヤマトなんかはどっちかっていうと①の方なんで、②ほどはイラつかない感じですね(笑)
Commented by とうや at 2012-01-11 15:19 x
神=作者の愛が強すぎる主人公かな>>クソ主人公
ひねくれてて愛しているとついつい虐めたくなる作者なら問題ないけど、
そうじゃなくてあからさまに贔屓されているとやっぱ萎えるよね。
例えばるろ剣なんかだと、剣心は非常に甘いと言える理想を持っているけど
そうなったバックボーンがきちんと描かれていること、斎藤さんのようにその理想を真っ向から否定しているキャラが
敵でありながら味方みたいな微妙なポジでいることで、頑張れ剣心となったわけだし。
クソ主人公は本人の性質のみだけでなく、主人公に過度に甘い環境によって作られるもんなんだろうな~と思います。
戦隊物なんかでも熱血なレッドに対してクールなタイプのブルーと良くできている作品ってのは
やっぱりそういう斜めに見ているタイプのキャラがいるわけですし、全肯定されるとやっぱり気持ち悪さが生じますね。
Commented by ポルカ at 2012-01-11 19:26 x
私が真っ先に思い浮かんだのは上条さんなんですが、よく考えたら彼はヘタレではなかったですね。
作中でも見当違いに正当化されてますが、思いやりや実務能力はありますからね。
Commented by ejison2005 at 2012-01-12 04:34
>>Uさん
結局、描き方に説得力が伴ってないっていうのが一番の問題なのかナー。
Commented by ejison2005 at 2012-01-12 04:35
>>tule-taさん
とうやさんがコメントしてくれてるけど、「おいおい、それは違うだろう」と対立してくれるキャラが欲しいですね。そいつとの喧嘩なりなんなりによって、お話も作れますし。
Commented by ejison2005 at 2012-01-12 04:38
>>うなぎさん
「駄目ンズすぎて逆に放っとけない」とか言われると、ああ……はあ……そうですか……となっちゃいますよね。それ以外のリアクションがありませんし。
そういったキャラの代名詞であるのび太くんは、後年、結婚前夜でフォローされたしなあ。あれだけ大冒険を繰り広げたんだから、「彼は人の~」というセリフにもすごい説得力あるしw
Commented by ejison2005 at 2012-01-12 04:40
>>tzk373さん
僕的には東西南北のヒロインに囲まれる彼や、東鳩2の彼(こいつは続編でそれ以前の問題になったそうだけど)を想定していましたが、言われてみるとこう、はっきりと「だって優しいから~」とは言われてない気がする。僕は架空の存在に憎しみを燃やしていたのか! (わなわな)
でも、なんかこう、結構いそうな感じするんだよね。
Commented by ejison2005 at 2012-01-12 04:42
>>うーゆさん
そんな感じですねえ。
そのタイプは、「精神的に変化し、作品としてのテーマに辿り着く」という主人公としてのお仕事も放棄しちゃってる(何せ成長してないから)というのも、嫌悪感に拍車をかける。
Commented by ejison2005 at 2012-01-12 04:43
>>とうやさん
東郷さんの為に働けることを幸せに思わなきゃ!

http://wiki.livedoor.jp/d3m/d/%a4%bf%b9%d4#content_3
Commented by ejison2005 at 2012-01-12 04:46
>>ポルカさん
だが少し待って欲しい。思いやりはともかく、実務能力に関しては敵側の接待戦闘のたまものではないだろうか。