夜桜四重奏 レビュー

夜桜四重奏~ヨザクラカルテット~(1) (シリウスコミックス)

ヤスダ スズヒト / 講談社



 本日ご紹介する夜桜四重奏(ヨザクラカルテット)は、ヤスダスズヒト先生による妖怪と人との触れ合いをテーマにした漫画です。

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 ちなみに、2008年10月から同年12月までテレビアニメも放送されていました。


 泥臭さは極限まで低減

 ところで皆さん、「妖怪と~」なんて目にして、「ああ、じゃあ泥臭くておどろどろしい雰囲気の漫画なのかな?」と思われたのではないでしょうか。そこら辺は水木しげる先生の功績が大きいのではないかと思いますが、日本の妖怪はそういったイメージを持って想像されてしまいがちなものです。
 しかし、そういった雰囲気が苦手な方はご安心あれ!

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 ↑サトリです。

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 ↑鬼です。

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 ↑キョンシーです。

 基本的に、デミ・ヒューマンタイプの妖怪しか作中に登場しないこともありますが、本作において妖怪という存在は、人間と同じ姿で描かれています。フリーザ様みたいに、第二第三の形態を隠しているということもなく、完全に人間の姿で固定。
 むしろ、ヤスダ先生の画風における特徴であるシャープな線と、艶やかな色遣い(いやモノクロだけど)によって描かれるキャラクター達は、そういった暗い雰囲気とは真逆の、ライト&ポップな空気を感じさせてくれます。

 そういった明るさはストーリーにも色濃く反映されており、本作の基本は、妖怪と人間とが共存する不思議な町でのコメディ。どんな状況でも決して余裕を失わない人達による、お気楽な物語が展開されていきます。
 その自然体ぶりたるや見事なものであり、肩の力を抜いてホッと一息つきながら楽しめる作品に仕上がっているといえるでしょう。


 長所の裏で短所も目立つ

 しかしながら、長所というものは翻せば短所になってしまうものでして、例えば、本作の場合ですと、僕はまず、妖怪という存在のおどろどろしさを極力無くしたことを評価しました。
 そして、それは同時に、妖怪という存在からおどろどろしさを抜いてしまったのならば何が残るのか? という問題に直面してしまうことも意味しているのです。
 単なる異種族同士の融和をテーマにしたいのならば、別に妖怪でなくとも、例えば宇宙人が降臨してもいいわけで、妖怪をテーマにした作品ならではの何がしかというのが、この作品には欠けています。

 更に、作品全体を貫く明るい雰囲気も、シリアス長編の時には災いしてしまっている面があり、とにかく皆さん、緊張感が欠けている面がある上、味方側に何やかんやで必ず助けてくれそうな超強いお助けキャラが複数存在するため、どれだけ危機的な状況だと煽ってみても、常に何とかなりそうな気がしてしまい、いまいちシリアスになりきれません。
 また、ヒロインの抱えているある秘密が読者に対しては全く効果的に機能していなかったりなど、ストーリー面でも不備が目立ちます。


 まとめ

 そんなわけで本作は、良い意味でも悪い意味でも、ライト&ポップさを極限まで追求した作品です。
 決して万人にオススメできる作品ではありませんが、とにかく軽みのある、読んでいて疲れを感じさせない漫画に仕上がっていますので、そういったものを求める方に読んでもらいたいですね。

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by ejison2005 | 2010-06-04 04:28 | 漫画 | Comments(2)
Commented by 名無し at 2010-06-04 19:22 x
>妖怪をテーマにした作品
メリットとしては、「ある程度の説明が省けるので、物語のテンポが良くなる」
ってのが挙げられるんじゃないですかね。
いちいち「~という種族は~という能力を持っていて~」とかキャラに説明させずとも、
鬼!とかサトリ!とか、一言でそいつがだいたいどんな奴なのかを読み手に理解させられますし。
Commented by ejison2005 at 2010-06-08 03:35
>>名無しさん
むしろ、そういうのを説明臭くならないよう描写してみせるのが漫画家の腕の見せどころではないでしょうか。