戦国スクナ レビュー

戦国スクナ 1 (ガンガンコミックスONLINE)

ねこたま。 / スクウェア・エニックス


 この世にタダより素敵なものはない……ということで、今日は新進気鋭のWEB雑誌、ガンガンONLINEで絶賛連載中の「戦国スクナ」をレビューするよー。

 ちなみに、こちらのページで1話と2話は試し読みできます。


 英雄女体化の観点では普通

 はい、最初にこの漫画をぶっちゃけて総括してしまうと、戦国時代の武将を少女化したコメディコミックスといったところでしょうか。それだけで全てを説明できてしまうとも言いますし、それを最大限有効活用した作品であるとも言えます。
 まずは、戦国大名の少女化という要素をどう調理しているかについて触れますと、まあ、他の多くの史実英雄女体化系作品に関しても言えるように、伝説に謳われる英雄像とコメディ節を強調化されたキャラクターとのギャップで萌えさせる&キャラ立ちさせるという、あの方式を活用しております。というか、英雄の少女化などというのは、ものすごく大げさにかつ、格好良く表現するのならば、史実の再解釈に他ならないわけで、で、あるならば、よりギャップを大きくして、そこに読者側の感嘆符が生じる余地を生み出すというのは、まったくもって当然の話ではありますね。
 この点において、本作は偉大な先達が記した道を踏み外すことなく歩み抜いていく、凡庸な作品であると言えるかもしれません。しかし、本作はそうはならなかった。それは、戦国大名の少女化へ、更に少女要素までミックスさせることによって生じた、愛らしさに起因しているのであります。


 微少女化によって作品としての個性が際立つ

 第2話の修行シーンが特に顕著なのですが、

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 この漫画は、スクナの小人設定を活かした描写が多いです。そして、小っちゃい彼女達の一挙一投足が、非常に愛らしい。ここで注目して欲しいのは、彼女達はただ愛らしいだけの存在ではなく、微少女としての可愛らしさを付加される前に、戦国大名を少女化したことによって生じる、ある種二次創作的な個性を備えているという点です。

 要するに、戦国大名少女化によって明確な個性付けを施されたキャラクターと、微少女というシチュエーション萌え要素とが、見事に混在し、互いを高め合い、作品性にまで昇華されているわけですね。

 舞台が現代日本であるというのも、それを引き立てる要因となっていて、我々日本人が共通項として抱いている限りなくリアルな空間を舞台とすることによって、微少女として何より大切な要素であるスケール感が際立ちます。これが戦国大名の少女化だからといって、安直に戦国時代を舞台にしていたら、いまひとつスケール感を得られずに、大事な個性を失う結果となっていたでしょう。あくまでも、彼女達のサイズを実感しやすい現代日本を舞台にするからこそ、この愛らしさが生まれるのです。

 そして、舞台を現代日本にすることは、更なる効能をもたらしてくれました。


 素晴らしき箱庭イズム

 本作は、あくまでも我々人間――霊長類ヒト科ヒト目ヒト――が生活する現代日本へ、主人公たち「スクナ」が間借りする形で生活するという体裁を取っています。それはもう、作中の至る所で強調されており、

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 「○○さんちの○○」という具合に、あくまでも居候させてもらっている人間側を主体として呼び合うことからもうかがえますし、

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 人間の築いた生活空間を間借りするという、彼女達の生活形態からも推し量れます。

 これによって何が起こるかと言えば、それは、我々読者への「突き放し」に他なりません。ここまで力を入れ、人間とスクナとの種族的特性の違いを強調されてしまえば、精神的な距離を感じずにはいられないでしょう。

 それにより、通常の漫画においては主人公と同じ目線へ定められている読者の視点が、この漫画においては、どこか遠くから、その活躍をながめる風になっており、日常の片隅で繰り広げられる、ちんまい彼女達の、ちんまい冒険譚を遥か上の視点からのぞき見るような、何とも言えない箱庭感を生み出しているのです。


 まとめ

 結論を述べるなら、小さいは可愛い 可愛いは正義ということですが、物理的な面でも、読者への精神的な印象面でも、スモール感を丹念に描いた稀有な作品であると言えるでしょう。

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 これなら、某ファミリーレストランのアルバイトさんも満足間違いなしですね!
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by ejison2005 | 2010-04-30 06:17 | 漫画 | Comments(2)
Commented by 寄り道 at 2010-04-30 17:17 x
>タダより素敵なものはない
マウナさんの名言ですね、わかります。
Commented by ejison2005 at 2010-05-02 05:41
>>寄り道さん
レアの焼き鳥で乾杯しようぜ。