仮面ライダーオーズを振り返る
 この記事では主に、「物語全体として振り返る」視点で書いていますので、あしからず。


 中盤の停滞期が弱点か

 さて、オーズが完結した今、全体を振り返ってみるとやはり気になるのは、メズール&ガメル退場→ロストアンク登場までの、いわば停滞期ともいえる期間でしょう。
 この期間は、2号ライダーである伊達の素性に関して焦らしに焦らし、グリードは数を減らすことが無いという、番組全体で考えて、あまりに物語の進展が無い時期だったと思います。
 それでも、タジャドル&シャウタという新コンボのお披露目とアンクに隠された秘密を匂わせることで視聴意欲の継続はきっちり図っていましたが、物語全体の目的が「メダル復活前の平和な世界に戻すこと」である以上、本質的には何ら進展はしていないと言いきれます。
 では何故、そのような事態になったのかを考察してみましょう。


 ラウズカードの正統継承者「コアメダル」

 まず、商品展開に置いても、物語展開に置いても、本作を語る上で外せないのがコアメダル集めという要素でしょう。
 ところで番組初期、メダルに関するアンクの説明を受けて思った人も多いと思うのですが、コアメダルが持つ「敵からリソースを奪って自らの戦力とする」特性に関しては、先駆者が既に存在します。
 そう、平成ライダー5作目の作品「仮面ライダーブレイド」ですね。
 この作品は敵怪人をただ倒すのではなく、カードに封印し、そのカードを使用することで必殺技や特殊能力を発動するという、オーズと通じる要素を持っていました。
 しかし、そのシステムは物語を進行させる上で大きな弱点を持っており、「敵を倒すことでパワーアップする=敵を倒さなきゃパワーアップできない」という特性上、長期に渡って物語を牽引する悪役が登場出来なかったのです。それでもダイヤのジャック&キング、スペードのキングやクローバーのクイーンは頑張ってくれましたが、上記の特性に加え、「アンデット同士も基本的には反目し生存競争している」という設定まで加えられていたため、いまいち組織的な活動ができず、物語を引っ張るだけのパワーは発揮できなかったのが実情です。
 更に、カードの力で強化フォームへ変身したりする設定上、商品展開の関係で早いうちに強力な怪人(=強化フォーム変身に必要な存在)を登場させ打倒する展開にせざるをえず、大人の事情という側面でも強力な牽引者を登場させられなかったのです。
 最終的に、M78星雲からモロボシ・ダンがやって来ることでようやく悪の総本山みたいなキャラが登場出来ましたが、いかんせん後半に差しかかってからであり、本性を見せるのは終盤辺りからだったため、ポッと出の印象もあり、いまいち効果的には機能しなかった印象を受けます。

 それを受けて同じような設定を採用したオーズはなるほど、敵怪人の中に複数のリソースが内包されており、そのうち3分の1を入手すれば新フォームへ変身可能、9分の1でも部分的には新フォームという事で、確かに一面的にはブレイドの反省点を活かしているといえます。
 しかし、一面しか改善されていなかったことが、中盤の停滞期を生み出してしまう要因になってしまったと思うのです。


 敵は組織として動いてナンボ

 改善されなかった一面というのはすなわち、「怪人同士で基本的には反目し競争している」という部分ですね。個人的には、これがいかにも不味かったんじゃないかと思います。
 そもそも、多くの場合において何故、仮面ライダーの敵役が「悪の秘密組織」なのか、それには以下の理由があると考えられます。


・敵首領打倒などによって組織を壊滅すれば物語終了というゴール決め。

・一人で動いてる犯罪者より統率された犯罪組織の方が色んな悪事を行えるし一般的に脅威である。

・四天王などを登場させることで物語の山場を用意しやすい。

・ちなみにあくまで「秘密」結社なのは、悪の組織が堂々と横行するファンタジー世界を現行の予算で作るのは困難だから。仕方ないね。


 最後のひとつはともかく、いずれも4クールという長期スパンにおいて物語を形成する上では非常に重要な要素で、首領というゴールを設定し、敵幹部打倒という山場を用意することで、物語の進行具合を分かりやすく表現し、長期番組にありがちな「ダレ」を低減することが可能ですし、色んな悪事を行えた方がエピソードを作りやすく(何せヒーローが悪事に対応した防衛活動を行えばいい)、できればより驚異的な存在でいてくれた方が、物語は盛り上がります。

 オーズの場合、「悪事のレパートリー」に関しては宿主の欲望に応じたヤミーが出現する(=宿主の問題を解決してやらねばならない)ということで代替えとしていますし、メズール&ガメルが一時退場した際は2号ライダーの登場とも相まって確かに盛り上がったのですが、やはりゴール地点たる首領キャラの不在はあまりにも大きかったと言わざるをえません。
 結果、メズール&ガメル退場後は残り二人の敵キャラだけで話を回さざるをえず、また、彼らを順調に倒してしまうと番組が終わってしまう関係から、番組中盤の停滞期に突入してしまったのだと思われます。


 また、コアメダル争奪戦という設定はなるほど、マルチプルに展開が変化するゲーム媒体などでは面白かったと思うのですが、筋道が一本しかないテレビ媒体を用いた場合、せっかくお披露目した新フォーム……主にガタキリバとかガタキリバとかガタキリバとかが、中盤以降一切姿を見せなかったor極端に出番が少ないという結果になってしまい、どうにも美味しくなかったとは思います。まあ、ガタキリバに関しては予算という大人の事情が絡んでるんだけどな!


 しかしながら単発エピソード群の完成度は高い

 とはいえ、短所は転じて長所と成せるわけであり、オーズという作品には全体として見ればダレた時期が長かった分、単発エピソードの完成度が非常に高いという長所が存在します。
 これは主に、「宿主の欲望を糧に成長する」というヤミーの設定によるところが大きく、これによって各エピソード毎に「宿主の○○という欲望に対して主人公らはどう対処するか?」というテーマが生まれ、話の完成度を高めているのです。
 もっとも、単発エピソードに何がしかのテーマを仕込んでおくのは他の多くの作品でも行っていることなのですが、オーズの場合は「欲望によって怪人が生み出され正義のライダーに打倒される」という視覚的に大変分かりやすい表現が可能なため、より顕著なものとなっているんだと思います。
 その辺はダブルにおけるドーパントなんかも似たような設定ではありますが、最大の違いとして、ヤミーはカザリに生み出された個体を除けば、宿主とは別個の存在として自分の意志で活動するというものがあります。
 結果、自分がどのような欲望を抱いていたのか、宿主に直接突きつける場面も多くなり、テーマ性はより高まっていたといえるでしょう。


 殺陣に関して

 やはり特撮である以上、最大の関心事は殺陣にこそあるわけですが、オーズの場合、ステゴロ好きとしてはやや辛めの評価にせざるをえません。
 何せ、基本フォームであるタトバが既にクローを装備してますからね。それに加え、メダジャリバーや後半からはメダガブリューもあり、トラ以外の胴部メダルも何らかの武装を施されているためもあって、純粋に無手で行う戦闘シーンはほとんど無かったんじゃないかと思います。

 ただ、ギミックの使い方でいえば、これは相当に上手くやったんじゃないかと思います。特に、亜種コンボでの戦闘が面白かった。
 やはり、この変身システムでの面白さは、様々な系統を組み合わせることにありますからね。コンボをどちらかというと必殺技的な使い方に位置付け、フォームチェンジの楽しさは亜種コンボで味あわせつつ、ここぞという時の決め手はコンボを使用することで、いい感じに住み分けを行っていたと思います。


 まとめ

 というわけで、全体としては「ブレイド」の反省点をいまいち有効に活かしきれないまま中盤の停滞期を生んでしまいましたが、その分、単発エピソードの完成度は高く、ギミックを活用した殺陣を楽しむことのできる良作だったと思います。

 あとは、MOVIE大戦で本当のハッピーエンドを迎えてくれることを祈るばかりか。

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by ejison2005 | 2011-09-08 23:42 | アニメ | Comments(4)
Commented by tzk373 at 2011-09-09 22:08 x
>悪の組織が堂々と横行するファンタジー世界
ロストパラダイスですねw

剣との比較で言えば、カードは手に入ったらずっと使えたのが、メダルは行ったり来たりが頻繁で面白かったですよね。
Commented by うーゆ at 2011-09-09 22:32 x
もっとメダルの移動に必然性があれば良かったのにと思います、
クローで攻撃して、ある時はメダルを取れて、ある時はメダルを取れないとか。
もう少しドラマと絡まってくれるとよかったかな?と思います。
(流石に毎週それは難しいですかね…。)

主人公側が、メダルを奪われることに対してあんまり対策をとってないので、
正直ちょっとくらいメダル奪われても、「あーあのメダル使うコンボは暫く出ないのね」
くらいの危機感くらいしかなかったです(笑)

あとは、亜種フォームをもっと多用して欲しかった…。
Commented by ejison2005 at 2011-09-09 22:38
>>tzk373さん
面白いっちゃ面白いんだけど、記事内で書いた通りゲーム向きの設定だと思うなあ。
ダブルみたいにチェンジしまくり、とはいかず、基本一戦闘でワンチェンジでしたし。
Commented by ejison2005 at 2011-09-09 22:41
>>うーゆさん
亜種フォームはあんまりにも種類が多すぎて、登場させる動機づけ(あいつの弱点は~だから)が大変だったのかな、とはちょっと思いますw

オーズもグリードもよほど大量に失わない限り、戦力に大した変化が無いから、そこら辺で危機感を仰ぎきれなかったのかなあ。