金未来杯の役割について考える
 すでに発売している09年16号の週刊少年ジャンプ、遅ればせながら僕も読んだのですが、巻頭カラーを飾ったバクマンの中で、非常に気になるシーンが。

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 以上です。服部さん、競争の公平性についての話題になったとたん、華麗にスルーしましたね。

 金未来杯といえば、知っての通り編集部が期待をかける新人漫画家たちに順番で本誌へ読み切りを掲載させ、アンケートの結果で彼らを競わせるというまことにジャンプらしい企画です。
 が、僕はこれまで、この企画にはひとつの疑問を抱いていたのですね。そう、それは……。

 新人漫画家たちを競わせる企画と銘打っておきながら、実際には競わせていないのではないか?

 という疑問です。

 そのような考えに至った理由は非常に単純明快で、第一回の時からして既に、金未来杯での結果を反映させているとはとても思えない出来事が起こっているからです。


 ムヒョとタカヤの連載開始時期

 さて、知っての通り、第一回の金未来杯では「当ててんのよ」がネット界隈で妙に受けた「タカヤ」が優勝を勝ち取りました。が、結果として先に連載を開始させたのは、現在でも「ぼっけさん」で連載中の西先生が描いた「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」です。タカヤはその後。
 もう、この時点で僕としては、「じゃあ……争わせた意味って何なの?」という感じです。優勝していない作品が連載されるばかりか、連載開始時期まで先だなんて、せっかく勝利した意味が全く感じられません。いやまあ、

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 その判断は大正解だぜ! グレイッ! と感じる自分も確かにいるけど、あくまで企画に対する疑問ということで。


 普通に考えた場合の企画意図

 ちょっとここで話を変えて、冷静に常識的に考えた場合、この企画はどういう性質のものであるかについて考えましょう。
 まず、勝者敗者を決めるものである以上、「勝利者だけが掴めるもの」というのは絶対に必要となってきます。逆に、「敗者だけが何かをつかまされる」という考え方でもいいですね。とにかく、競争心を煽る図式を作らなければ、こういった企画はやる意味がありませんし。
 そこで真っ先に考えられるのは、まず第一にです。これはモチベーションあがるぞぉー! 生きていくってのは……大変なんだよ。皆もライフワークを見つけるんだぞ。決してライスワークに生きるなよ。ロクな結果にならんぞ……はぁ。閑話休題。
 まあ、金はつけるにこしたことはないけど、そんな夢も希望もない少年ジャンプは嫌なので、順当に考えるとここは「勝利者だけが連載の栄冠を勝ち取る!」という方式ですね。ジャンプらしい蠱毒思想が出ますし、そういうことなら漫画家先生たちもいっそう奮起するでしょう。実際、第一回当初は、そういう意図の企画だと思っていた人が多かったはずです。
 しかし、現実はそうじゃなかった。ならば、そこには大きな意味があるはず。


 編集部視点で考えた場合の企画意図

 さっきは読者視点で企画意義を考えてみましたが、今度は逆転して編集部視点での企画意義を考えてみます。チェス板をひっくり返すんだ! EP4はラスト一時間以外ほとんど蛇足に感じられてプレイが苦痛でマジ死ぬかと思ったぜ! 閑話(ry
 まず、普通に考えて、編集部的にはせっかく育ててきた自慢の漫画家たちに注目して欲しいですよね。読み切りで注目されれば、連載が開始した時の掴みもよくなりますし。
 しかし、ここでひとつのジレンマが生じます。

 読み切り作品は注目されにくい

 のです。この辺の読者心理に関しては、いちいち書く必要も感じないので、各自脳内補完してくださいね。つーか、赤マルジャンプと本誌週刊少年ジャンプならば、どちらの方がより多く売れるか、という話です。
 これは編集部的に、とても困った事態です。一週載せるだけとはいえ金がかかっていますし、より多くの読者に読んでもらい、より多くのアンケートへ感想を書いてもらった方が、後の連載を見据えて改善しやすいからです。
 ここまでくれば分かるでしょう。そう、僕は金未来杯に関して、編集部の狙いのひとつは、

 読み切り作品への注目を集めること

 だと考えています。新人の確保はあらゆる雑誌における最重要事項のひとつですが、看板漫画の老害化(あえてこう書きます)が進んでいるジャンプでは、とりわけ重要なものであるはずです。
 その新人漫画家たちの力量を図るために掲載する読み切りへ、より多くの注目を集められるのならば、それだけでも編集部的には金未来杯を開催する価値があるでしょう。

 その他、考えられる狙いとしては、

 賞を与えることで連載作品に箔をつける

 少なくとも順位が出るのは確かなので新人漫画家たちの競争心が煽れる


 というものがあるでしょう。こちらも非常に重要なことで、箔がつくということはそれだけ連載開始作品の注目度が上がりますし、漫画家先生が各々に対抗心を燃やすのは奨励されるべきことです。


 普通に考えた場合の企画意図と編集部視点で考えた場合の企画意図

 ここで前項と前々項を比べてみますと、

 普通に考えるならば金未来杯は「勝者だけが連載できる」などの特典を用意すべき企画だが、編集部視点ではそんなことする必要がない

 ということに気がつきますね。というか、編集部視点ではせっかく注目を集めた読み切り作品をいくつもポイ捨てしてしまうのは損にしかなりません。結果として生まれたのが、現在における金未来杯の体制なんじゃないでしょうか。つまり、競争させるにはさせるけど、負けても普通に連載できるというシステムです。
 つまり編集部は、

 読者が受け取るであろう企画意図を無視し、自分たちの都合を優先した企画として金未来杯を行っている

 わけですね。

 このことに関しては、あえて僕が書くことは何もないです。「アンケを出させておいて自分たちの思惑優先とは何事か!」という人もいるだろうし、「でもせっかく頑張った漫画家先生には全員報われて欲しい」という人もいるだろうしね。

 しかしながら、確実にいえるのは、金未来杯という企画は競争させることをお題目に掲げつつも、実際には極めて編集部の都合によるところが大きいものとなっているということです。
 それが、バクマン内での、服部さんが見せた微妙な態度として表れてるんだろうなあ。

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by ejison2005 | 2009-03-18 00:50 | ジャンプ感想