テルマエ・ロマエ 感想

テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)

ヤマザキマリ / エンターブレイン


 今、色々と話題の風呂漫画を読んでみました。せっかくだから感想をば。

 ちなみに第1話は、こちらのページから無料で試し読みできます。

 結論から言ってしまえば、この漫画は面白い。何故面白いのか、それは……、

 ナショナリズムを喚起しているから!

 なのです。


 皆さんも考えてみて下さい……我々日本人にとって、風呂とは一体、何であるのかを。
 おそらく、ほとんどの人は、自分たちが世界に冠たる銭湯種族であるとの意識を持っているのではないでしょうか? そしてそのことに、わずかな誇りと優越感を抱いているのではないでしょうか?



 ↑多くの日本人が心の奥底で思っていること。
 テルマエ・ロマエは、そういった、我々が矜持としている部分を巧みに褒めそやします。ここでポイントとなるのは、主人公であるルシウス技師が感銘を受けるのは、基本的に未来の技術力ではなく、



 我々日本人の快楽を追求する姿勢、風呂に対する執念であるということです。

 ここでちょっと思い浮かべて欲しいのが、「過去からやってきた人間がテレビを見て『箱の中に人がいる!』と驚く」という、タイムリープもので定番の、あのイベントです。これは、未知のテクノロジーと出会った人間の対応としてはごくごく当たり前のものであり、悪く言ってしまえば当たり前のことを当たり前に描いているだけのシーンです。
 しかし、本作は当たり前のことを当たり前に描かず、一捻り加えた。具体的に述べるなら、ガラス形成技術に驚くシーンなどの一部例外を除き、未知の(風呂)テクノロジーと出会った主人公の反応を、「『すごい技術だ!』と驚くあこがれ」としてではなく、



 「これまで世界一の(風呂)文明国家に属していると思っていたのを粉々に打ち砕かれる屈服」として描いたのです。

 これによって我々は、

 自分達民族が密かに誇りとしてきた文化が、他民族の同じ文化を圧倒する、ある種の嗜虐的快感を得ます。そして、その嗜虐的快感こそが、ナショナリズムの発露なのです。

 オリンピック観戦が最も分かりやすい例なのですが、我々があれを行うのは、選手の健闘を称えるためでありますし、現在の日本のスポーツレベルを確認するためでもあります。しかし、それ以上に大きい理由として、

 自国が文化的活動で、他国のそれに打ち勝つ様子がみたいから!

 というのが挙げられます。そのために我々はテレビに食らいつき、新聞のスポーツ記事に一喜一憂するのです。え? 何? オリンピックはもっと高尚な活動だって? ちっ! うっせーな! 反省してまーす!

 何故、我々は文化的活動での勝利をこうまでして喜ぶのか……?
 それは、我々が「国家」という枠組みに帰属する「国民」であるから。そして、国民であるからには、その胸の奥に大なり小なりの、ナショナリズムを抱いているからです。我々は、他者への文化的活動で勝利を収めたという実績を得ることによって、ナショナリズムを満たしているのです。

 そして、この漫画が持つ面白さも、全く同質のものです。主人公・ルシウス技師が、日本の風呂文化に感服する姿は、大いに我々のナショナリズムを満たします。

 テルマエ・ロマエは、首相が国というものをなんだかよく分かっていないこんな国勢の中において、失われつつある我々の愛国心を呼び覚ましてくれている。だからこんなにも面白いのです。

 若者にとって、今は息が詰まるような世の中です。こんなご時勢では、自分に自信を持つことも、やる気を出すことも難しいでしょう。
 しかし、そんな時、このテルマエ・ロマエを読んで自分達が栄光ある日本人であることを思い出せば、明日を生きる活力が湧いてくるのではないでしょうか?

by ejison2005 | 2010-04-23 20:15 | 漫画 | Trackback | Comments(0)
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