PSYRENなんで打ち切られてしまったん?
 じゃあ、10年52号のジャンプ感想でも宣言していたことですし、サイレンのまとめ感想でも書こうかと思います。
 ちなみに、あらかじめスタンスを述べておくと、僕はこの連載終了を打ち切りだと考えている。円満終了と言うには、終盤がちょっと駆け足に過ぎますからね。アッサリ倒されちゃったラスボスなどが顕著な例。


 初期のサバイバルホラー要素について

 終わってっから言うのもアレなんですが、超能力バトルものに路線変更をしている以上、受けは悪かったと見るべきでしょう。当時書いた自分の感想を見てみても、あまり好意的な印象は抱いていない。
 原因はいくつかあるのですが、細かいところだと、登場人物の反応&死に様が同じようなのばっかりでバラエティに欠けている(サバイバルは危機に直面した人物の心情こそが大事なのに)、比較的序盤で雨宮がタブーを一匹退治してしまっているため、何とかなりそうな雰囲気が漂ってしまっている。サイレンやタブーのデザインなど、恐怖感を煽るためのエッセンスが有名な他作品の象徴的要素をパげふんげふん。

 当時書いていたそれらの文言に今、付け加えるのだとすれば、そもそも、サバイバルホラーというジャンルそのものが漫画に向いていないのではないか? というのがあります。
 私見ですが、サバイバルホラーを題材に使われるのが多いのは、映画やゲームといった媒体です。
 映画ならば、恐怖演出のタイミングをコントロールすることが可能です。なんてったって、映像媒体ですからね。しかし、漫画は読者自身で読み進めるものですので、そうそう上手くはいきません。少なくとも、ビックリ箱的に「クリーチャーが突然姿を現す!」という演出は難しいでしょう。
 ゲームの場合、そもそも、状況を打開するのはプレイヤー自身です。ボケッとしていてもキャラクターは何もしてくれません。自分自身で勇気を奮い起し、コントローラーを操作するところまで含めて恐怖演出として成り立っているので、こりゃもうサバイバルホラーとの相性はバッチリです。そりゃ、このジャンルで有名作品が次々と輩出もされるわな。一方、漫画はゲームブック形式でもない限り、キャラクターが勝手に解決するものです。
 これらの問題を解決する妙案も思いつかないし、やっぱり、僕にはサバイバルホラーと漫画って親和性悪く感じられるかな。サバイバルだけならばまだしも。


 主人公について

 読んでいて最後まで掴み切れなかったのが、主人公のキャラクターですね。

 未来に強制召喚されちゃうから頑張る → ワイズを倒さないと世界が滅んじゃうから頑張る → ワイズをそうさせた元凶が判明したので倒す

 という具合に、むしろブレなさすら感じさせるくらいの勢いで状況に流されまくっちゃってる。だから、自意識が希薄に感じられてしまったのかなって思います。主人公なのに。

 もっと言ってしまうのなら、心理の転換がないんですよね。同じく、強制的に非日常の世界へ足を踏み入らされてしまう落ちもの系作品の定型を見ると、

 ヒロインと出会う → ヒロインといさかい → ヒロインと和解 → 協力して事件を解決

 という具合になってるわけですが、ここで大事なのが「ヒロインと和解」というステップで、ここで主人公が普通に考えりゃ喧嘩別れして当然のヒロインという異分子を受け入れることによって、「『ヒロインのいない世界』という選択肢を自ら破棄する主人公の意志と選択」を表現し「『ヒロインと協力して事件を解決する』という目的」が物語に誕生するのです。ついでに、受け入れてなかったものを受け入れるようになった主人公の精神的成長も描写できる。

 サイレンの場合、もう最初からそう行動するしかないくらいに主人公の選択肢が限定されてしまっているため、あえて何らかの「逃げ道」を用意し、それを主人公自らが葛藤の末、破棄するくらいにしても良かったのかもしれません。

 もしくは、07号と雨宮を一人のキャラクターとして悪魔合体させ、メインヒロインとするとか。それこそ、落ちもの系作品になってしまいますがw


 テクスチャ関連

 ともあれ、テレホンカードに始りテレホンカードに終わる物語全体の構成はかなりスッキリしていたと思います。
 ならば、それを色付けするテクスチャの方はどうだったのかといえば、サイレンという作品はここでも……というか、主にこの点で猛烈に損していたのではないかと思わずにはいられません。
 何というかこう……全体的にダサレっていうか、格好つけようとして全く格好つけられてないんだよね。最初っから素直にダサイならそれはそれで味かもしれないけど、変に格好つけようとしちゃってるため、大変に恥ずかしい状態となってしまっている。
 ドラゴンとか、ワイズとか、星将とか、元老院(笑)などのネーミングセンスなんか、特に顕著で、名前負けしているというか、そもそも世界観にそぐわっていない。
 言うまでもなく、サイレンの世界は現代日本(及びその地続きの荒廃した未来)であるわけで、自軍に星の使徒なんて名付けちゃってキャッキャと喜んでたクリード様みたく、完全な異世界の住人というわけではないのです。
 そんな世界観であんなネーミングにしちゃうもんだから、ワイズが厨二病末期患者の集まりみたいな感じになってしまっていたんでしょうなあ。彼ら、何を考えてか源次名まで名乗っちゃってるし。

 他にも、何故か未来へ舞台を移した途端、失敗したFFみたいになっちゃう服飾センスとか、クリーチャーデザインとか、うん、ダサイというか、読んでて赤面しちゃうような諸々が見事に集結していたと思う。

 厨二も突き抜けてしまえば格好良いという方もいるでしょうが、僕としては、突き抜けた厨二ってそれにそぐわった世界観なども一緒に提供してくれているもんだと思うのですよ。


 ぶっちゃけ絵が(ry

f0029827_561832.jpg


 まとめ

 そんなわけで、いくつかまとめて書きました。
 やっぱり、一番大きいのはテクスチャで、次点くらいが主人公のキャラクター造形でしょうか。ハッとするくらいテクスチャが抜きんでているか個性的ならば、それだけで価値が生じますし、主人公がもっと自意識をしっかり持っていたならば、それ故に仲間と衝突するなどしてドラマが発生し、各キャラクターもより作り込めたんじゃないかと思う。

 ともあれ、連載お疲れさまでした。

[PR]
by ejison2005 | 2010-12-09 03:55 | 漫画 | Comments(22)
Commented by 漫画家志望の工房 at 2010-12-09 12:15 x
サバイバルホラーは漫画でやるなら「やった!逃げ切れた」→ページを開いたら化け物いきなり登場、とかできますけどね。でもサイレンはあんまりそういうことしてなかったなあ・・・

絵は・・序盤はまだよかったんですが、どんどん硬くなっていったというか、古臭くなったというか・・人体のデッサンが安定しませんでしたし・・
大筋は面白かったしストーリーは良いんですが、やっぱり原作者向きの人なんでしょうね。作画の人にセンスがあればあの変な格好もとりあえずもうすこしマシだったでしょうし。ネーミングは・・・まあ、うん・・
個人的にはエムゼロの叶先生とかが作画だったら面白かったかなあ、とか。

個人的には好きな漫画だったので、後半の走り足は残念でした。でもまあ次回作期待してます。・・作画付きで。
Commented by アスハル at 2010-12-09 21:05 x
もう一つ、サイレンの評価されるべきだと思う点は、『最初から最後まで目的が一貫されている』という点だと思います。
~編、~編という区切りがないストーリー構成は、最初から引き延ばしが考えられておらず、だからこそネーム力のある岩代先生との相性は良かったんだなあと。
最初の売りだったサスペンスとかホラーミステリとかは正直いらなかったですねえ。
ホラーという点で見ると何より大きい問題は、タブーより雨宮さんの方がk(このコメントはワイヤードマインドジャックされました


岩代信者ですが、絵柄とセンスが無いのは同意します。というか今回の連載で思い知らされたというか……
個人的にはBLEACHあたりを見習ってほしい。
久保先生は、センスとキャラと絵だけで、日本最大の少年漫画誌の看板を担ってるんですから。考えなくても実はめっちゃ凄い人なんですよね。
Commented by エイト at 2010-12-10 17:35 x
センスのダサさというか…地味さというか…まあそこは良くも悪くも岩代先生の個性な気がしますね。
世間一般ではどのように映っているのかはわかりませんが…。
ただ短期打ち切りではなくそれなりに続いたのも事実。
岩代先生は新妻先生が言うところの器用貧乏になるのでしょうか?
そこそこのレベルに達した作品が描け、短期打ち切りにはならないがものすごく長く続くわけでもない…。
Commented by 西田 at 2010-12-10 17:54 x
個人的には絵に関して、後半のバトル描写は結構上手くなったんじゃないかな、と思います。単に私が効果線が少ないのが好きなだけかもしれませんが(あと描き文字の表現もいい)。
Commented by 名も無き人 at 2010-12-10 18:09 x
個人的な意見ですが、この漫画は要所要所にあった期待を裏切るガッカリポイントもマイナスでしたね。
例)・初期の雨宮さんがダメージ負いながら超能力使ってるところ読んで、かなりリスキーに超能力が設定されてるかと思ったら以降結構あっさり使ってた
  ・いきなり出てきた第三星将(笑) 
  ・結局再登場しなかった天草(笑)んとこの超能力者たち etc
まあ、カブトの活躍やエルモア・キッズの未来での参戦等、そのガッカリを補うサプライズはサイレンの好きなところだったんですがね
まあ、
Commented by ポルカ at 2010-12-10 19:25 x
ちょっと話題とズレますが、最近のジャンプで円満終了した作品ってあるのでしょうか?
いくら記憶を探っても、打ち切りもしくは終了のタイミングを失って引き伸ばされた作品しか思い浮かびません。

私が「これこそ円満終了だ!」と言い切れる比較的最近の作品は、封神演技くらいのものです。
Commented by ニテンドー at 2010-12-10 22:10 x
まぁ・・・・・・HER○Sとか失われちゃった島とか魔女3姉妹とか針ーポッターとか
いろいろ学んでおけばよかったかもね。
まぁこれらは引き伸ばし代表みたいなタイトルだから微妙ではあるけど。
Commented by アロニロ at 2010-12-11 01:58 x
ヤングマガジンでやってる彼岸島はサバイバルホラーだけど普通にヒットしてるし、漂流教室やガンツもサバイバルホラーみたいなもんだと思いますが。
現在マガジンでやっているエデンの檻もジャンル的にはサバイバルホラーに近いもんじゃないですかね? 漫画はサバイバルホラーに向いてないってのはちょっと暴論じゃないかなあ? まあジャンプでサバイバルホラーものはきつかったかもしれませんが。サバイバルホラーから能力バトルになって以降は劣化ハンターみたくなっちゃったのが個人的に残念でした。それ以降のサイレンは良い所はあるけど突出したものが無くどこか地味な作品となった印象です。作り自体は丁寧でそこそこ安定した面白さは提供してもらえましたが
Commented by こう at 2010-12-11 09:19 x
作品の方向性を変えながらも一貫していたストーリーは上々だったかと
キャラに関してはエジソンさんが葛藤フェチってのもあるから好き好きかなぁと思わなくもないですね
そういう意味で2番目にキャラクター造形を持ってくるのはちょっと釈然としないものがあります
グダグダ悩んでいるのを見て「うぜぇ」と感じる人も少なくはないでせうし

ただ、センスと画力に関しては信者と言えど「30年以上は古いよね」と言わざるを得ない代物
あと、BLEACHと比べて中二的なセンスがさっぱりだったり。久保先生、絵も上手いですし
(私は1.画力がしょっぱい 2.センスが…… の2点が敗因だと考えております)
確かな画力と表現力と言うのは初見・未見の読者を一発で引き込める要素ですしね
まあ、それでもPSYRENよりも短期で打ち切られた作品も多数あるのもまた事実ではありますが

>ポルカさん
ネウロとか、どうでしょうか?
シックス編が蛇足だったって人は多そうですがw
Commented by ポルカ at 2010-12-11 12:38 x
前回コメの訂正です。
×封神演技
○封神演義

>こうさん
あーホントだ。すみませんガチで忘れてました。
連載当時は感想コメも書いてたのに、記憶の風化って恐ろしいですね。
どんどん忘れていってしまう……。
Commented by ejison2005 at 2010-12-13 06:08
皆さん、コメントありがとうございますー。
次の更新辺りで、まとめてお返事させて頂きますね。
Commented by ejison2005 at 2010-12-14 05:44
>>漫画家志望の工房さん
それだけだとワンパターンですしね。やはり厳しいと思う。

僕も作画付きで次回作に期待したいです。
Commented by ejison2005 at 2010-12-14 05:47
>>アスハルさん
どうでしょう? 記事中にも書いたけど、その時取るべき行動はいちいち変化してるし、僕にはちょっとそうは思えないです。ぼくはそういう話と聞くと、「大魔王を倒せ!」的なものを連想してしまう。

久保先生はものすごい人ですよ。そのものすごい力を発揮する方向は微妙にズレてる気もするけど。
Commented by ejison2005 at 2010-12-14 05:48
>>エイトさん
どうだろう。僕にはアレな新連載群が原因にしか思えません。そして、それらに勝ったからと言ってなんなんだという。
Commented by ejison2005 at 2010-12-14 05:50
>>西田さん
動きは表現できてたと思うんで、あとはプラスアルファなのかな~と思います。
つっても、ぼくは絵のことなんて本当に表面的な部分しか分からんけど。
Commented by ejison2005 at 2010-12-14 05:51
>>名も無き人さん
マイナスであっても突き抜ければ個性なのかもしれませんが、結局、正負どちらにもより切れなかったのかなあ。
Commented by ejison2005 at 2010-12-14 05:54
>>ポルカさん
他の方もいってるけど、僕もネウロが浮かぶな。
Commented by ejison2005 at 2010-12-14 05:55
>>ニテンドーさん
もっと色々インプットして、その上で自分流にコネコネしてアウトプットしてほしかったですかね。
Commented by ejison2005 at 2010-12-14 05:59
>>アロニロさん
このツッコミは予想してたんだけど、漂流教室とかはサバイバル(ホラー抜き)で分類しながらこの記事を書いてました。あと半分ギャグ。
彼岸島はヤングマガジン最強のギャグ漫画として毎週楽しんでます。これはなかなか……いい丸太だな。
そこら辺は感性の違いかも分からんけど、少なくとも、彼岸島は都合よく出てくるダイナマイトとか日本刀の切れ味とか丸太とか丸太に着目してもいいと思うんだぜ。
Commented by ejison2005 at 2010-12-14 06:00
>>こうさん
今週のバクマンで主人公がろくに葛藤もせず覚醒してたんだけど、それが答えです。

結局、岩代先生に作画は厳しかったってことかなあ。
Commented by トーリス狩り at 2010-12-14 06:44 x
>突き抜けた厨二ってそれにそぐわった世界観なども一緒に提供してくれているもんだと思うのですよ。

ライアーソフトのエロゲーが好きだからこれはよくわかる。
Commented by ejison2005 at 2010-12-17 23:46
>>トーリス狩りさん
ちょっとググッてみたけど、うん、これはまさに突き抜けた厨二病だなw