鉄腕バーディー 感想

鉄腕バーディー 1 (ヤングサンデーコミックス)

ゆうき まさみ / 小学館


 今更ながら読んでみて、面白かったので適当に感想をば。とりあえず10巻まで。


序盤

 あなたはどこのM78星雲からやってきた宇宙警備隊員ですかw
 そんなわけで、第一回からヒロインが業務上過失致死をかましてしまうため、油断していると、どんどん彼女からプロフェッショナル性が失われてしまうわけですが、そこは緊急時の冷静な対応と、圧倒的な戦闘力で維持している感じ。
 そういったシーンを作り出すため、序盤は敵を追いかけたり敵に襲われたりといったシチュエーションが多いのが特徴ですね。後々になって魅力を発揮するボスキャラの皆さんも、初期の巻だけだと、ものすごくステロタイプの悪役に見える。でも、「痛い目に遭ったことがないと見える」といった台詞を吐かせ、スーパーゴメスタイムへの伏線をバッチリ張ってはいるのだった。


バチルス登場~立てこもり事件

 そろそろヒロインのピンチが必要だよね! と言わんばかりに、特殊能力持ちの敵やら高性能のアンドロイドやらが登場。とはいえ、まだまだバーディーの格を下げるわけにはいかない(主人公サイドの優位点といえばそのくらいだし)ため、単純な戦闘力で上回っているのではなく、寄生能力が厄介であったり、こちらの不意を打つ形での戦闘だったりと、バーディーが苦戦せざるを得ない理由付けが沢山なされているのであった。

 そんなわけで、再登場することになる人形と書いて人魚と読むきんな彼女はともかく、バチルスさんの方は割と不憫な立ち位置なのですが、しかし、そんな彼の引き起こす立てこもり事件は、物語上、極めて重要な転換点となるのでした。いわゆるひとつの「男の戦い」ですね。
 シンジ君ならぬつとむ君は基本、宇宙人による業務上過失致死の哀れな犠牲者であり、「フッフッフッフッフッフ……」と重要な説明を全てはぐらかした光の巨人の犠牲者よりナンボかマシな程度の立ち位置なわけですが、かといって、ひとつの漫画における主人公である以上、ずっと俺は被害者ですよ関係ありませんよというツラをされていても困るわけで、立てこもり事件は、そこら辺の精神性を是正する上で、極めて重要な役割を果たしていると言えます。

 それにまあ、「二心同体」から(一時的にでも何でも)「一心同体」へ、というのは、この作品の抱えているテーマであり、バチルス編はそれをキッチリ消化しているからね。だから、ここら辺のエピソードはかなり好き。
 
 ちなみに、この事件で一番かわいそうなのは、バチルスに寄生された刑事さん。別に悪人じゃないからね。どころか、割とガチで真相に迫っている勘の良さだし。


 なんちゃらファイル

 ゆうき先生、あなた疲れているのよ、なシリーズ。
 うん、ぶっちゃけ、ここら辺のエピソードからは引き延ばし臭しか感じないんだよなあ(苦笑)。ゆうき先生の作風からして、忘れたころに(おそらく地球人サイドと宇宙人サイドが本格接触しだした辺りに)再びフィーチャーされ、重要になってくるんだろうけど。
 ただし、味方サイドの援軍がサッパリ当てになりませんよ、というのを印象付ける意味では、これ以上ないくらいに成功していると思う。うん、こいつら信用できねえ(爽やかに)。
 バーディーが信頼できる味方を――それも一人二人ではなく組織的な味方を――手に入れちゃうと、一気に事件が収束してしまう(何せ敵組織は対抗できるほど強大ではない)ため、ここら辺りのエピソードも、それに歯止めをかけるという意味では重要なのかも分からんね。


 千明・ザ・ダブルクロス

 お前だけなんか別作品のキャラになってるよ、エフェクトとか組み合わせてそうだよ、なキャラクター。いやはや、最初はただの友人Aだと思ってたのに、意外なところからキーパーソンが輩出されるもんだ。
 バーディーへの恋慕とか、リーさんに粉かけられたりとか、当初はいくつかの展開を考えてたっぽいけど、最終的にはゴメスさん一家との親交を深める方向で落ち着きましたね。その正統派ヒーローっぷりたるや、やっぱお前出てくる作品を間違え(ry

 彼の存在そのものがゴメスさんの良心の体現であるため、今後もセットで活躍することが予想される。しかし、バーディーに惚れてみたり、幼女から好感を持たれてみたり、ヤンデレ獣ビューティーに発情されてみたり、やっぱりお前出てく(ry


 キャーゴメスさんカッコイー!

 ぶっちゃけ、僕が読んだ段階では、この作品の魅力の八割を彼が担っているw 悪人だけど悪人じゃない、そのサジ加減が絶妙なんだ。いや、そもそも家族との暮らしを守りたいだけっぽいから、そういう観点では巻き込まれてしまっただけの善人なのかもしれないけど。本業は輸入商と明言してるしなあ。
 名台詞もいっぱいあるんだけど、特に好きなのが千明君に向けた「君のその愚かしい部分に好感を覚える」(うろ覚え)という台詞。彼の心理を如実に表したひと言だと思う。

 同作者のカリスマ的悪役である内海課長とは違い、ちゃんと手段と目的を選び、他人の迷惑も鑑みれる常識人だし、どうか死んだりせずに、幸せな結末を迎えて欲しい。


 情報と謎

 この作品の好感が持てるポイントとして、あらかじめ読者に、この組織はこういう悪事を行っていてこういう情報を所持している、というのを提示しているため、純粋に状況とキャラクター達の心情・関係性の推移を楽しめるというのがあります。いや、一応、謎として残されている部分もあるんだけど、大概は読者に与えられた情報の中で推測できるものだし。
 やろうと思えば、要所要所で新しい情報と謎を提示するスタイルにも出来たと思うんだけど、そういう小技に頼らず、あくまで物語の本道たる状況心情関係の変化を描く! そこに痺れる! 憧れるぅ!

 ついでに書いとくと、こういった各組織の思惑を入り乱れさせていくやり方は、パトレイバーの正当進化という感じがしますね。



 続きはまた今度で。

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by ejison2005 | 2010-06-18 02:53 | 漫画 | Comments(0)