週刊少年ジャンプ 10年 32号 感想
 逢魔ヶ刻動物園(新連載)

 いつだか読み切りが載った作品の連載版。当時、この作品の感想って書いたんだっけ? 書いてないかも知れないけど、基本的に読み切り版を踏襲してるのかな。

 本編ですが、うん……これ、別に動物園を舞台にしなくても成立するよね。
 本作におけるヒロインの動機は二つ存在し、それぞれ「駄目な自分からの脱却」「とにかく動物が好き!」となるわけですが、比重として明らかに前者へ偏ってしまっているため、別に舞台がハンバーガー屋のバイトでもコンビニのバイトでも成立するようなお話になってしまっている。「俺達の使命はバトルシーンを掴みの一話に入れることだぜ!」と言わんばかりの動物強盗団の皆さんも、そのまんま普通の強盗にシフトすればいいし、園長も怠惰な店長キャラにしてしまえば済む話です。

 そうじゃないと思うんだよね。この作品の売りとすべきは、動物園を舞台としていることなんだから、もっとそこを押し出さないと。こんな他の作品モチーフでも成立してしまうような話作りでは、一切のオリジナリティが感じられない。主人公の動機描写で比重を置くべきなのは、むしろ後者の「とにかく動物が好き!」という部分なのです。
 にも関わらず、この作品はドジっぷりに落ち込む主人公のエピソードばかり挿入してしまった。僕が読みたいのは「私、動物大好きでね」なんていう主人公の自己申告ではなく、それ故に巻き起こるエピソードなのです。履歴書の動機欄が、漠然と書くのではなく、実際のエピソードに交えて書いた方が受けがいいのと一緒。どちらも、人間性の説明・紹介ですからね。園長に「そういうのはいいや」と自虐的なツッコミをさせている場合ではないのです。いや、そういう自覚ないのかも分からんけど。
 一応、なぐさめ程度でヒロインが図鑑知識を披露する場面はありますが、それで分かるのは図鑑を読むのが趣味ということだけだよ。

 トドメと言えるのが園長のキャラ付けで、罰を受けてそんな姿になったというのに、少なくともこのエピソード内においては一切それを反省も後悔もせず、その精神は何ら成長を見せません。
 主人公を導く完全無欠なキャラだというのならともかく、こいつの場合は明らかに問題点が存在するわけで、それを作品内で一切否定せずに野放しというのはどうなんだろうか。
 こちらもヒロイン同様、申し訳程度に「仲間がいなくなったらつまらんじゃろ」と言ってるんだけど、それ以外には一切仲間のことを思いやるシーンないしなあ。君は子供の頃にそんな姿にされて、それを解くために動物園を作ったり仲間を集めたりしたわけだけど、その間、いかなる心境の変化も無かったの? と問いたい。
 そもそも、彼が人間へ戻る過程を描く物語なのならば、動物の世話やら動物園の躍進やらを全て他人任せにしようとしている時点で答えとしては完璧に間違っているわけで、彼こそがヒロインのやっている立場に収まらなければならない人物であるわけです。
 それがヒロインとの交流によって正されていくのであれば、それはそれで物語のあるべき姿ではあるんだけど、今週のように完全に上からヒロインその他を使役していくような作劇をしているようでは、期待できそうにないかな。しかもそれをやると、ヒロインのやることが無くなっちゃうし。

 そして、そういった根本的な問題を差し置いても、象にキリンを貫通させてるシーンがなんだか生理的に受け付けられないほど気持ち悪かったり、こいつらはヒロインが来るまではどうやって生き延びてきたんだ? と突っ込みを抱いてしまったりと、細かい場所でも問題点はいっぱい。
 動物強盗団の皆さんも、高値で売れるとか無邪気に喜ぶ前に、喋る動物を見て何か思うところはないんですかね。


 ワンピース

 ほとんど全部レイリーさんが持っていく話。この人は立場に見合った威厳を維持しているし、その彼の提案で状況の打開と進展を図るのはすごくワクワクする展開ですね。この辺は、ロジャーとそれにまつわる人物を長年に渡って格好良く描き続けてきたことによって生じた、この漫画の大切な財産だと思う。
 シャッキーが披露したLばりの超推理も、女の勘ってことなら納得できるし。まさしく女性の感情的な問題によって匿われているわけだしね。

 しかし、実に一年ぶりくらいに麦わら海賊団の面々が登場するわけか……サンジの貞操は大丈夫なんだろうか。兄の死で辛い思いをしているルフィだけど、仲間が性転換を果たしていたらそれはそれで相当に辛いぞ。


 ナルト

 おお、ナルトでちゃんと興味を持ちながら読めたのは久しぶりだ。ちゃんと四代目はダサイ異名に恥じない働きをしているし、マダラさんの作戦も利にかなっている。四代目が戻ってくるまで一分にも満たないであろう割には、ものすごく大がかりな儀式を取り行っているけども。

 ところで、ラストシーンのイタチお兄ちゃんを見て思わず笑ってしまったのは僕だけでしょうか。老けてんなおい。


 バクマン。

 ……ガモウ先生は静河君をどうしたいのだろうか。彼、登場してからこっち、一ミリたりとも主人公と絡んでないのに、いつの間にかフェードアウトしようとしちゃってるよ。
 以前にも書いた通り、この作品からは後々に使えそうな種だけばら蒔いておいて、実際に使うか使わないかはその時になって決めるという考えが感じられるのですが、静河君はその煽りを最大級に受けた被害者といえるかもしれない。彼もガモウ先生の采配によっては、主人公達の前に立ちはだかる新たな強敵となっていたんでしょうけどねえ。
 描かれたものが全てなんで、もしこのままフェードアウトした場合、何の存在理由もないキャラに少なくないページを割いて終わってしまっただけになってしまいますよ。
 ところで、静河君みたいな性格の人がキャバクラにはまるってのが、いまいちよく理解できないのは僕だけなんでしょうか。や、僕がキャバクラいったことないから分からないだけなのかも知れないけど、彼みたいな背景背負った人は、あんまそういうのに見向きしない気がするんだ。

・今週の主人公周り
 サイコーが見せた気持ち悪い変顔の数々はひとまず置いといて(最近の小畑先生はヤケになってないだろうか?)、あくまで現状のPCPは試されてるだけに過ぎないという話が忘れられてないのは良かったです。というか、あれって亜城木コンビは知らなかったんだね。先週は勘違いしてた。知らなかったとはいえ、ナチュラルを下回った順位で満足してるのはどうかと思うけども。
 そんなわけでPCPを更にレベルアップさせる話です。修行展開です。PCPを生み出す過程そのものが既にそれだったというのに、またも同じようなことをやるわけです。もう勝負のリングには乗っかり、拳を打ち合っている状態だというのにです。
 何より嫌なのが、これだけ前振りしといて結局、「こういうアイデアを盛り込めばもっと面白くなるぜ!」という結論に到達しそうなところでしょうか。格闘漫画に例えるなら新必殺技を会得するようなもんですが、単にそれを身につけるのではなく、主人公が何らかの成長を果たした見返りとして習得してくれないと、感動は湧かないと思うんだけどな。

 秋名さんの情緒不安定ぶりに関しては……すまぬ……俺には言葉が見つからぬ……。


 リボーン

 色々置いといて、ほんの一~二世紀前の遺品がそんな超古代文明の遺産みたいな出土の仕方をするもんなんだろうか。


 SWOT

 脇役が主人公のために行動するもボコボコにされ、それを見かけることで脇役が自分をどれほど慕っているのかを主人公が察し、仲間の大切さを学ぶと、これだけ書けばひどくまっとうな構成がしかし、ここまで得体の知れない何かに変貌する杉田マジック。
 先週、校庭であれだけの大立ち回りを演じたというのに、生徒達が主人公の強さを全然認識してない辺りとか、何かもう色々と流石っす。


 銀魂

 終始ゲラゲラ笑ってたけど、ミッションコンプリートした新八に対する土方さんの反応が特にツボかったです。


 ぬらりひょん

 バトル漫画において、主人公が精神的成長も何もなく、ただ新技を身に付けて敵を倒すとこうなりますよ、というお話。
 なんかやり遂げたみたいな感じになっちゃってるし、実際、土蜘蛛さんを倒すという意味ではやり遂げてはいるんだけど、それはイタチとの鬼纏いに成功したからやり遂げたぞーというお話にしてしまっていいもんなのか? という。これなら別に、鬼纏うのが河童でも黒田坊でも良かったじゃん、と思えてしまうのです。たまたま、鬼纏うのに手頃なのがイタチだけだったから、イタチを鬼纏いました、みたいな。
 これが例えば、イタチとの確執が原因で最初の土蜘蛛戦に負けたよー\(^o^)/ みたいな話の流れなら理解できたんですけどね。
 要は、土蜘蛛に対する因縁が足りなかったんだろうと思います。災害みたいに暴れまわるキャラクターコンセプトとはいえ、本当に災害みたいにただただ主人公達をボコるだけではいかんかったということでしょう。

 そんなわけで、今週の感想をまとめると羽衣狐様ハァハァ。


 ブリーチ

 先週の予測が……当たった……だと?


 トリコ

 トリコの力や技はグルメ界に通用するレベルでした。まあ、ここで通用しないとか言われちゃったらそんな技で甚大なダメージを受けてたトミーさん涙目な展開になってしまうので、それは順当なところですね。
 しかし、サバイバル能力がまだまだ不足していた……! というわけでオゾン草編に突入したわけですが、細胞の能力を高めることで様々な環境へ適応出来ちゃうというのはちょっと残念だなあ。いや、鉄平初め色んな人が軽装でアイスヘルを動き回ってた時点で何おか言わんやではありますが。
 だって、装備などの工夫なしに適応できるようになっちゃったら、そもそも舞台を苛烈な環境にする必要がなくなっちゃうからね。主人公がそれに対抗するため様々な努力を行うからこそ、特別なフィールドを用意する意味があるわけで。
 アイスヘル編の寒さに耐える描写は割と気に入っていたので、そういったエッセンスが失われようとしているのは残念に思えてしまうのです。


 保健室

 イケメンモードのハデス先生を見つめる鈍さんのシーンで、エロイという感想しか出なくですいません。そういうブログです。


 めだかボックス

 巨大な釣り針に見えてならない善吉母の登場ですが、こういう釣り針なら咥えるのもイイね!

[PR]
by ejison2005 | 2010-07-13 03:38 | ジャンプ感想 | Comments(10)
Commented by トーリス狩り at 2010-07-13 18:58 x
サンジはアニメでTo loveってましたよね。
そういやゾロだけ、どうなったのか1ミりも描写されてない気がする
Commented by レト at 2010-07-13 21:24 x
>バクマン
サイコーの変顔はスケダンに匹敵するほど不快でした。こんなリア充にだけはなりたくないという典型です。

>ぬらり
この漫画のバトルには全く期待していないので。
Commented by ニテンドー at 2010-07-13 23:29 x
>バクマン。
静河さんは、ゲームなんかと無縁だったサラリーマンが、
ふとしたきっかけでゲームやり始めたらどっぷりはまっちゃうという、よくいるタイプの人なんだと思いますよ。
まぁ秋名さんはもう病気か何かだと思います

>ぬらり
羽衣狐様のコマが出てくるまでの前座なのだとしたらなんていうか豪華なページの使い方です

>めだか
モブキャラの「18歳未満にしか見えない非実在青少年の実在でも確認されたんじゃね」って言う台詞を見てイラっと・・・否決になったからってとたんに煽ってどうすんの・・・
そういうことはそれこそ作者の個人的なツイッターかなんかで勝手に言ってくれっていうまぁジャンプ感想とはかすりもしない無関係の話題ですけど。

>ショット
校庭で大バトル自体は日常茶飯事だから「ああ今日もか」程度の認識をし、かつ、
まさかぽっと出の転校生が学校の誰もが恐れる不良グループをボッコボコにしているとは
夢にも思わなかったと思えばあるいは・・・一階の生徒はともかく、上の階にいた生徒は校庭で喧嘩してる生徒一人ひとりの顔が見えていたとは思えませんし。
以上ヘナチョコ擁護でした。
Commented by 漫画家志望の工房 at 2010-07-14 10:25 x
<新連載
「設定だけ思いついたけどその先が描けない、どう展開していいかわかんないし、アクション描いとけば人気も出るだろうから、まあ強盗でもだしとこっと!!」という作者の内心がすごくよく見える、そんな新連載でした。

さてろくおん、シック、メタリカ、swotときてこれなわけですが・・・・
四谷みたいに作者が読者をびっくりさせようとかそういう企みが感じられる構成であればまた面白くないまでも評価できるのですが、まあ、ねえ・・最近のはやっぱりひどいな・・・・ろくおんから一気に質が下がったなあ・・

なんというか、無理に新人を使おうとせず、ある程度の出来が期待できるベテランを起用すればいいのに。ないしはそのベテランもいないのか。この前のベテランたちの読み切りは微妙だったし。

とりあえず、ウサギさんは仮に人間に戻ったとして、その能力を引き換えに失うんだとしたら、絶対困ることになるよね。小学生くらいの時に呪われてるみたいだから学校も行ってないだろうし。
絵は好きですが、この先どういう展開をするのか悪い意味で想像できない、そうじて微妙な印象でした。

Commented by faker at 2010-07-14 20:46 x
トリコ>
オゾン草がある場所から考えて今回身に付くのは酸素濃度と寒さに対する耐性なんでしょうか。流石に全部付くのは嫌だな…サニーやココの強化はどうするんでしょうね。

SWOT>
相変わらず胸の位置がおかしかったですね。コウモリ君の改心の早さにはある意味脱帽です。
Commented by ejison2005 at 2010-07-16 01:19
>>トーリス狩りさん
ゾロは確か、ペローナちゃんと出会ったんじゃなかったっけ?
Commented by ejison2005 at 2010-07-16 01:20
>>レトさん
なんで小畑先生はあんな描き方しちゃったんだろう……。

>ぬらり
バトルというか、話運びの問題の気もします。
Commented by ejison2005 at 2010-07-16 01:23
>>ニテンドーさん
オーライ、キャバクラをラブプラスに置き換えたら理解できたぜ。リンコちゃんは現実。

>めだか
でも、ギャグを思いついたらとりあえず入れたくなり気持ちは分かるんだ。僕もそんな気持ちで、ダダ滑り覚悟でネタを仕込んでます。

>SWOT
ああ今日もかの時点で何かがおかしいけど、すぎたん作品だから仕方がない。
Commented by ejison2005 at 2010-07-16 01:24
>>漫画家志望の工房さん
新連載(この作品に限らないけど)に関しては、別記事でもっと深く突っ込んでみました。

本当、今後のジャンプはどうなっていくんだろうか……。
Commented by ejison2005 at 2010-07-16 01:26
>>fakerさん
ひとつひとつ耐性を身につけていくのなら、まだ希望を持てるかもしれない。そこには目を向けてませんでした。

>SWOT
そこら辺の変わり身の早さは、斬からの伝統ですかね。一応、「コウモリ」だし。