「頭脳系」キャラについて考えてみる
 頭脳戦……なんとも心躍る響きです。
 能力バトル系の作品などで、キャラクターが能力の特性を活かし、「あっ」と驚くような方法で敵を撃破するシーンが好きだという方は多いのではないでしょうか。
 別に作品のメインストリームへ据えずとも、物語を回すにはキャラクターをピンチに陥れる必要があり、ピンチに陥ってるキャラクターは普通にやってたからそんな状況になってしまった故、何らかの「普通じゃない」手段を思いついて状況を打破する必要があるわけで、創作物と頭脳戦とは、切っても切れない仲であるのだといえます。

 そういった、お話を進行させるための都合もあり、漫画アニメラノベなどにはしばしば、その頭脳を褒め称えられるキャラクターが登場します。
 基本的には漫画について感想を述べたり考察したりするこのブログ、こんな美味しいネタを放置しておく手はありません。ここはひとつ、各作品に登場する天才的と称えられる……もしくは、作品内で讃辞されずとも読者が思わずそう称えてしまうキャラクターを取り上げ、考察を図ることにしましょう。

 ()内は登場作品です。


 夜神ライト(デスノート)

 デスノコラとして散々利用させてもらった身ですし、やはり一番バッターとして語るべきは彼でしょう。
 彼の天才描写として印象的なのは、学業において非常に優秀な成績を残していると、度々強調されていること。そしてもう一つは、基本的に「計画を練ってるシーンは読者に見せない……もしくは結果が出てから回想する」というところでしょうか。
 前者はキャラ付けとして、重要なのは後者で、実はライト君、全編を通しても計画実行前に作戦を明かすことはほとんどありません。ひょっとしたら全くないかもしれない。
 と、いうのも、実は彼の作戦って荒唐無稽なものである場合が多いんですよね。
 特に、「計画通り!」のコマに繋がる一連の計画なんかがその筆頭で、冷静に考えてみれば、お前、何を根拠にしてそこまで自信満々にしてるんだよ、とツッコミを入れたくなります。むしろ計画通りにならねえ可能性のが遥かにたけえだろ、と。
 しかし、彼は実際に成功させた。成功させた上で初めて、「全て狙い通りだったんですよ」と勝ち誇って見せた。これが上手い。
 計画実行前に語っていれば机上の空論でも、成功させてからならばそうではありません。いや、漫画なんて全部机上の空論だろ、というのは置いといて。
 何せ成功させてるわけですから、その言葉には実績という重みがつきます。スポーツ選手なんかと同じで、試合開始前に「これこれこういう風に頑張りました」と言うよりも、試合勝利後に「こういうところで頑張ったのが結果に結びつきました」と語った方が説得力があるし、格好良いのです。

 経過の前にまず結果! それがライト君に見る天才キャラクターの演出方法なのでしょう。サイコーとシュージンも、うだうだ企画練るシーン出すより、まず結果を見せてからドヤ顔した方がいいのかも分からんね。まあ、デスノもジェバンニは物議をかもしたのだから、ものによるんだろうけど。


 小野寺剛士(A君(17)の戦争)
 太公望(封神演義)


 彼らに関しては、タイプが同じだと判断したので一緒に語ります。一軍を率いる将というだけではなく、天才キャラとしての演出面でも似てる。

 この二人に共通して言えるのは、現代より文明レベルで劣る世界において、現代的な、もしくは作品世界よりも未来で用いられるはずの戦術を駆使していることでしょう。剛士君はほぼ全編において、太公望は殷郊との戦い(の前哨戦として行われた合戦)においてそれを披露しています。
 
 この演出方法の利点は、主人公以外のキャラクターが主人公に知略において劣る理由付けが図れることでしょう。後述しますが、頭脳戦において、キャラクターに知性の差をつけることは絶対に必要なことです。とはいえ、不自然にバカっぽすぎても読者につっこまれてしまうわけですが、そもそも彼らの文明レベルで思いつけるはずのない戦術を主人公が持ち込んでいるだけならば、そういった心配は杞憂に終わります。だって、周りがバカなんじゃなくて、主人公がチートなだけなのだから。

 まあ、つまり、彼らについて端的にまとめると、早くA君の続刊を出して下さいお願いしますとなるわけです。


 ヤン・ウェンリー(銀河英雄伝説)

 うん、まあ、彼を外すわけにもいかんよね。
 随分と昔に読んだきりなので記憶が定かではありませんが、彼というか、銀河英雄伝説の凄いところは、作中の登場人物全てに「こいつは○○が得意で○○が苦手」という具合に能力の差異を設け、それを読者に周知させていたことでしょう。

 例:ビッテンフェルトは突撃能力が高いが粘り弱い。

 後は将棋のコマの如く、戦場という盤面に彼らを配置し、押したり押し返されたりを描写していくわけですが、その際、魔術師ヤンは的確に相手の弱点を突いたりする、と。
 つけ加えると、事前にラインハルト等が作戦を語り(負けフラグ立てともいう)、それをヤンが看破するシーンを入れることで、「ヤンの戦術眼スゲー!」と思わせる演出も多かったような気がします。


 奈良シカマル(ナルト)

 大した奴だ。
 まさか、ここまでの子とは……。


 スメラギ・李・ノリエラ(機動戦士ガンダム00)

 確かに作戦立案はしていたのだが、うん、肝心の作戦内容は基本、ガンダムの無茶な性能に頼っただけのゴリ押しだったよね……。
 紛争が起こってるorこれから起こる地域を予想するという仕事もあったんだけど、ヴェーダというスーパーサポートがあった故、あんまり彼女のおかげという気がしないのであった。
 劇場版は見てないんだけど、ちょっとはマシになったのだろうか。


 ナヴァール(アリアンロッド・サガ)

 というかリプレイのPCであるわけですがガガガ。
 他リプレイのGMがPCを務めることによって、やりたい放題に「先を見通した」軍師プレイが可能という、ここに列挙した中でも屈指のチート・オブ・チートキャラ。社長自重すれw


 オマケ ~キャラの知能格差について~

 ネット界隈でよく言われる言葉として、「○○を持ち上げるために周りがアホみたいに描かれる」というのが挙げられますが、一応、これについて擁護しておきたい。
 基本、作中の登場人物を動かすのは作者であるわけで、それはつまり、全ての登場人物は、作者と脳味噌を共有しているということでもあるわけです。つまり、本質的には知能に差が出るはずのない状況なわけ。
 しかし、それじゃあ話が進まないわけで、キャラクター間には知能格差を生じさせるというわけ。
 小野寺剛士・太公望ペアは、知能格差が発生する理由付けを図り、不自然さを緩和させた例といえますね。
 他に、この状況を避ける策としては、あらかじめTRPGセッションとして収録して、それを元に書くという手法もあります。要は、プレイヤーという外部メモリの力を借りるわけですね。



 適当に考えだけ書いて、まとめずに終わる。

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by ejison2005 | 2010-11-05 21:31 | 漫画 | Comments(16)
Commented by とうや at 2010-11-05 22:56 x
頭脳キャラならルルーシュも有名かな~
まぁ彼の場合はその溢れんばかりの中二とシスコン具合の方が有名だけど。
良く言われるのが作中内に於ける天才キャラが作者の頭脳の限界を表すというのですね。
ジョジョなんかは頭脳が天才ってキャラは出てないけど天才(笑)なキャラよりみんな頭が切れるよね。
Commented by レト at 2010-11-05 23:52 x
頭脳バトルについては以下のサイトが参考になりました↓
http://mubou.seesaa.net/article/108166414.html

「成績優秀」っていう設定は厨ニっぽくて好きじゃないです。ジョジョ五部でも天才設定のフーゴはむしろナランチャより頼りなく思えました。
頭脳戦で「この作者はやっぱり天才だ」って思わされるのは岩明均、福本伸行、荒木飛呂彦、冨樫義博先生です。
ジョジョやハンタは作中ではあまりキャラの頭脳を強調しないのに、間抜けな設定のキャラでさえ天才的な閃きを見せますしね。
逆に「レベルE」のバカ王子は冨樫先生としては珍しく天才ぶりを前面に押し出したキャラだけに
その頭脳は別格だと思いました。
Commented by T at 2010-11-06 00:44 x
高畑さんは入れておきたいところ。あの人地味にチート脳。
Commented by 青りんご at 2010-11-06 07:54 x
ワンピースでいえばウソップなんかもそうですね。自分の持っている知識を総動員して
がむしゃらに戦う姿が僕はすきなんですけど。ウソップのトリッキーかつ心理戦のような戦いが僕は好きです。
Commented by ejison2005 at 2010-11-07 01:03
>>とうやさん
ジョジョの登場人物は、皆さん総じてクレバーですよね。
ですが、荒木先生は正当なる吸血鬼なわけで、我々の何倍も生きてる可能性があることは考慮に入れるべきでしょう。
Commented by ejison2005 at 2010-11-07 01:04
>>レトさん
そこのサイト参考になりますね。僕のよりよっぽど分かりやすい。

>あまりキャラの頭脳を強調しない
というか、のりまき博士みたいなアイテム生産キャラでもない限り、基本的には天才設定なんて使わない方がいいんですよね。無駄にハードル上げるだけだし。
Commented by ejison2005 at 2010-11-07 01:05
>>Tさん
すまない。元ネタが分からなかった。
Commented by ejison2005 at 2010-11-07 01:06
>>青りんごさん
いや、ここで挙げてるのは、「天才! 天才!」と持ちあげられることの多いキャラなんで、ウソップはちょっと僕の意図と違うかな。
伝わりづらくてもうしわけない。
Commented by 漫画家志望の工房 at 2010-11-08 00:17 x
アイシールドのヒル魔は「鬼才」とか「悪魔」とか持ち上げられてる知的キャラの中で一番好きだったんですが、あれはちょっとこの記事の意図とは違うんですかね。「次週とんでもないことするぞ」→「どうだこんなとんでもないことしたぞ!!」の週またぎの魅せ方が凄く上手かったんで。
Commented by ejison2005 at 2010-11-08 06:54
>>漫画家志望の工房さん
ああいや、その場合は僕の意図とも合致していますね。
ただちょっと、アイシの内容に関してうろ覚えな部分が多いので、コメントは控えさせていただきたい。
Commented by くろいの at 2010-11-08 17:46 x
A君の閣下を出すなら皇国の守護者の新城でも良いのでは?
多分元ネタですし。
……作者同一人物説も有りますが
Commented by 通り杉田 at 2010-11-08 23:43 x
スメラギさんもエヴァのミサトさんも、作戦立案がすごいとか言うので抜擢されてたはずなんですけど機体の性能に頼りすぎてると言うか、大きな力に目が行きすぎて柔軟性に欠けてるんですよね。戦闘機あるから歩兵はつかわない的な。まあスメラギさんは動かせる駒がもともと少ないのもありますが。
まあ私も劇場版見てないですが。
Commented by faker at 2010-11-09 14:44 x
ふと浮かんだのは…カイジなんかはどうなんでしょう。毛色が違いますかね?
Commented by ejison2005 at 2010-11-12 00:06
>>くろいのさん
それも考えたんだけど、そもそも僕、皇国は漫画版しか読んだことないんだよね。
単に僕の知識の限界だっただけです。いずれ読みたい。
Commented by ejison2005 at 2010-11-12 00:07
>>通り杉田さん
ミサトさんの場合はほら、ガイナックスの人達特撮パロが大好きだから、それを遂行するためのキャラという側面もあるし。
(前半のエヴァはウルトラマンのオマージュが非常に多い)
Commented by ejison2005 at 2010-11-12 00:08
>>fakerさん
すっげえ頭いいと思うけど、上手く言語化できなかったので書かなかった。僕の知力の限界です。