2010年 夏アニメ ファーストインプレッション
 需要があるのかないのか分からないけど、とりあえず、前期に引き続いてファーストインプレッションをば。


 デュラララ!!

 ……うん。何が言いたいかは分かる。春アニメ感想で書き忘れてたんだ。
 冬アニメの感想で期待した通りに、竜ヶ峰少年が「信頼できない語り手」から真の意味での「主人公」へと華麗なるクラスチェンジを果たし、彼ら高校生トリオのすれ違いやら葛藤やらを丁寧に描き切ってくれていて、大変に満足な一作でした。出来れば、あそこまで対立を煽った以上は親友同士の直接対決を見てみたい気持ちもあったけど、まあ、セルティとか杏里ちゃんとか事情を知っている人間もいるんだし、何より二人の性格的に、普通に和解して終わりだわな。
 ここ最近のリボーンがまさに、対立し得ない人間を無理やり対立させた結果残念な展開になってしまっているわけで、それを思うと、このアニメのこの展開は誠実かつ、賢い選択だったのだと思います。

 伏線を散りばめながら、それを徐々に回収していくトリッキーな手法も見事のひと言で、新たな謎に対する期待と、謎が解明される興奮とを定期的に味わわせてもらいました。ただそれだけでなく、それぞれの謎が提示・解決される過程で、大量に存在する登場人物一人一人に見せ場を与え、群像劇としての面白さを与えることにも成功している。
 原作を一巻だけ読んでみたところ、どうも、ここら辺の仕事はアニメスタッフ側の功績が大きいっぽいですね。正直な話、少なくとも原作一巻時点では、そこまで登場人物達を扱いきれていないし。いやまあ、同じ筋書きでも、原作とアニメではそれに費やした尺が全然違うんで、比べるもんではないのですが。
 様々にオリジナル要素を混ぜ合わせ、原作の特性を失わせないまま、より高いレベルの作品へと仕上げていくわけで、これは何とも幸せな改変だと思ったわけなのでありますよ。

 ひとつだけ難を感じたのは台詞回しで、「私はこれこれこういうことを考えているので、これからこういう行動を取りますよ」という感じの台詞が妙に多かったのが気になる。色々と置いといて、しらふの人間が発する言葉ではないと思うんだ。


 オオカミさんと七人の仲間たち

 ナレーションよ……。

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 冒頭やら物語の要所やらでちょろっと喋るというのならよく見かけますが、全編に渡って物語の舞台物語の設定キャラの設定キャラの性格キャラの心情その他諸々を事細かにナレーションがぶっちゃけ続けるアニメなんてのは初めてお目にかかったぜ! しかも、登場人物の台詞に被せたりしてるし。最初、DVD特典用のオーディオコメンタリーが放送事故で流れたのかと思ったよ!
 ナレーションてのは神の代弁者であり、彼ら彼女らが発する言葉は基本的に覆しようのない事実であるわけで、登場人物の立ち居振る舞いや行動からその心情を窺うという、創作物において大変重要な楽しみがごっそり奪われてしまっているのはどうにかならんものなのでしょうか。これ、小説で言うなら地の文でキャラの心情全てを断定調に書いちまうようなもんだよ!

 そんなわけで、ナレーションボイスの奔流によってさっぱり話が頭に入ってこなかった本作ですが、とりあえず、「借りはいつか強制的に返してもらう」というおそらく作品的に重要な要素くらいは、ナレーションの説明で済ませず、実際に強制協力させるシーンを入れてシチュエーションでもって理解させて欲しかったです。
 あるいは、最後まで土くれから実際に物品を作り上げるシーンが存在しなかった某アニメのように、このままそういう設定があるんですよ! と台詞で語ったまま終わらせるのでしょうか。


 黒執事II

 黒執事初のアニメ化。え、何でⅡなのかって? 何でなんだろうね。とりあえず、俺のログには何も残ってないな。
 そしてきっと、この作品も俺のログには全く残らなそうな予感がする。

 真面目な話をすると、視聴者を一本釣りにしてまで今シリーズのボスキャラ陣営を描写したのに、ご当主は自分で言ってる通りの小者だわ、セバスチャンと対決するのであろう新執事は劣化セバスチャンにしか見えないわで、敵陣営の矮小さばっかり見せつけられるというどうしょうもないファーストエピソードだったと思う。ひょっとしたら、そのままファーストエピソードにしてワーストエピソードになるかも知れないけど。

 もしかしてこれは、こんなどうしょうもない人達があのセバスチャンに喧嘩売っちゃったという愚かさを哀れみながら楽しんで下さいということなのでしょうか。


 アマガミSS

 原作は未プレイ。
 何だろう……この人達の恋愛が、ものすごくどうでもいいです。画面の向こう遥か彼方、ものすごく距離を隔てたどこかで学芸会でもやられてるかのようなしょうもなさを感じる。

 要するに、僕が彼らに全く感情移入できないということなんですが、これはどうしてなんだろうね。主人公が能動的にヒロインを落とそうとしているということで、あまり運命性とか必然性とかを感じないからでしょうか。だってそれ、他にもっと自分の好みと合致した魅力的な女性がいたら、そっちへ声かけてるってことだし。
 原作は恋愛アドベンチャーだから、むしろ、主人公たるプレイヤーが能動的にヒロイン達の中から一人を選び出し、攻略していく必要があるわけだけど、アニメの主人公がそういうスタンスではちとまずいってことなのかなあ。

 それを考えると、いわゆる「空から女の子が降ってくる」系のプロットはすごく良く出来てるんだね。そりゃ、王道ストーリーのひとつにもなるよ。


 伝説の勇者の伝説

 ※ちょっとネタバレ気味

 実はドラマガの竜王杯に参戦してた時から知ってます。知ってますなのは、原作の五巻辺りで脱落しちゃったから。嫌いじゃなかったし、今でも続きは読んでみたいと思ってるんだけどね。何でか離れちゃった。あの作品が長い年月を経てアニメ化かあ。EMEと伝勇伝……どこで差がついたのだろうか。

 そんなわけで、大本が短編一回限りの作品なので、そっちのエピソードをチョイスした気持ちはわかるんだけど、それにしては竜王杯参加時の竜が出てくる短剣のエピソードではなく、とり伝ファーストエピソードの方(だったよね?)だし、ちょっと意図が掴み切れんです。どうせ短編から選ぶのなら、後々の強敵が使用してくるあの短剣に関するエピソードを使えば良かったのに。

【第2話を見た後】
 あ……すごく面白い。


 祝福のカンパネラ

 あーたーまーからっぽの方が♪ ゆーめつめこめっるー♪
 というわけで、何も考えずにヘラヘラしながら視聴する感じのアニメ。
 主人公のフラグ立てっぷりが最初からクライマックスであることなどからも、善人達によるゆるゆる空間でのスーパーラブコメタイムを満喫してくださいという、制作側の熱いソウルが伝わってくる……嫌いじゃないぜ、そういうの。
 作画も良質だし、変にシリアスへ傾いたりせず、このまま平平凡凡とヒーリングタイムを演出していって欲しいなあ。すごく良い意味で、毒にも薬にもなってないと思う。


 生徒会役員共

 あの原作という時点で嫌な予感しかしてなかったけど、案の定、ひどすぎるネタのオンパレードだった罠。こうなるしかなかったんや!

 特段、縦糸となるストーリーがあるわけでもなし、この調子でハイテンションコメディっぷりを維持してくれれば何も言うことはないとです。


 みつどもえ

 あの原作という時点で嫌な予感しかしてなかったけど、案の定、ひどすぎるネタのオンパレードだった罠。こうなるしかなかったんや!

 矢部っち×ひとははガチだと思いややめておこう。


 学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD

 あの原作という時点で嫌な予感しかしてなかったけど、案の定、ひどすぎるネタのオンパレードだった罠。こうなるしかなかったんや!

 ん? 原作は結局未完に終わるんじゃないかって? HAHAHAHAHAHA! 大丈夫! いつでも「俺達はこの世界で生き抜くんだ……!」ENDにできるから!


 世紀末オカルト学院

 責任者は長崎ちゃんぽんの熱烈な愛好者だったのかと突っ込みたくなるような出来だった前二作に比べ、作品モチーフをオカルトという題材一本に絞り上げ、ずいぶんとスッキリした構成に仕上がっている作品。アニメノチカラ……それはテーマをちゃんとフラッシュアップすることだった……!
 物語の舞台が世紀末日本だというのも、ラストシーンで空から落ちてきた恐怖のあれから察するに十分な意味合いを持っており、主人公脇役の行動原理含め、作中に存在するありとあらゆる要素の全てがオカルトというひとつのテーマへ絞り込まれていくのが心地良いです。

 主人公も、スタートラインが作品テーマに嫌悪感を抱いているということで、ここから徐々にそれと向き合い、受け入れていくストーリーが期待できる(※)ことから、今後も応援していきたいです。

 ※基本、主人公は物語の進展とともに度量を大きくし、目を背けていたものへ目を向けるようになるものだから。人これを主人公の成長という。


 ぬらりひょんの孫

 ごめん、何でこのエピソードを1話に持ってきたのか意味が分からない。伝勇伝は長編刊行までの経緯があるから理解できるけど、こっちはガチで理解できない。


 ストライクウィッチーズ2

 相変わらずどこか一点に存在する巨大な突っ込み所を除いては、ひどくまっとうな進行を見せるストーリー。そこら辺、こっちはもうそういうもんだと割り切っているので、以前と違い素直に本筋だけを追っていけますな。我ながらバッチリ調教されてる気はするけど。

 最初っから敵勢力同士の内ゲバを示唆したり、新たに強力な個体が投入されたっぽかったりと、前シリーズで軽く触れるに留まった敵の正体について核心を突く予感を抱かせるのが頼もしいです。いやまあ、本当にやるのかどうかは知らんけども。
 新キャラの投入などによるテコ入れも行うっぽいですが、主人公と仲間達が打ち解け会う過程の描写というのは前シリーズでやってたことの縮小再生産になりかねないという不安もあるし、何より、この世界観で語り尽くしてないのは敵の正体くらいのもんだと思うわけで、個人的にはやって欲しいなあ。


 戦国BASARA弐

 レッツパアリイィィィィィィィィィィ!
 というわけで、相変わらず見ているだけで脳汁ダクダク流れ出るタイプのアニメでした。

 でね、個人的にはラスボス(候補)が豊臣秀吉だというのが凄く嬉しい。僕は戦国武将の中では、彼が一番好きなんだ。なんのかんのいっても最初に天下統一した人だし。信長が本能寺で死ななかった場合、秀吉がどうしていたのかとか想像すると胸が熱くなるな! 僕的には普通に忠臣やってたと思います!
 戦国ものでは割と冷遇されることも多いだけに(第六天魔王さんのブレなさは異常)、ちゃんと強大な存在として描かれているのは非常に嬉しい。ビクンビクン。
 それに呼応して、伊達勢の描写が多くなっているのも特徴的だったかな。BASARAでそういうことを言うのはナンセンスですが、史実的にも因縁のある対決ですし、それもむべなるかな。

 全国規模の戦いなのにご近所戦争にしか見えないなど、数々の難点はありますが、そういったものを一蹴するほどの熱さと勢いに期待したいです。

 ところで、SQの漫画版徳川家康とアニメ前シリーズに登場した徳川家康がどう見ても別人なんだけど、あれはどういうことなの?


 デジモンクロスウォーズ

 最初から完全体を一掃したり、ロボットアニメ的な要素が打ち出されていたりと、色んな意味で新機軸のシリーズ……というか、見ていてこの感覚を過去に味わったことあるなーと思ってたんだけど、うん、電王が始まった時のあの感覚だ。
 シリーズに共通する基本フォーマットだけは踏襲しつつも、独自の要素をふんだんに詰め込んだ作品という感じですね。
 個人的にこの挑戦は歓迎というところで、なんぼ初代が面白かったと言っても、同じ路線で作ったってしょうがないからね。縮小再生産にしかならないし。それよりは、新機軸の面白さを模索する方が重要でしょう。

 とはいっても、その結果大コケしては仕方がないわけですが、第1話を見る限りでは、前半の小コントで主人公達の人となりを丁寧に伝えながらも、後半にキャッチーな要素を積み込みまくって見ている側の興味を持続させるという基本的なフォーマットをきっちりこなしているし、これは安定して楽しんでいけそうな気がします。

 で、マッドレオモンさんいつ死ぬん?

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by ejison2005 | 2010-07-12 03:00 | アニメ感想  | Comments(12)
Commented by nuta at 2010-07-12 04:46 x
初めまして。(ちょっとコメントするにも挨拶は必要…ですよね?)

SQとアニメの家康は単純に時間的に前後してるだけなんです。
SQ版の舞台設定はBASARA3でのもので、それまでのゲームやアニメから数年後という設定になっていて、(他は変わってねーのに)家康は成長した姿で描かれてるんです。
Commented by ejison2005 at 2010-07-13 03:40
>>nutaさん
ブログのコメントなんか適当でいいと思いますよー。

しかし、あれは家康の成長した姿だったのか……フィジカルもメンタルも、面影すら残ってないぜw
Commented by トーリス狩り at 2010-07-13 19:08 x
>ぬら孫
制作会社がディーンな時点でお察し下さい。
俺は最初からディーンなら無難な出来にすらできないだろうと踏んでいましたよ。いや、まだ分からないですけどね。

>デジクロ
遊戯王もこれと似たような斬新な方法をとって(バイクでデュエル、白いカード、歴代主人公が邂逅する劇場版)最初ツッコまれまくってましたが今ではファンに受け入れられてるようなのでデジモンもそうなる事を祈っておきます。
でも1話を見た限り、歴代主人公たちのデジモンが出たのは感動するものの、
どう見てもこれデジモンじゃなくて勇者シリーズ……ッ
Commented by ELN at 2010-07-14 00:10 x
>ぬら孫
あの話をチョイスしたのは家長カナとかいうヒロインっぽい娘が数少ないヒロインらしい立ち位置の話だからじゃないっすかね?
それよりも正ヒロインなんだから雪女じゃなくつららってEDやHPでも表記して欲しいっす。

>デジモンクロスウォーズ
安心と信頼の三条脚本を堪能しました。

で、マッドレオモンかませ展開マダー?
Commented by do at 2010-07-14 23:57 x
>ぬら孫
リクオがぬらりひょんの姿になるのをより盛り上げるために順番を変えたのではないでしょうか?
漫画のほうだとこの話、リクオは一度も妖怪化しなかったから、
あまり意味や意義のない話でしたので良い改善だとおもいましたよ。
>トーリス狩りさんへ
薄桜鬼だけは楽しめましたよ。今のところ。
Commented by ejison2005 at 2010-07-16 01:15
>>トーリス狩りさん
だが少し待って欲しい。勇者と言うよりエルドランシリーズなのではないか?
いやまあ、エルドラ見たことないけど、スタッフ的にはそっちらしいですね。

>ぬらりはディーン
ああ……(納得
Commented by ejison2005 at 2010-07-16 01:17
>>ELNさん
家長カナ……ああ、そんな娘もいましたね(ほがらかに

>デジモン
安定感スゲーと思っていたら三条先生だったのかw

しかし、僕もそうだけど、みんなマッドレオモンさんが死ぬ展開しか予想してねえw
Commented by ejison2005 at 2010-07-16 01:19
>>doさん
リクオの変身でカタルシスを得たいのなら、素直に第一話を用いれば~と、僕は思っちゃいますね。やっぱり。
でも、このエピソード単体に意味を持たせたという意味では納得。問題は、得たものと失ったもののバランスですが。

>薄桜鬼

ディーンにも良心が残ってた!
Commented by METHIE at 2011-06-30 16:06 x
>オオカミさんと七人の仲間たち
ええとこれ原作通りにやろうとしたらかえって原作のダメな所だけがアニメ化されたという例です、ナレーションもそうで借りの部分もほとんどコンテストの時以外殆ど使われていません。
Commented by ejison2005 at 2011-07-01 22:22
>>METHIEさん
元から駄目だったんスかw
Commented by METHIE at 2011-07-05 06:16 x
元からというより1クールでやるようなアニメじゃないってことです、
サブキャラのドラマのほうが面白いですから。
あと1クールでやるような作品じゃないという点では「いちばんうしろの大魔王」もそう、
さすがに原作は「マナ=ナノマシン、神=コンピューターで実はSF」という設定を詳しく書いていました。
ただ2クールで9巻当たりの話をやっても、お色気ハーレムモノの反動が酷くて、
誰得扱いでしたでしょう。
両方共原作は面白いので、買って損はありませんでした。
Commented by ejison2005 at 2011-07-09 00:18
>>METHIEさん
言われてみれば確かに、オオカミさんはサブキャラ関連のエピソードがほとんどなかったですねえ。エピソードの選捨選択をミスっちゃったのかあ。

大魔王の方はちょっと後のエピソードが分からないです。見てないので。今かるく調べてみたら、凄まじいことになってたんですねえ。