駄目な作品っていうのは……
 狙ったところにボールを投げられない作品

 最初から明後日の方向に向けてボールを投げている作品


 このどちらかに大別されるんだろうなと思う。
 前者は、マーケティングそのものにミスはないのだけど、出来上った品は全然それにそぐわないものとなってしまったパターン。
 後者は、そもそもマーケティングそのものをミスッているパターンだと思う。

 前者は、こりゃもう擁護のしようがない。完全に力不足なのか、他の要因があるのかは分からんが、次回作での改善を期待するしかないだろう。例えばの話、意外性を狙って作った作品が意外でも何でもない代物だったなら、それはそれはもう、恥ずかしい話なのだ。

 後者の場合も、同じく擁護のしようがない。ボール球しか投げられないピッチャーなんぞお呼びではないだろう。


 以上が、僕から見ての駄目な作品の定義ですが、インターネット界隈における批判される作品の特徴として、以下のようなものも挙げられる。

 Aさんから見れば暴投に過ぎない作品だが、Bさんから見ればストライクど真ん中の作品

 というものだ。

 なんということはない。その作品は、最初からBさんみたいなタイプの人間をターゲットにして作られているというだけの話である。むしろ、きちんとそういった類の作品を求める顧客層(Bさん)にとって、満足できる作品を作り上げているのだから、称賛されこそすれ、批判されるいわれは本来ならばない。

 だが、インターネット界隈においては、その作品が本来ターゲットとしている層からはかけ離れている顧客層(Aさん)が、大上段から「駄作だ!」「クソ作品だ!」と言い放つことが多い気がする。というか多い。めっちゃ多い。まあ、僕もやりかねないというか、きっとやったことあるはずなんで、自戒なんですけどね。なはは。

 特に萌えやエロを前面に押し出した作品においては、そういったことが多い気がする。
 以前、To LOVEる布教 擁護編というデスノコラを制作したのには、そういった背景がある。
 萌えやらエロやらといったものは、社会的にも低劣なものであるという認識が強いからか、とにかく叩きは熱心だ。皆さん、PTAか何かなのですかといった風情である。いや、PTAだって別にんなもん取り締まるのが仕事なわけじゃねえんだけども。
 しかし、DVDやらいまだ僕に縁のないBDやらの売り上げを見る限り、萌え系、エロ系、あるいはそのハイブリット系作品を好む層は、そうでない作品の購買層よりも遥かに大きいマーケットを形成しているようであるし、そりゃ制作会社も漫画家もラノベ作家もそっち系の作品を作るよという話である。
 霞食って生きていけるわけでもねえし、そもそもクリエイターであるからには、お客さんの求めるようなものを作りたいという気概もあるだろう(※)。あ、サイコーとシュージンは別ですよ。あいつら、読者のことを票田としか思ってないし。


 ちょっと話がズレてしまったけど、作品を批判したいのならば、「それは自分の好みと外れているだけではないのか?」と、まず己に問いかけたい。その上で、「狙ったところにボールを投げられない作品」もしくは「最初から明後日の方向に向けてボールを投げている作品」であると判断したのならば、では何故、そうであると思えるのか、どこをどうすれば狙った方向へ球が曲がるのかを、考えて批判したいものである。


 ※無論、「そんなの俺には関係ねえ! 自分の道を突き進むぜ!」というクリエイターの方を非難するつもりはないよ。それもひとつのあり方だと思う。


 ※ところで、「最初から明後日の方向に向けてボールを投げている作品」というのは、実際にはほとんど存在しないと思う。それはあなたの視点では暴投に見えても、他の誰かにとっては直球なのである。


 ※ジャンプの新連載・読み切り作品で非常に多いのが「狙ったところにボールを投げられない作品」ですね。というか、上でも書いたけどもうひとつのパターンは、現実にはほぼありえないし。
 以前、最近のジャンプ作品は作品モチーフをないがしろにしすぎではないだろうか?という記事を書いたけど、これも「その作品モチーフを好むであろう層に訴えかける作品が作れてない」と言い換えることは可能だと思う。

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by ejison2005 | 2010-11-18 22:50 | このブログでの作品評価基準 | Comments(10)
Commented by T at 2010-11-19 08:47 x
> しかし、DVDやらいまだ僕に縁のないBDやらの売り上げを見る限り、萌え系、エロ系、あるいはそのハイブリット系作品を好む層は、そうでない作品の購買層よりも遥かに大きいマーケットを形成しているようであるし、そりゃ制作会社も漫画家もラノベ作家もそっち系の作品を作るよという話である。
TVアニメのBD・DVDは「経済力のあるオタク」が対象のニッチ産業ですので萌え・エロ系が強いですが、ずっとパイの大きな漫画業界ではそういうジャンルは売り上げ的にも中堅にいます(最近ワンピが初版トリプルミリオン突破しましたが、現在までミリオンヒットの萌え漫画は存在しない)。だから最大の大衆誌たるジャンプでは美少女系作品はあくまでも箸休めな存在に置かれています(月刊少年誌で一番売れてる月マガも同様)。ここらへんを無視して目先の利益に走った5年ほど前の週マガや最近の週サンが萌えプッシュして部数を急激に減らしたのが印象的でした。逆にマイナー誌では、売り上げの最低値に下駄を履かせられる萌え系が強いのは妥当なんですけどね。
Commented by アスハル at 2010-11-20 00:06 x
だがちょっと待ってほしい

その論に従うなら、貴方が普段批判している【作品モチーフをないがしろにした作品】も、
あるいは『テーマとかはどうでもいいからとりあえず適当なバトル(orコメディorラブ)読めればいいや』という顧客層にとって満足出来る作品であって、
モチーフ云々に言及するのはお門違いである、と言えてしまうんじゃないでしょうか
Commented by ニテンドー at 2010-11-20 04:39 x
料理と似てますよね、好きなメニューと嫌いなメニューがあって、って言う部分が。
ただ料理の場合はアレルギーだから食えない人もいるから同じじゃないけど。
Commented by レト at 2010-11-20 18:41 x
最近はどの分野でも1つのジャンルがヒットするとみんなそっちの方向性へ流れる傾向があるように思います。
ジャンルの1つとして存在するならいいですが、業界全体を侵食するのは納得いかないですね。
最近の新人が連載が続いている作家も含めて力不足に思えるのは
編集の教育が不徹底なせいかもしれません。
Commented by ポルカ at 2010-11-20 19:49 x
私も昔、何かしら作品の粗を探しては脊髄反射で批判するという行為を繰り返していました。今となっては愚かな行為であり、また時間の浪費だったと後悔しています。

褒めるのは簡単に、批判するのは慎重に。
今は時間を置いてよく考え、それでもやはり、どう考えても駄目だろうと思ったときだけ批判するようにしています(T樫先生の長期休載とかw)
Commented by ejison2005 at 2010-11-22 05:19
>>Tさん
なるほどですねー。他雑誌ではともかく、ジャンプが現在の規模を維持するためには、十年以上続いている主力漫画に代わる正統派漫画の育成が必須なのか。
マイナー誌で萌え系が強いというのも納得。少年漫画は売り上げの最高値が高い代わりに生存率が極端に低く、萌え系は最高値が低い代わりに、最低値が安定しているということなのでしょうか。
Commented by ejison2005 at 2010-11-22 05:19
>>アスハルさん
なら最初からバトルに傾倒できるようなモチーフ選べばいいと思うお!
Commented by ejison2005 at 2010-11-22 05:21
>>ニテンドーさん
アレルギーは、例えばグロ耐性の低い人にとってのグロ漫画とかに言い換えられませんかね。
生理的にやだ、というのはどうしても発生しますし、僕もそういうのはありますから。
Commented by ejison2005 at 2010-11-22 05:23
>>レトさん
でも、ラーメンだって昔ながらの鳥ガラ醤油系はすたれてますし、時代の流れっていうのもあると思いますよ。
大天才ならともかく、あらがいきれないものもあると思う。
そして、ジャンプはあらがえる大天才を求めてるんだろうね。
Commented by ejison2005 at 2010-11-22 05:25
>>ポルカさん
まあ、僕の場合はわざわざブログでさらしてるものなんで、あんまり脊髄反射で書いても面白くない、というのもありますが。
いずれにせよ、感情だけで書きなぐらないよう気をつけたいものです。本当に気をつけないとな、俺。