ジャンプ読み切り作品におけるテンプレート
 新年度になったことですし、ジャンプの読み切り作品におけるありがちなパターンを、いくつかまとめてみました。うん、新年度関係ないね。

 こっから先は、<>内の言葉を適当な固有名詞に変換してお読みください。


 Aパターン

1 <主人公>は<特殊能力>を持ってるけど、普段はそれを隠している。

2 <主人公>は<物語の舞台>で、<ヒロイン>から何らかの親切な行為を施される。メシを奢られるとか怪我の手当てをしてもらうとか。逆に、<主人公>が<ヒロイン>を助けるという手もある。要は、<主人公>と<ヒロイン>の因縁作りである。

3 <物語の舞台>において、<悪役>が事件を起こす。この場合、<悪役>の持つ<特殊能力>は、主人公の<特殊能力>と同じパワーソースであることが多い。

4 <悪役>の起こした事件に<ヒロイン>が巻き込まれる。<主人公>は<ヒロイン>との間に因縁があるので、何とかして助けねばならない。

5 <主人公>が<特殊能力>を用いて<悪役>とバトル。これによって、<ヒロイン>は<主人公>が<特殊能力>の使い手であったことを知るが、それを受け入れる。

6 こうして、<主人公>と<ヒロイン>との間には断ち切りがたい絆が生まれたのでした。めでたしめでたし。

 解説

 一時期、本当に多かったパターン。個人的に印象深かったのは、やはりるろうに剣心か。
 <特殊能力>を用いて<ヒロイン>を助けるという行為は、<主人公>が限定的にであれど<特殊能力>を受け入れ、それを良い方向に用いろうと考えていることの比喩である。


 Bパターン

1 <主人公>は<特殊能力>を持ってるけど、普段はそれを隠している。

2 <主人公>には中の良い<協力者>がおり、彼ないし彼女との他愛ない会話シーンなどが挟まれる。

3 <物語の舞台>において、<悪役>が事件を起こす。

4 事件に関して調査する<主人公>、そして捜査の大詰めというところで、実は<協力者>こそが、事件の黒幕であったと判明する。というか、大体において、<協力者>自らが解説してくれる。

5 <主人公>が<特殊能力>を用いて<協力者>とバトル。

6 <協力者>は倒され、平和がもたらされるのだった。

 解説

 一時期、本当に多(ry
 いわゆるひとつの「Aだと思っていたら実はBだった」というパターンで、話の中にギミックが仕込まれているおかげで、カタルシスは生まれやすい。
 しかし、下手な人だと、<協力者>が主人公にとって失っても(倒しても)痛くも痒くもない、その他大勢のような扱いとなってしまうため、せっかく主人公側のキャラを黒幕とした意味がなかったりする。失いたくない人間だから意味があるのだが……。
 また、一時期本当にこのパターンの読みきりが多かったため、スレた読者に対してはギミックがバレバレである。
 また、<ヒロイン>に作劇上の必然性が薄いため、「とりあえず出してみました」という感じの、空気キャラと化すことも多い。Aパターン同様、事件に巻き込ませますかあ?


 Cパターン

1 <主人公>はごく普通の少年である。

2-A ある日、<主人公>は<協力者>なり<ヒロイン>なりと出会い、彼もしくは彼女から、<特殊能力>を授かる。

2-B ある日、<主人公>は<特殊能力>を発揮する<アイテム>を手に入れる。

3 <物語の舞台>において、<悪役>が事件を起こす。この場合、<悪役>の持つ<特殊能力>は、主人公の<特殊能力>と同じパワーソース(<アイテム>など)であることが多い。

4 <悪役>の起こした事件に、<協力者>なり<ヒロイン>なりが巻き込まれる。というか、<協力者>なり、<ヒロイン>が<物語の舞台>を訪れたのは、事件解決が目的という場合も多い。

5 <悪役>の手によって、<協力者>なり<ヒロイン>なりは、戦闘が困難な状態に追い込まれる。「他に事件を収拾できる人がいない=自分がやらねばならない」という、<主人公>の動機作りですね。

6 <主人公>が<特殊能力>を用いて<悪役>とバトル。

7 <悪役>は倒され、平和がもたらされる。<主人公>は<協力者>なり<ヒロイン>なりと共に、これからも<特殊能力>を用いて戦うことを決意するのであった。

 解説

 一時(ry
 要するに、パーマンパターンですね。バードマンの場合、彼が怠慢だから戦いに参加しないという赴きだったが、戦闘不能であるという状況は変わらない。
 他には、ウルトラマンなんかもこのパターンである。確か、武装錬金の一話もウルトラマンを参考にしたんだっけ。
 このパターンの場合、本来持ち得ない<特殊能力>を手にした<主人公>が、それに対して何を思うのか、というのが大事だと思われる。<悪役>を倒したぜヒャッハー! では意味がない。
 <特殊能力>を用いて<悪役>を倒すという行為は、<主人公>が<特殊能力>を受け入れ、それを良い方向に用いる決意を下すという行為の、比喩表現に過ぎないのである。


 総括

 とりあえず、思いついた順に3パターンを列挙してみました。さすがに、細かいところは当てはまらないことが多いだろうけど、大筋だけなら「あるある」となるのが多いんじゃないかな。
 あまりにも大量生産されすぎたせいで、これらのパターンの読み切りが載ってると、それだけでマイナス評価を下してしまう自分がいる。

 その他、「こういうパターンもあるぜ!」というのがあったら、コメントしてくださると嬉しいです。

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by ejison2005 | 2010-04-02 20:38 | ジャンプ感想 | Comments(6)
Commented by こう at 2010-04-03 16:48 x
ああ、確かに大体こんな感じですねw
で、このテンプレをかいくぐってみせたのが古味先生の『island』や葦原先生の『ROOM303』ではないかと
ただし、どちらも連載を前提にするにはいささか厳しい作風だったと記憶しています
それに、この二作にしても<悪役>がおらず、仲間同士で知恵や能力を絞って別の目的を達成するという共通点がある訳で
見ようによっては上記3つより稀少なだけで結局のところテンプレと言えなくもない気がしますね

あと、この記事とは逆?のアプローチで「何故テンプレ化が生じるのか」という観点で考察してみても面白いかも知れません
というか、私が読んでみたいのでぜひ書いてみてください(
Commented by you at 2010-04-04 00:06 x
直近の2つの読み切りはCですかね。矢吹先生の読み切りもCかな。話の順序もまんまejisonさんが書いた通りのものが多いですね。

他のテンプレですが、主人公は特殊能力や性格、過去の出来事などにより周りによく思われていなくて、事件を特殊能力などを使って解決し、見直してもらう(ヒロインはたいてい主人公の数少ない理解者、もしくは反対に誤解している)なんてものもちょっと前まで流行っていたように思います。内水先生のforestは結末を悲劇っぽくして少しひねっていますが概ねこのパターンかと。
Commented by 名無しです at 2010-04-04 01:04 x
ジャンプがテンプレ化してるのは、雑誌の方針も関係してるんじゃないかと思います。ジャンプのフォーマット?みたいな。
上記ABCのパターンじゃないと、読み切りは載ってもあんまり長続きしてない気がします。(トリコは例外ですが)
Commented by ejison2005 at 2010-04-05 06:34
>>こうさん
でもその二つは記憶に残ったからなあ。とにかく、これらテンプレ型は類似が多すぎて記憶にすら留まりにくいと思うのです。もっと個性を!

テンプレ化が生じるのは、記事にするまでもなく、新人が過去の読み切りを研究するなり、編集者が過去の読み切りをもとに指導するからでしょう。
それは非常に素晴らしいことですが、ただなぞってるだけの作品が多いのは問題ですね。

Commented by ejison2005 at 2010-04-05 06:37
>>youさん
なるほど、僕は能力を隠す前提でしか考えてませんでしたね。
能力を認知されてるパターンだと、読み切り版の絶対可憐チルドレンとかでしょうか。ヒロインは皆本w
Commented by ejison2005 at 2010-04-05 06:39
>>名無しですさん
そりゃ、皆さん過去に学んでその上に積み上げていきますからね。フォーマットくらいは生まれると思う。
ただ、なぞってるだけのが大杉ってわけでして……個人的にげんなりしてたのが大きい。